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魔境に自分好みの家をDIYで建てたら、居心地が良すぎて「絶対不可侵の神殿」と拝まれていた件  作者: dapon


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第63話:聖王国の冷え切った教会と、極上「癒やし空間」リフォーム

第63話をお読みいただきありがとうございます!

国境の検問所をポカポカの快適空間へと変えたタクミ一行。

今回は、悪徳枢機卿派の支配によって冷え切ってしまった聖王国の地方都市の教会を舞台に、硬い長椅子と冷えた礼拝堂を極上の「癒やし空間」へと劇的ビフォーアフターします!

国境を突破したタクミ一行の特製キャンピング馬車は、『エルディニア聖王国』の地方都市『オラリア』へと到着していた。


かつては慈愛に満ちた祈りの声が響いていたはずの街だが、現在の街並みはどこか重苦しく、行き交う人々もうつむきがちに寒さに震えて歩いている。

枢機卿派の過酷な重税と、民衆を縛る冷たい教義のせいで、人々の心まですっかり冷え切ってしまっているようだった。


「ひどい有様だな……。教会の神聖な光景が、まるで冷たい独房のようだ」


馬車の窓から街の教会を見やったガルドが、険しい表情で鼻を鳴らす。


「あそこは私がかつて巡礼で訪れた場所……。あんなに温かかった教会が、どうしてこんなに冷え冷えとしているのですか……」


フィオナが胸を痛めながら、ショールをきゅっと引き寄せた。


「ふん、民の信仰を冷やすような愚劣な神殿など、我が師匠のDIYですべて叩き直してやるべきですな!」


助手席のバアルが腕を組み、不敵に笑う。


「そうだね。外の空気がこれだけ冷たいと、中にいる人たちも体調を崩しそうだし……ちょっと教会の中を見せてもらって、環境を良くさせてもらおうか」


タクミがそう言って馬車を降り、一行はオラリアの古びた教会へと足を踏み入れた。


しかし、一歩中に入った瞬間、タクミの職人としてのセンサーがピクリと反応した。


(うわ……外より寒いじゃないか。石造りの床からの底冷えが凄いし、礼拝用の長椅子はクッション性ゼロの木製で、座ったら腰が痛くなりそうだ)


【万能資材目録】を起動すると、教会の内部環境が瞬時に解析された。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【資材名】聖王国・オラリア中央教会(礼拝堂)

【状態】室温8℃、湿度20%、床面放射冷却による極度の冷え、木製ベンチの硬度超過

【対策】温水床暖房の敷設、モコモコ低反発クッションベンチへの改修、調湿クロス施工

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「これはひどいね。お祈りに集中したくても、寒さと体の痛みでそれどころじゃないよ」


タクミがそう呟くと、教会の隅で震えていた初老の神父が、おずおずと近づいてきた。


「あ、あの……旅の方々。ここは聖導派の管理する厳粛な礼拝堂です。勝手な真似をなさると、異端者として……」


「あ、神父さん、こんにちは。僕、こういう者ですが……この教会の寒さと硬い椅子、ちょっと気になっちゃってさ。勝手に入ってごめんね、すぐに居心地良くしちゃうから!」


「は……? 居心地を……?」


神父が戸惑いの声を上げる間もなく、タクミは【極限加工】を全開で発動させた。


まず、冷え切った大理石の床の上に、特殊な『高断熱材パネル』を敷き詰め、その上から足元全体をじんわりと温める『温水式床暖房システム』を秒速で構築する。

さらに、壁面には室内の乾燥を防ぐ『天然珪藻土クロス』を美しく貼り巡らせた。


そして最大の難所である、硬い木製の長椅子(ベンチ)だ。


「よし、このベンチは座面をいったん削って……と」


タクミが愛用の工具で長椅子の座面に手を加えると、瞬く間に『厚手モコモコ低反発ウレタン&起毛ファブリック』仕様の極上ソファーベンチへと生まれ変わった。


仕上げに、天井の薄暗い魔導照明を、暖かみのある『全方向型・調光LEDペンダントライト』へと交換する。


作業にかかった時間は、わずか数分。


――瞬間。


「……っ!?」


教会の中にいた神父や、わずかに残っていた信者たちが、一斉に目を見開いた。


足元からじわりと伝わってくる、お風呂上がりのような心地よい温もり。

カサカサに乾燥して冷たかった空気が、適度な潤いを含んだポカポカの春の陽気のように満たされている。


そして、試しに新しくなったベンチに腰掛けた神父が、あまりの心地よさに声を漏らした。


「な……なんだこれわ……!? まるで雲の上に座っているかのように柔らかく、体の芯からポカポカと……! 腰の痛みが一瞬で消えていくぞ……!?」


「うわぁ……! 教会の中が、お部屋みたいにすっごく暖かいよーっ!」


セナが床の上にちょこんと座り込み、その温かさにうっとりと目を細める。


「なんと……! 殺伐として冷え切っていた教会の空気が、これほどまでの『癒やしの聖域』に変わるとは……! 流石は我が師匠、神業を通り越して奇跡ですぞ!」


バアルが感動のあまり両手を広げ、アルヴィスは狂喜乱舞しながら手帳に『無音輻射熱・全館癒やし結界(床暖房&低反発ベンチ)』と書き殴っている。


「これが……タクミ様のDIY……。冷え切った聖王国の教会が、こんなにも温かな場所になるなんて……」


フィオナは温かくなった空気を胸いっぱいに吸い込み、感動に瞳を潤ませた。


「どうだい神父さん? これならお祈りにも集中できるし、みんなも風邪をひかずにすむだろ?」


タクミが爽やかに笑いかけると、神父はボロボロと大粒の涙を流し、その場で崩れ落ちるように深々と頭を下げた。


「あぁ……神よ……! 我らを見放さず、このような温もりと救いを与えてくださり、ありがとうございます……!」


(いや、神じゃなくてただのDIYアドバイザーなんだけどなぁ……)と思いつつ、タクミが苦笑いしていると、街の方向から騒がしい足音が近づいてきた。


どうやら、教会から漏れ出た「あまりの快適な温気」を不審に思った聖導派の地方役人たちが、慌てて検分にやってきたようである――!

第63話をお読みいただきありがとうございました!

冷え切った地方都市オラリアの教会を、温水床暖房と低反発クッションベンチ、珪藻土クロスで極上の「癒やし空間」へと劇的ビフォーアフターしてしまいました。

次回第64話は、教会の変化を嗅ぎつけた聖導派の役人たちが押し寄せてきて……? タクミたちのDIYが聖王国全体を揺るがす大事件に発展!? お楽しみに!

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