第58話:魔法技術都市への到達と、規格外の二人のマウント合戦
第58話をお読みいただきありがとうございます!
無事に合流を果たした魔王バアルと剣聖ガルド!
二人が作業着やスリッパ、ウォシュレットの圧倒的な快適性を誇りながらエリート魔術師たちに最高のマウントを取る、爽快でコミカルな再会回をお届けします!
「おいおい、あそこに聳え立っているのが、噂の『魔法技術都市エル・グラード』かい?」
爽やかな朝の光が差し込む中、サンド・グライダーの操縦レバーを握るタクミが街道の先を指さした。
視界の先には、巨大な水晶の塔が何本も天を突き、都市全体が青白く輝く巨大な二重魔導障壁で包まれた、近未来的な巨城都市が広がっていた。空には魔導船が往来し、大門の周りには豪華な刺繍のローブを纏った魔術師たちが整然と行き交っている。
「うわあぁぁっ! すごい! 街全体がキラキラ光ってるよーっ!」
セナが助手席で身を乗り出し、目を丸くして歓声をあげる。
「うむ、あそこが王国の魔導技術の最高峰が集う街『エル・グラード』じゃ。魔導炉の排熱と魔力過多のせいで、都市内部の空気が歪み、機器の誤作動や住人の『魔力酔い』が深刻化しておると聞くが……」
バランドが髭を撫でながら頷く。
「魔力酔いに過熱、さらに魔導配管の目詰まり……典型的な『排気・換気・ろ過設計の不備』ですね。街に入ったら状況を見てみましょう」
タクミが納得したように頷き、都市の正門へとサンド・グライダーを滑らせた。
だが、大門の検問所に近づいた瞬間――数人の高位魔術師たちが、見下すような不躾な視線をこちらに向けてきた。
「おいおい、なんだあの奇妙な鉄くずのソリは? 魔法陣の刻印すら見当たらんぞ。田舎者がガラクタに乗ってやってきたのか?」
「まったく、ここは王国最高峰の英知が集うエル・グラードだ。許可証も持たぬ田舎大工が立ち入る場所ではない――」
エリート意識を隠そうともしない魔術師たちが冷笑を浮かべ、立ち塞がろうとしたその時だった。
「――ほう? 誰が田舎大工だと?」
重厚で地響きのような声が、空気を震わせた。
頭上から突如として放たれた圧倒的な威圧感(覇気)に、魔術師たちが青ざめてひれ伏しかける。
街道の脇から悠然と歩み出てきたのは、禍々しいツノと黒い翼を隠しもせず、しかしなぜか『紺色の作業着』を完璧に着こなした巨漢——魔王バアルだった!
「ま、魔王バアル様ァァァッ!?? な、なぜこのような場所に作業着姿で……!?」
「ふん、我が弟子であるタクミ殿のDIYをガラクタ呼ばわりとはな。貴様ら、我が魔王城の最新式・自動温水洗浄便座の至高の快適さを知っての言葉か? あのお方は、ただのボタン一つで全魔族の精神と腰回りを浄化された偉大なる『建造と水回りの神』だぞ!」
胸を張り、作業着の袖を誇らしげに見せつけながらマウントを取る魔王バアル。
さらに、反対側の街道からは、背中に巨大な大剣を背負った赤髪の豪傑——S級冒険者「赤獅子」のガルドが、ドシンと地鳴りを立てて現れた!
「ガハハ! 遅れてすまんかったな、タクミ殿! ギルドの緊急依頼なんぞ一揉みで片付けてきたぜ!」
ガルドは大剣の柄を叩きながら、慄く魔術師たちをギラリと睨みつけた。
「おいおい、エル・グラードのエリート様よぉ。このタクミ殿を舐めてしてもらっちゃ困るな。タクミ殿が研ぎ澄ました斧と、あの『衝撃緩和スリッパ』『万能滑潤スプレー(クレ556風)』の前に、俺の剣技すらただの枝払いと化したんだぞ! お前らの自慢の魔法障壁とやらも、タクミ殿の『高密度ウレタン隙間テープ』一枚で完璧に遮断されるのが目に見えるわ!」
「「「ひぇぇぇぇぇっ!??!?」」」
世界最強の魔王と、人類最高峰のSランク冒険者が、揃って作業着とスリッパ、ウォシュレットの快適さを熱弁しながら圧倒的なマウントを取りまくる!
魔術師たちは恐怖と困惑のあまり、開いた口が塞がらない。
「あ、あの……バアルさん、ガルドさん……合流してくれるのは嬉しいですけど、門の前で威圧しないでください……」
タクミが困惑気味に苦笑いする横で、フィオナが「ふふ、お二人とも本当にタクミ様が大好きなのですね」と温かく微笑むのだった。
こうして、心強い(?)仲間たちが全員再集結し、タクミたちは圧倒的な威容を誇る魔法技術都市エル・グラードへと一歩を踏み出すのだった。
第58話をお読みいただきありがとうございました!
無事にガルドとバアルも合流し、賑やかなフルメンバーで『魔法技術都市エル・グラード』へ潜入!
次回第59話は、輝かしい見た目とは裏腹に、過熱した魔導炉の熱気と「排気・換気不全」によって魔力酔いに苦しむ都市内部を、ダクト&有圧換気扇DIYで劇的ビフォーアフターするお話です! 引き続き応援よろしくお願いいたします!




