総文祭2日目 予選リーグ第1試合 VS.北海道代表①
朝食の時間が終わり、ホテルに滞在するそれぞれの代表チームの面々がバスに乗り込み、会場の長良川レインボードームへと向かう。
会場に到着して、改めてメンバーの確認と受付を済ませて、前日の開会セレモニーのように都道府県ごとに列を作って、それぞれが並んで待機し、競技本番となる今日は開会式。この日も実行委員長の仲田が開式の宣言を行う。仲田は自身も岐阜県代表チームのメンバーとして出場するため、ジャージと総文祭用のTシャツに着こんでいる。
そして、前年優勝の東京都チームの主将・石崎良太によるトロフィーの返還、岐阜県チームの主将・佐曽利都古が選手宣誓の後、閉式のことばをもって開会式は終了。体育館上にある二階の観客席にそれぞれ、チームごとのスペースが用意され、代表チームの面々がそこに集まり、初戦のメンバー決めをする。
大阪府チームは特に選手の状態も問題なさげなため、昨夜の作戦通りのメンバーと席順でいくことにした。
「よっしゃ、このまま、行こうか!」
仙崎が気合の入った声で言うと、
「ふふふ……ここは主将に景気づけに一発、決めてもらわないとね~」
後ろから、いるはずのない人の声が聞こえてきた。面々がその声に驚き、光輝にはあまりにも聞き馴染みのある声だけに尚更だった。
「ゆ、ゆき姉、なんでいるの? ……っていうか、いつ来たの?」
「今朝、始発でね~。それにみーくんには岐阜なら近いから応援にいってあげるって言ってたじゃない」
だからと言って、こんなに実際にフットワーク軽く来られると、光輝以外のメンバーもさすがに困惑する。
「ほ~ら、私のことはいいから、大事な初戦なんだし、主将がしっかり音頭をとらないと!」
「えぇ~、俺、そういうの苦手なんだけど…………」
結姫にトンっと背中を押されて、みんなの中心に入り込んでしまった光輝。その口からどんな言葉が出るのか、一同が注目している。
「えぇ~と…………初戦ということでエンジンのかかりが遅く、団体戦の大会は自分としては初めてのようなものなので、足を引っ張る場面もあると思います。だから、みんな、力を貸してほしい!」
光輝が力強く言うと、全員がコクンとそれに応えるように頷く。
「この試合、出ない人、読手の殿山さん、後藤先生、応援に来てくれたゆき姉も……大阪代表、全員で力を合わせていきましょう!」
そう言って、光輝が円陣の真ん中に握りこぶしをつくった右手を差し出すと、メンバーの手が続々と重ねていく。
「さぁ、いこう!」
「ハイッ!!」
光輝が熱く一言で締めると、メンバーも大きな声で返して、気合が入った。それに初戦のメンバー外の選手や後藤先生、結姫はパチパチと拍手をして、送り出す。気力十分で初戦を迎えることができそうだ。
ちなみに結姫は光輝があんまり人を引っ張る性格ではないと思っていた中で、今のような言葉が出たことに驚きと感動を覚えたのだが、光輝は高校の野球部に所属していた友人が円陣でそのようなかけ声をしていたのを見様見真似でやっただけだった。




