どうしようか?修正版
夕飯時テントの中でなんともいえない顔で座っていた真一が口を開いた。
「なんかさ、昔の見たテレビの特番に古代文明の謎を追えっていうのがあったのを思い出すよね」
「アステカですね。わかります」
健も何やら納得しているが、マヤとかテスカボリトカとかですね。
「オレは南アジアだった。」
盾の精霊とかあったよね。
バリのお面なんてネタもあった気がするが、なまはげのがまだかわいげがある。
「「「どうしよう?」」」
三人の視線の先には魔改造された仮面が転がっていた。
◇
「顔に布を巻くくらいで大丈夫か?」
「夏場はただでさえ蒸れるんだからかぶれるんじゃないか?」
「それじゃ、風通しを考えるならベールなんかは?」
「ダメ、影丞がそれやったら絶対周りの気を引く」
只今代用品の相談です、被れる物をいろいろ出し合ってます。
「ギャルのパンティだったら俺がかぶりたいんだけど…」
「「まてや真一」」
わざわざ性癖を披露せんでいい、ふぅおぉぉとかいいながらリミットブレイクする気か?
おいなりさんやらグレコローマンはいらんのよ?
「魔法陣の化粧したらどうだ?」
とは健、この世界の魔法使いの人は、杖の代わりに体に魔法陣を模様として書いたりするからそれを参考にしたらしいが。
「…顔が隠れないな。」
「エキゾチック過ぎてみられたもんじゃないな」
模様は棄却されした。
とりあえず風に強くある程度頑丈な物をアイテムボックスから取り出そうという話になる。
「一番、真一亀の甲羅。」
見ためも何の変哲もない亀の甲羅を地面に置く真一。
「不気味さは変わらないな。」
「とりあえず保留?。」
「二番健予備の肩当て。」
棘付きの肩パットを健が取り出した。
「しかも、ヒャッハー鎧の肩当てか…。」
「いろいろ突き破りそうだから却下。」
「三番、影丞。」
俺がそっと地面に置いたのは両サイドに紐がついた布。
「!?」
「…なんだコレ。」
怪訝な顔をして布を眺める健とは対照的にアワアワと真一が挙動不審になる。
「これはですねぇ、真一が筆卸した日に持ち帰った女性のんむむ゛ー」
「影丞?!?絶対言わないって言ったよね言ったよね!ねぇ!?」
真一がオレの口を鼻ごと押さえ、文字通り口封じをしているから呼吸が出来なくて必死に抵抗する。
言ってしまった後でいくら口を押さえてももはや手遅れだと思うから手を離して?
自力じゃ真一の力にマズ勝てないから手を離して?
―シヌ
「ほほぅ?これはもしや下町人気ナンバーワンの…」
その様子を見ていた薄情者の健が、件の布にゆっくりと手を伸ばすが、それより先に真一が覆い被さるように奪い取る。
「触るなっっ!」
「あははは、呼吸出来ないとかシャレになんね。」
「影ちゃん大丈夫か?」
ガルルルッと威嚇している真一を後目に健は影丞の背中をさする。
うん、これは間違いなく健に助けられたね。でも、贅沢を言うならもう少し早く助けて?
背中をさすられてても別にオレが下呂りそうな訳ではないからやめて、息が苦しいのにくすぐったいとかどんな嫌がらせだよ。
そうしていたら、横の健が小声で耳打ちする。
「影丞さんや、あれはマリーさん(源氏名)のスキャンティーですかな?」
「その通り」
「なんで持ってんだ?」
あれはですね。
「真一が、寝る前に取り出してはニマニマしてて気持ち悪いかったから取り上げた。
その内なんかあった時にエサになるんじゃないかとかんがえたんだけど。」
「…真一にエサあげちゃダメだって言ったよな。」
「治らないみたいだね~」
こっちには、向こうみたいな下着なんかなかったんだけど、真一が服屋に試作品を持ち込んでから、店側のインスピレーションを刺激したらしくて今色んな形の下着が出回るようになった。
マリーさんのスキャンティーは紐パンだけどフォーマルなタイプだ。
一度ヒモティーの試作品を持ち込もうとしていたから必死になって止めたのは記憶に新しい。
ないとは思うが、そんなもん流行らせられた日には、まさに異世界の恥だ。
故に、今回は真一がエキサイティングな自家発電をする前に二人がかりで取り上げました。
そしたら、真一がふて寝に入りって翌日堅牢な寝袋に入った姿で発見された。