総文祭2日目 朝食の時間③ 光輝の勝負飯(後)
「そっか~。これも四条くんの強さの秘訣か」
「強さに結びついてるかはわからないけど、こうすると、なんか落ち着くから自分の中ではルーティンみたいになってたっぽいね」
「それって、けっこう大事なことだと思うな。そうだ、あたしも何か食べよ!」
千里がそう言って、食券を買いに立ち上がり、光輝も汁のみ残した丼を返却口に返すべく立ち上がった。
「えー! ここ、現金しか使えないのー?」
光輝が丼を返している最中に千里の悲痛な叫び声が聞こえてきた。
今はスマホ一つでクレジットカードやコード決済など、いろいろな会計方法があるため、財布がなくてもなんとかなる時代になった。光輝のバイト先のコンビニでもこの手の客はよく見かけるので、こういう光景は珍しくない。ただ、そんな時代でも現金にしか対応していないところもまだまだ多くある。今回は食券の機会が現金にしか対応していなかった。
見かねた光輝が千里のもとへとスッと近づき、
「どれがいいんだ? 千円ぐらいまでなら出すぞ」
「えっ? そんな悪いよー」
「どうせ、この後、会場で会うんだし、あとで返してくれたらいいから」
「うぅ、ごめんだよう…………じゃあ、このモーニングセットAで」
千里にそう言われて、光輝が千円札を入れて、サンドイッチ&コーヒー付きのモーニングセットAのボタンを押して、食券を発行。それを手渡した。
「お礼にサンドイッチ、一つあげる」
「やーだよ。いらないものは腹に入れたくない主義なんだ。お前がいらないなら、勝手に残してくれていいから」
「男の子なのにデリケートだねー、四条くんは。まぁ、そういうところもいいんだけど」
「それ、褒めてんのか?」
「あたしポイントは高いね。じゃあ、コーヒーだけでももらってよ。それなら、いいでしょ? あたし、コーヒーあんまり好きじゃないし、お冷でいいや」
「あんたもそういう変なところは律儀だなぁ……」
「四条くん的にはポイント高め?」
千里が顔をニヤニヤさせながら聞く。
「ポイントはわからねーが、嫌いじゃないよ」
光輝がそう言うと、千里はご機嫌な様子で食堂のおばちゃんからサンドイッチを受け取り、光輝はコーヒーをそのまま運んで、二人でモーニングを嗜み、いい朝の腹ごしらえができたのだった。




