第49話:砂漠のオアシス廃墟と、太陽の蒸留水DIY
第49話をお読みいただきありがとうございます!
砂漠のオアシス廃墟で出会った、水分が尽きて倒れかける旅人たち。
タクミの【万能資材目録】と【極限加工】が炸裂し、太陽熱だけで無限に純水を生み出す『ソーラー蒸留器DIY』で、過酷な砂漠に新たなオアシスを蘇らせる心温まるエピソードをお届けします!
デス・アントライオンの強襲を鮮やかにかわし、サンド・グライダーを走らせること数時間。
どこまでも続く黄金色の砂漠の向こうに、かつては栄えていたのだろうか、崩れかけた石造りの壁と、枯れ果てた古い井戸が並ぶ「オアシスの廃墟」が姿を現した。
「おや、あんなところに古い建造物があるぞ」
バランドが目を細めながら指さす。
近づいてみると、その廃墟の陰には、ボロ布を纏い、乾いた唇でぐったりとしている数人の旅人——砂漠の民たちが身を寄せ合っていた。
「水が……一滴もない……。このままでは干からびてしまう……」
「しっかりして、おじいちゃん!」
幼い少女が、ぐったりとした老人の手を握りしめながら必死に声を絞り出している。
「大変だ! みんな、水分が尽きて動けなくなってる!」
セナがサンド・グライダーから飛び降り、すぐに水筒を差し出そうとするが、あいにく自分たちの魔法極冷ボトルも残りが少なくなっていた。
「ここにはかつて水源があったはずですが……井戸は完全に枯れ果て、地下水脈も塩分を含んでいるか、あるいは干上がっていますわね」
フィオナが周囲を検分しながら憂い顔を浮かべる。
「でも、諦めるのはまだ早いよ。大赤砂漠の空気中には、水分がたっぷり含まれているんだからね」
タクミは自信満々に微笑むと、背中から大型の資材を取り出し、手際よく作業を始めた。
「タクミ様、今度は何を作られるのですか?」
「太陽の熱と気化の仕組みを利用した『ソーラー・ソーダ(太陽光集熱式・簡易海水&砂漠蒸留器)』さ!」
タクミは【万能資材目録】と【極限加工】を起動。
耐熱性の高い黒色トレーの上に水分を含んだ砂や湿った植物くずを敷き詰め、その上を透明な耐熱ドームシートで覆う。さらに、ドームの中央に向かって緩やかな傾斜をつけ、先端の下には綺麗な水を受ける竹の樋をセットした。
原理は単純明快だ。強烈な太陽光が黒いトレーを熱し、密封されたドーム内の水分を蒸発させる。蒸発した純粋な水蒸気は透明なドームの天井で冷やされて水滴となり、傾斜を伝って竹の樋へとポタポタと落ちていく仕組みである。
「これなら、動力なしの太陽の熱エネルギーだけで、汚れた水分や砂漠の空気中から『純度100%の飲み水』を無限に生み出すことができるんだ!」
「太陽の熱を利用して、不純物のない蒸留水を作り出す……! まさに荒野の錬金術……!」
アルヴィスがノートを広げ、真鍮の万年筆ですさまじい勢いで構造を書き留める。
――ポタッ……ポタポタ……!
数十分後、透明なドームの天井に無数の水滴が浮かび上がり、それがスルスルと樋を伝って、竹筒のなかに澄み切ったきれいな水を注ぎ込み始めた。
「さあ、飲んでください! 出来立ての冷たいお水ですよ!」
タクミが竹のコップにたっぷりと水を注ぎ、ぐったりしていた老人と少女に手渡す。
「こ、これは……!? なんと清らかで、甘露のように美味しい水だ……っ!」
老人が一口飲んだ瞬間、乾き切った喉の奥からみるみるうちに生気が蘇り、涙を流して手を合わせた。
「おじいちゃんが起き上がった! すごいよ、お兄ちゃん、魔法の水だね!」
少女が満面の笑みを浮かべ、セナに抱きつきながら跳びはねる。ノマドの旅人たちも次々と集まり、次々に湧き出る蒸留水に歓声をあげた。
「太陽の光だけで、こんなにも豊かな命の水を生み出せるなんて……。タクミ様のDIYは、砂漠に本当のオアシスを復活させてしまったのですね」
フィオナが胸の前で手を組み、うっとりとタクミを見つめる。
「ふふ、これでこの廃墟を通る旅人たちも、もう喉の渇きに怯えなくて済むはずさ!」
タクミが爽やかに笑うと、オアシスの廃墟には旅人たちの温かい笑い声と、命の水の輝きが満ち溢れていくのだった。
第49話をお読みいただきありがとうございました!
太陽光と蒸発・凝縮の物理法則を活かした「簡易蒸留器」によって、砂漠の旅人たちを救うことができました。
次回第50話は、オアシスを脱出した一行の前に立ち塞がる「巨大砂嵐」の脅威と、サンド・グライダーをさらに進化させる「密閉キャビン&エアフィルターDIY」の激闘をお届けします! 引き続き応援よろしくお願いいたします!




