アザー=他人ですW(OP健目線より
「なんか、この建物から醤油の匂いがしてない!?」
「えっ、ウソ!?」
「マジか!?」
後ろの席についた連中からそんな会話が聞こえて来た。
あまりよく見ていなかったが、日本人らしからぬ金髪の集団だった気がするから気のせいだろう。
醤油なんて日本人しか知らないらないハズだから日本人かもしれないが、焼おにぎりを食べたのは大分前だし、その残り香で気付くのだからた大した物だと感心する。
「え、あっ、ウソっ、本当に醤油の匂いがする」
「エミリちゃんお手柄だよっ!
「よく気づいたよね」
背中向けてるから、誰が話しているかなんて判別がつかねえけどキャイキャイキャイキャイ騒がしい姿はモスあたりにいる女子高生のアレだ。
おれ今居るのはギルドが買取の査定中に待機したりするためにテーブルを何個かセットでおいてある大部屋、普通に待合室とかロビーともいう。
ただし、今居るのは港町の冒険者ギルドだ。
朝方弁当を抱えて向かったのは市場にカツオがないか調べるためだ。
実際見当たらなかったから冒険者ギルド経由で漁業ギルドにカツオの捕獲依頼を作成中なんだが、タイミング的に少しまずったなと思っている。
後ろの連中がどういった理由でここにいるのかわからないが、雅美ちゃんの知り合いだとたら…いや、知り合いだとしなくてもこのまま依頼を出してしまうとヤバい気がする。
「受付さん、ちょっと外にいってくるわ」
「わかりました、依頼書は夕方までにお願いします。」
書きかけの依頼書を懐にしまい、さりげなく後ろが煩いというジェスチャーをしながら受付に行くと、受付さんも理解してくれたらしく引き止められる事なく通り過ぎる。
しかし、このギルドの受付さんチチでっかいな。
話しかける度にたゆんたゆんゆれるんだぞ?顔は童顔でかわいい系だし…真ちゃん影ちゃん、拠点こっちに移してもいいか?
◇
夕方ギルドに行くと連中がまだ話をしていた。
いや、ちょっと見ただけでそれと解るくらい散らけている。
マナー云々をとやかく言うつもりはないがファミレスでダベっている女子高生のが大分ましなんじゃないか?影ちゃんなんて慎ましく三歩後ろを歩いて迷子になるんだぞ?中身が男の影ちゃんと比べても、やはりあの連中が大和撫子である訳がない。
―放置だ。一応匂いがしないように着替えてから来たんだが、そのまま正面から入る気がしなくて裏口へ回る。
「…なんだこりゃあ」
ギルドの裏口は買取専門の倉庫があるんだが、その倉庫の天井近くまで積み上げられた魔物の死体に言葉を失う。
ギルド職員らしき人達が所狭しと歩き回っている。
通常なら査定が終わればしまってしまうのでこんなに沢山の死体が積まれている事はないので絶句する他ない。
「あ、先程の方ですね。わざわざ裏口まで申し訳ありません。ギルド職員全員で査定をしてたものでっ!」
査定中とは言うが解体でも担当してたのだろうか両手に付着した血を拭いながら歩いてきたのは、昼間受付をしていた女の人だ。
「受付のお…お姉さん!苦労さまです。すごい数ですね近くで大規模討伐でもあったんですか?」
おっぱいさんといいかけて言い直したのは内緒だ。
「いえ、大規模討伐は国が引き取りますからギルドには来ません、朝はもっと沢山あってやっと半分位になった所です。」
「半分?やりての冒険者グループが帰ってきたらこんな感じになるんですか。」
「まさか、ありえませんよ」
じゃあ何で?と聞こうとして口を紡ぐ。魔物の少ない冒険者ギルドでの大量持ち込みといい、たむろする女子高生といい、なんだかこれ以上踏み込んではいけない気がする。
「まあいいや、これはさっきの依頼書なんですけどお願いできますか?」
「ありがとうございます。ここ(・・)で大丈夫です。確認させて戴きます。
…不備はありませんね、こちらが控えになります」
魔法で複写された紙を渡される。
「“素材屋さん”として気にならないんですか?」
見たことのない魔物が大多数だからこその発言なんだろうが、この街で素材屋の名前が出てくるとは驚いた。
「魔物の素材はあまり感心がないから気にはならないかな。昔の事は恥ずかしいから引き合いに出さないで欲しいかな」
「素材屋さんは若手の中でも有名ですからね。そうそうステータス測定も初めての街なら無料でかまいませんよ?」
ギルド職員なら一年近く更新してなのは調べればすぐわかるのだろうし、純粋に善意のようなのだが、“無料”で更新が可能だなんて情報は初めてきいたな。
さては、ギルド職員の中でで賭けでも始めたのか?
そもそも無料だなんて特例がある訳がないので軽く流す事にする。そんな事をしてたら冒険者が転々と流れて行ってしまうから禁止されてたんじゃなかったか?
「遠慮しとくよ、そうゆう楽しみ(・・・)はメンバー全員でやりたいから。」
「そうですか残念です」
彼女の助言は尤もらしい理由に愛想笑いを交える事でスルーする事に決めた。
「そうだ話が変わりますけど、素材屋さんの所でショーユなんて食べ物って扱ってたりしますか?」
「ショー…この辺りにはそんなもんなかったとおもうんだが?」
彼女がウチにそんな事を聞いたのは結構な数の依頼書を過去に提出しているからだろう。
回収された物はまだないがな、素材屋の名前が売れた理由に未回収になりがちな依頼を 出す困ったさんと言うのがある。
カツオかなりの金額出したんだが、それまで回収されなかったりしたらそのうち専用の掲示板が出来そうでいやなんだが、常駐依頼にしてあるから安いし見つからないわで依頼が溜まる一方だ。
「ショーユとゆう液体らしいんですけど、素材屋さんが居なくなった後で匂い(・・)がしなくなったってあの人たちが大騒ぎして大変だったんです。」
それが面倒で受付から脱出たんですか?とは聞くまい。さて、やはり発生源がいなくなれば匂いも消えるわな。
…どうしたものかと考えるまでもなく、調度良いのがあったじゃないか。
「そうか、これの事かも知れないな」
黒く淀んだ液体が入った瓶を受付嬢に見せる。
「あっ、黒いですけどなんですかコレ。」
「セソとかセユ(・・・・・・)とかいう植物の灰を溶かして煮詰めた“顔料”なんだ。」
これこそ醤油のあとに廃棄が決まった件の灰汁、なんちゃって醤油。味はともかく匂いだけなら醤油だし、冒険者なら匂いの強い香水を混ぜた顔料で分岐点に印を着けていく事が多いから食べ物ではなく顔料とかペンキ扱いにしてしまえばいい。
「確かに昼間にこの匂いしてましたね。」
「さすがに、食べ物とは言い難いけど、食べても毒じゃないよ。」
むしろ、口にしたおれ達が勇者に違いない。
「もしよかったら彼女達に説明を…」
「したくないからタダでわたしてやっていいい代わりに名前はださないでくれ」
「…えぇっ!?」
受付嬢がなにやらオレの行動にに驚いているが気にしない。
驚くというよりアテが外れたって感じか。
そうはイカのキンタマ様よ。
「それに、妹が居ない所で他人と会うと後で怒られるんだよな」
どうせ廃棄予定だったからね、と付け加え受付嬢の手に握らせる。困った時の妹の監視が厳しいと言う言い訳はしょっちゅう使っているからこれでいいだろう。「やっぱりシスコンて本当なんだ」なんて呟いているのを聞き流しギルドを後にする。
ご苦労さまとかなんか一言あると思うんだけどなんも言われなかったゾW
表通りに出て西に傾いた夕日がの眩しさに手をかざしながら思う。
すまん影ちゃんWおれ達のW兄妹W愛Wの深さWはWしっかり隣までW届いてWいたWWWWWよWWWWWW




