第59話:歪んだ魔力と、有圧換気扇による空調革新
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見た目は豪華だが換気不全で魔力酔いが蔓延していた『魔法技術都市エル・グラード』。
大魔導炉の爆発危機を、タクミの「有圧スパイラルダクト&強力換気扇DIY」で一気に劇的ビフォーアフターする爽快回をお届けします!
「……うっ、なんだか頭が重くて、胸がむかむかするよぉ……」
『魔法技術都市エル・グラード』の美しい水晶飾りの大通りへ一歩足を踏み入れるなり、助手席のセナが額を押さえて眉をひそめた。
街並みは水晶の塔が輝き、空中を魔導船が行き交う未来的な絶景だ。だが、一見すると華やかな都市の内部には、どことなく重苦しく湿った不快な空気が淀んでいた。
「セナさん、大丈夫ですか? ……タクミ様、これは都市全体を覆う二重魔導障壁の内部で、過熱した大魔導炉の排熱と不完全燃焼を起こした魔素(魔力成分)が逃げ場を失って滞留していますわ」
フィオナが探知魔術を展開しながら、眉をひそめて街の奥を見つめる。
「なるほど……気密性を高めすぎて換気・排気設備を怠ったせいで、室内に毒素と熱気がこもり続ける『シックハウス症候群』と同じ状態ですね」
タクミは【万能資材目録】を発動させ、都市の建築構造を分析した。
「水晶や魔導障壁で完璧に密閉されているのに、換気口(給排気ダクト)が小さすぎるうえにフィルターもない。これじゃ機器の誤作動も起こるし、住民が『魔力酔い』を起こすのも当然です」
「ふん、見た目ばかり豪華で、基本の『風の通り道』すら作れんとは呆れた街だな。我が魔王城の地下トイレでさえ、タクミ殿のDIYで換気対策は完璧だぞ」
作業着姿のバアルが腕を組み、呆れたように水晶の塔を見上げる。
その時、街の広場で人集りができていた。
「誰か……誰か大魔導炉の暴走を止めてくれぇっ! 排熱ダクトが詰まって魔力圧が限界突破しそうだ!」
白衣のようなローブを着た技師たちが、汗だくで悲鳴をあげている。中央の魔導炉からは、ドックンドックンと不気味な脈動とともに重苦しい熱気と濁った紫色の気が吹き出していた。
「このままじゃ大爆発を起こしてエル・グラード全体が吹き飛ぶぞ! だが、内部の魔力圧が高すぎて誰も近づけ――」
「はいはい、通りまーす。危険ですから下がっていてくださいね」
人ごみを押し分けてひょっこり現れたのは、工具箱を担いだタクミだった。
「な、なんだお前は!? 命が惜しくないのか! そこは高濃度の魔力熱気が渦巻く死域――」
技師の制止をよそに、タクミは【万能資材目録】と【極限加工】を同時起動した!
「排熱ダクトの径が小さすぎるし、角が直角で空気の抵抗が大きすぎますね。それに排気ファンがない。……よし、速攻で『有圧スパイラルダクト&強力有圧換気扇(防爆仕様)』を取り付けましょう!」
タクミの手によって、魔導炉の排気口が一瞬で滑らかな曲線の大型金属スパイラルダクトへと作り替えられていく。さらにダクトの先端には、超高速回転する大口径の『有圧換気扇』と、濁った魔素を浄化する『HEPA&活性炭複合ろ過フィルター』を固定した!
「仕上げに、給気口(吸気ガラリ)を反対側に開けて……スイッチ、オン!」
ブオオオオオオオオオオッ!!
凄まじい風切り音とともに、有圧換気扇が高速回転を開始した!
魔導炉内に溜まっていた不快な熱気と濁った魔素が、スパイラルダクトを通って一気に吸い出され、フィルターを通ることで澄んだ清涼な風となって都市の上空へと安全に排出されていく。
気圧差によって新鮮な外気が給気口から勢いよく引き込まれ、わずか数分で広場全体の重苦しい空気が嘘のように澄み渡った!
「あ……あれ……!? 頭痛が消えたよ! 胸のムカムカもなくなった!」
セナがパッと顔を輝かせる。
「な……なんということだ……!? 爆発寸前だった大魔導炉の熱圧が、一瞬で安全域まで下がった……!? 複雑な冷却魔導陣も使わず、ただの『鉄の管』と『回転する羽』だけで……!?」
技師たちが目玉を飛び出させ、その場に崩れ落ちた。
「ふふ、部屋の換気と排気ダクトの設計は、住環境の基本中の基本ですからね」
タクミが汗を拭ってニコリと微笑むと、広場に集まっていたエリート魔術師や技師たちが、一斉にタクミの前に平伏するのだった。
第59話をお読みいただきありがとうございました!
有圧換気扇とスパイラルダクトの圧倒的な排気力によって、都市全体の空気環境が見事に改善されました。
次回第60話は、エル・グラードの魔術師たちがタクミの「換気・ろ過理論」に大感動し、都市全体の空調大改修プロジェクトを依頼してくるお話です! 引き続き応援よろしくお願いいたします!




