【閑話⑰】灼熱の大砂漠を越える鍵! タクミ特製スイーツと魔法の極冷水筒
砂漠用の軽装と特産品DIYを無事に終えたタクミたち。
次なる課題は、大赤砂漠の殺人的な酷暑と乾燥を乗り切るための「飲食と水分補給」!
タクミの【万能資材目録】と知恵によって生み出された、異世界初のひんやり冷た〜いスイーツと、決してぬるくならない超高性能水筒に、フィオナたちも大興奮で……!?
「〜♪」
風谷の村の共有厨房。タクミはご機嫌な鼻歌を口ずさみながら、【万能資材目録】から取り出した資材を調理台の上に並べていた。
真鍮製の二重構造容器、極小の断熱エアロゲルシート、そして村の冷え冷え貯水庫から汲み上げてきた冷えた天然水。さらには村人から譲り受けた甘酸っぱい山果実の果汁と、濃厚な羊乳だ。
「タクミ様、何を作っていらっしゃるのですか? 部屋中に甘くて甘酸っぱい、とても良い香りが漂っていますが……」
クンクンと鼻を鳴らしながら、フィオナが興味津々といった様子で覗き込んできた。その後ろからはセナが「たくみー! 美味しい匂いがするー!」と目を輝かせて駆け寄ってくる。
「ふふ、これから行く大赤砂漠は、日中の気温が五十度を超えることもある過酷な場所だからね。熱中症対策と気晴らしを兼ねて、砂漠用の『携帯冷却補給食』を作っているんだよ」
「携帯冷却補給食……?」
首をかしげるフィオナに、タクミはニヤリと笑ってみせた。
「簡単に言うと、『絶対溶けない魔法の極冷水筒』と、『冷やし魔法シャーベット&極上アイス』だよ!」
「アイス……!? あの、王都の貴族様でも夏場にはめったにお目にかかれないという、あの幻の冷たい甘味ですか……!?」
フィオナが驚きで目を丸くする。
タクミはまず、魔法の二重真空構造で作られた水筒——『魔法極冷ボトル』を完成させた。外気の熱を完全に遮断し、中に冷たい飲み物を入れておけば、砂漠の酷暑の中でも数日間にわたって氷のように冷たい状態を維持できるスグレモノだ。
そしてメインディッシュのスイーツ作りへ。
羊乳と砂糖、卵黄を丁寧に混ぜ合わせ、凍結魔法陣を刻んだ小型金属ろ過器で急速冷却しながら空気を含ませる。仕上げに甘酸っぱい山果実のジャムをマーブル状に混ぜ込めば——。
「はい出来上がり! 『風谷のベリーと濃厚ミルクのアイスクリーム』だよ!」
木製のスプーンを添えて、フィオナとセナに小鉢を手渡す。
「わぁぁっ! 真白で、ほんのりピンク色で……すっごく可愛い!」
「それじゃあ、いただきます……!」
フィオナが緊張した持ち手でスプーンを口へと運ぶ。
次の瞬間、彼女の身体がピクッと跳ね上がった。
「んんっ……!!」
口の中で、ひんやりとした冷気が弾け、続いて濃厚なミルクのコクと甘酸っぱい果汁の風味が贅沢に広がる。舌の上でフワッと滑らかに溶けていく未知の食感に、フィオナはうっとりと瞳を潤ませ、両頬に手を当てた。
「な、なんですかこれは……! 冷たくて、甘くて、お口の中でシュワッと消えていって……! こんなに美味しい食べ物、生まれて初めて食べました……っ!」
「セナも食べるー! んむっ……おいしいーっ! 冷たくてあまーい! タクミ、すごーいっ!」
セナはスプーンを動かす手が止まらず、夢中でアイスを頬張っている。
「ガハハ! 小僧、わしにも一杯くれい!」
匂いにつられて入ってきたバランドにも差し出すと、豪快に口へ放り込み、「うむむっ!? なんじゃこの冷たさと甘みは! 砂漠を渡る前にこんな贅沢をしてまったら、もう普通の食い物に戻れんようになりそうじゃわい!」と大絶賛だ。
「ボトルにはハーブ入りの冷たい塩分補給ドリンクを入れていくから、砂漠での水分補給もバッチリだよ。これならどんな猛暑でも元気に乗り切れるはずさ!」
「はい! タクミ様のおかげで、砂漠越えがなんだかとても楽しみになってきました!」
フィオナは幸せそうに頬を緩め、口元についたアイスをペロリと舐めとるのだった。
【閑話⑰】をお読みいただきありがとうございました!
酷暑を乗り切るための極冷水筒&極上アイスDIYで、美味しく楽しく準備を整えた一行でした!




