総文祭2日目 予選リーグ第2試合 VS.宮城代表② 試合前ミーティング
「緊張や不安を感じて、何が悪いんだよ」
思わぬタイミングで光輝が割り込み、それに面々が「え?」という表情をした。
「俺だって、今日どころか、普段の大会や練習でも緊張や不安を感じて胃がいてーよ」
「え? 四条さん、いつも、マイペースに取ってるじゃないですか。全然、緊張してるように見えませんけど……」
「そういう風に見えないのは、たぶん、俺が緊張や不安を感じている自分を受け入れてるからだ」
「緊張や不安を受け入れる?」
「だいたい、平常心、平常心とか意識してる時点で平常心じゃねーんだよ。そんなこと意識する暇あるなら、緊張してるなーって思いながら試合に入った方がいいよ。少なくとも俺はそうしてる」
光輝がぶっきらぼうに言うと、それを見ていた結姫はくすくすと笑っている。おそらく、これも元々は彼女の受け売りだったのだろう。
「結姫さんも大会とかは緊張するんですか?」
今の結姫の様子を見て気になったのだろう。森田が尋ねた。
「もちろん、するわよ。さっき、みーくんも言ったけど、そんな自分を受け入れて、試合の中で頭の整理をしていくの。そうすれば、いつの間にか普段通りになっていくわ。それに初戦は誰だって、難しい。その挽回のチャンスが来たんだから、今度は力に変えれるように頑張りましょ」
「はい!」
仙崎、光輝、そして、結姫が森田を励まし、少し元気を取り戻した。どこまで取りに影響が出るかはわからないが、落ち込んでいたメンタルも少し上向いた状態で2試合目に臨めるだろう。
昼食の時間を終えたあとに2試合目のメンバーと席順の順番を決める。
「おい、渡辺。1試合目の宮城と山口の試合見てたんやろ? どうやった?」
仙崎が先ほど、軽い偵察も兼ねて見ていた渡辺に尋ねた。
「とりあえず、A級2人は出てたけど、B級4人の内、2人は温存してたみたい」
ちなみにB級で出ていた選手は四将の阿部、五将の中岡の青葉白百合の2人、外れたのは三将の猪俣、六将の岸と仙台共栄組の2人。
「間違いなく、次はA級2人とB級3人で埋めてくるやろうなぁ……誰が漏れるか、やな」
仙崎が宮城チームのメンバー表を見て、どういうメンバー構成で来るかを頭の中で駆け巡らせる。
「肝心の上村はどの席におったんや」
「1番席だろ?」
仙崎が上村の座ってた位置を渡辺に問う前に光輝が間髪入れずに言う。
「そうなの。でも、上村君、山口の主将の一色さんに束負けしてたの」
「それなら、クイーンどころか、一色さんにも勝ってる光輝なら、やっぱりいけるんちゃうか?」
仙崎が楽観的に述べる。
「単純に強いっていうのもあるけど、一色さんの独特な感じを苦手にしてる人って多いのよ。それこそ、クイーンですら苦手らしいしね。さっきの試合の結果はあんまり、参考にしない方がいいと思うわ」
結姫が千里と上村の取りの相性を考慮し、そんな単純じゃないと、くぎを刺すように言った。
「それよりか気になるのはもう一人の佐々木っていうA級だろ? そっちはどうだったんだよ」
光輝が渡辺に聞く。
「さっきの試合じゃ上村君の隣の2番席に座ってた」
「A級2人を端に並べたってわけか。それやと、光輝と渡辺には予定通り1番か2番に入ってもらった方がええな」
渡辺の話に仙崎がそのような提案をする。
「でも、次の試合はどっちかは4番か5番の端の方に行くと思う。どっちが奥の方に行くかなんかだけど……」
仙崎の提案に対して、渡辺はA級の2人は離してくるんじゃないかと読んだ。ついでに1試合目は欠場した仙台共栄組の2人のB級で固めてくる可能性についても言及した。
「こうなると、難しいのは仙崎君をどこに置くかだけど、1戦目と同じく真ん中が無難かしらね。私は上村君の取りのスタイルを考えると、読手に近い方を優先すると思うから、真ん中より奥に座る可能性は低いかな」
結姫がそのように考察すると、
「だったら、仙崎君は4番に座った方がいいんじゃないかしら? 声出しとかは私と渡辺さんもなんとかするから。四条君と森田ちゃんは端で可能な限り自分の取りに集中できるようにしようよ」
山本は桜花女子で、渡辺は金城大付でそれぞれ主将をしているだけあり、団体戦での空気感は慣れたもの。山本は真ん中でチームを盛り上げていく方針を提案した。




