百合
「なら、日本にもユリ根とかあるんだから、そう言ったもっとマシなもの食べたらいいじゃないですか」
ユリ根か?そうだな、それは確かに向こうのスーパーでも見かける食材だけど…。
調理の仕方を知らない訳じゃないけど、キノコや球根は手を出さないよ。ユリ根のクッキーとか小洒落た食べ方もあるけどね、どれが毒あるかわからんのにユリ根なんか食べれる訳なかろ、雑草のがはるかに安全じゃないか。
スーパーにあるなら毒抜きもされて安全かもしれないが、飽食の世界でユリ根を食う方がおかしいんだと思わないか?
後は、山にあるミツバチの巣も素人だと手を出せない。
危ないと言うより、この世界の植物は毒のある蜜も多いから、毒が混じっている可能性が高いからね。
ごくたまに、毒花の蜜が市場に出ていたりするが、あれは食べ物じゃなくて弓の鏃に塗りつける毒として売られているからね。
蜂蜜は専門家が鑑定した専門店店でしかかっちゃならん、簡単に考えて蜜を食べようもんなら軽く死ぬるから食べぬよ。
「そうですよね、台所でジャガ芋の芽を執拗に取り除いてましたよね」
「昔知らなくて当たった」
「………………………ああ、なるほど」
ジャガ芋の芽中に含まれるソラニンとやらの毒性は強い。
半端に取り除いた状態で蒸かして食べたら苦しむんだぞ。
今は確実に取り除くけどね。
ファンタジーの王族だと、ご飯に毎食少しずつ毒をまぜるっていうけど、炭を毎食混ぜてるから体に耐性できてんじゃないかなーなんて考えてたりするけどね。
「影丞さん?毒性予防にしても、昔から肉とかの焦げた炭が癌になる原因だっていわれてたって知りませんですか?」
…ほぅ?
「…動物性脂肪が焦げた物の話だから大事だと思うんですけど。」
「それは初耳だな。」
動物性じゃなくて植物だから多分大丈夫だよね?
それに、ラーメンの麺の材料のカンスイも植物性だし、きっと大丈夫。
「何事もほどほどがよろしいかと」
「そうだね、急須にひとつまみくらいなら大丈夫だよね」
そうだ、炭ドクダミ茶は体にいいはずだけど、持ち歩く炭の量は少し減らそうと思うんです。
でも、お茶に炭入れるのどっかにあった気がするんだけどな…。
閑話休題
蒸かした里芋とザッソを朴の木の葉っぱに移す。
朴の木の葉っぱは、40センチ近いくらいまで大きくなるので、お皿の代わりや、包み焼きなんかにも使える優れものだ。
ほうとは“包”焼きにするときに包むからって意味もあると健も言っていた。
でも、やり方は知らないから無闇に出来ない、焼き芋みたいに直火?
前にマスを蓮の葉っぱで包んだのは大将に任せちゃったからね~。
焚き火で出きるものなのか今度教えて貰っとこうか。
「影丞さん、考えてないでたべましょうよ」
雅美ちゃんの言葉で我に返ると、だいぶ日も傾いてきている。ご飯の支度に時間かけ過ぎたか。
背の高い木に囲まれた森の中だから暗くなるのがいつもより早いねぇ。
「そうだね、とりあえず食べながら考える」
腹が減っては戦はできぬ。
戦じゃないけど、やり方は食べながら考えよう。
「何を考えてるのか聞きませんけど、あんまり捻りすぎないでくださいね」
「朴葉の包み焼きは直火でいいのか考えてた」
「それなら、焚き火の残り火の中に置いとけば出来ますよ?」
ホイル焼きと同じだから、余熱で30分放置すればいいんだと。
健なら迷わず焚き火に投げ込んで炭にするだろうし、真一はそれを見て多分次の支度をしながら同じ事をするだろう。
そして、誰も食えずに終わる。
「やっぱり女の子が一人いると違うなぁ」
「女の子云々じゃなくて、常識の範囲で試してったら出来ただけなんですけどね」
あちら側でも料理のレシピを知ってる人があまりいなかったから試したんだって。
付き添いで来てる騎士は貴族とか身分高かったりでやってくれなかったんだそうだ。
雅美ちゃんも苦労人だねぇ
「やたらめったら試したりするのもどうかと思うんですけどね」
向こうに、料理をやたら手伝いたがる男子もいたそうだけどいい結果は得られなかったそうだよ。
ポーションを混ぜたソースを作ったり、薬草を乗せたピザとか…。
とりあえず、料理に回復系の物を忍ばせて、ゲームの中みたいに《料理品を食べて回復》をやりたかったのだそうだ。
回復するだけポーションを混ぜるとどうなるのか?ひたすら不味いだけで制作者以外は誰も食おうとしなかったそうだ。
制作者は嬉々として戦闘にピザ食べたりしてたそうだけど、せめてクッキーとかでよくね?
でも、オレ達なんかまだまだだね。
上には上がいるもんだ。




