総文祭2日目 予選リーグ第2試合 VS.宮城代表① 試合前ミーティング
初戦を4勝1敗で乗り切り、快調な出だしを見せた大阪代表。2試合目は昼休憩をはさんでから行われるため、1試合目を終えた代表の選手たちは2階観客席の控えスペースで支給された弁当を食べている。
しかし、光輝は相変わらず、弁当に手をつけようとせず、持参したブドウ糖味の経口ゼリーをチュ~っと入れているだけだ。
「お前、相変わらずぶれへんな~」
「そりゃ、次の試合が一番、大事だからな。食べ過ぎて、調子崩すことだけは勘弁したいよ」
強化練習の時には食事に関して、うるさく言っていた結姫も今日は本番ということもあってか、コンディション優先で光輝の好きにやらせてる模様だ。
そんな初戦の快勝ムードで意気揚々とした面々の中で一人、その波に乗れていないのが1試合目でただ一人、敗戦を喫した森田だ。
「森田さん、どうしたの?」
弁当にほとんど手を付けず、しゅんとした様子の森田を結姫が気にかける。
「すいません。あーしが勝ってれば、全勝だったんですけど…………」
やはり、チームでただ一人、黒星を喫したことに責任を感じているようだ。
「森田さんはジョーカーを引いたようなもんだからな~」
「たしかにあーしの相手、無段とは思えないほど強かったです。でも、勝てない相手じゃなかったです…………」
それを見て光輝が気休めを言うが、森田の気分は晴れない。
「たしかにこれが普通の大会やったら、ここで終わりやけど、この大会は予選が総当たりのリーグ戦や。まだ、挽回できるチャンスはあるで。森田の実力、こんなもんちゃうやろ? 次の試合でそれを見せてくれたら、ええんや」
「仙崎さん…………」
「なにより、チームは勝っとる。団体戦は自分が星を落としても、誰かが星を拾えばカバーできるんや。もう少し、気ぃ楽にしいや」
「は、はい!」
森田は少し赤面しながら、元気よく返事した。その様子に結姫含めた他の女性陣は「おっ?」となった。
「でも、今のあーしじゃ、次の試合は足を引っ張ると思うんです。殿山さんの読みにも慣れてる高山さんが出た方がいいんじゃないかと…………」
だが、先ほどの結果で自信が持てないようで、やや声が沈んでいる。
ただ、後半はだいぶ、持ち味を取り戻していたのは試合を早めに終わらせて見ていた光輝と仙崎、観覧スペースで見ていた結姫や控えメンバーも同様だった。次戦の宮城チーム相手には欠かせない選手なのは間違いない。なんとか、次戦に向けて、気分が上がるような言葉をかけてあげたいが……
「ほら、仙崎。あんたから言ってあげなさいよ」
と、森田から名指しで出場を薦められた高山が仙崎を小突いて、けしかける。
「えー、なんで、俺やねん」
「いいから」
そう高山に言われて、しぶしぶ、森田にひねりの効いた励ましの一言をどうかけるべきかと考え込む。
「まぁ、さっきも言ったけど、森田の実力はこんなもんちゃうし、さっきの試合後半でその片鱗は見せてた。実際、試合が進むにつれて、取れるようになってたやろ? だから、次は本来の森田かそれ以上の力が出ると思ってるんや」
ひねり出した励ましの台詞を言うが、
「でも、緊張して、さっきみたいに出だしが悪ったら、不安で…………」
仙崎の言葉でも森田のネガティブな思考は消えなかった。
「緊張や不安を感じて、何が悪いんだよ」




