意地ですか
カッカッカッ…
「眠い…」
カッカッカッ
「耐えろ真一寝たら飯食えねぇぞ」
徹夜のおかげで二人は目の下にクマを作って作業をしている。
眠いなら寝ればいいのにな。別に誰かから依頼されてる訳でも無いのしご飯はオレが支度しているのにどうしてお椀という器にそこまで情熱を注げるのか…
カッ…カッカッカッ
鍋の前でノミを使う音を聞いていると、時間がたつにつれ段々乱れてきている
昨日焼き上げたらしいどんぶりはガラス質にはならず土器とか安い鉢植えとに見えなくもないが、表面はしっかり焼かれているのでどんぶりとして十分使える物だし、お椀は二人が頑張って彫っている。
「あの二人まだかかるんでしょうか…」
「…たぶん」
雅美ちゃんが暴走している二人をどうにかしてほしそうにしている。待たされる側としては器はもういいから食べたい。
「…お腹すきました」
「ごめんねあの二人おかしな事になってるみたいで…」
味噌汁と牛丼は朝から作ってたおかげで盛り付けさえすれればすぐにでも食べれるのだが、お椀がどうしても欲しいと二人がストップをかけているおかげで、こちらまでおあずけをくらっている。
小腹どころか普通にお腹がすいてきている。お新香をつまみ食いでもしてようか。
「ちょっとまってて」小さな樽の中に仕込んでおいたのは、味噌と醤油を塗りつけた白菜とキュウリ。
葉っぱを三枚ばかり剥いてわざとらしく包丁の音を立てながら適当に切っていく。
「こんなんしかないけど…」
「白菜の味噌漬けって初めてみました」
「オレも初めて試すけど生で食えるなら漬けても食えるでしょう」
「…白菜は白菜ですからね」
そういいながら二人で白菜漬けをシャクシャク食べる。
浸かるまではいかないみたいだがつまみ食い(味見)するにはなんでもよかろう。
「二人ともいつもこんな調子なんですか?」
雅美ちゃんが不安そうな聞いてきたのだが、普段ならアソコまでおかしくはならないし途中でとっとと寝落ちしてるはずだ。醤油か女の子のどちらかにいつもより視界が狭くなっているのかもしれないが…。
「いや?二人だけあんな感じになるの初めてじゃないかな。」
そもそも、普段なら三人が三人ともあの状態になっている位はままあることだ。
今回オレがこうしているのがおかしいのかもしれない。
「二人と一緒だから影丞さんは今まで無事で居られたんですね」
「それは否定できないけど、普通はよく無事だったね位いわれそうだけど?」
男二人に女一人だ肩身の狭い思いをしそうなのだが、扱いがほとんど向こうと変わらないくらいには気安い相手らしい。
「まさか襲われそうになった事あるんですか?」
雅美ちゃんが声を潜めて聞いてくるのだが、逆に二人がいる限り襲われる事はないんじゃないだろうか。
でも、もし襲われてたら今頃一緒にはいないんじゃないかな?こんなナリでも男としてのプライドはまだあるからね?
「ないよ?奇襲した事はあるけど」
「マジすか?」
マジです。




