【閑話⑯】驚愕! 砂漠用エアリー衣料と冷涼特産品
水利権の支配から解放され、豊かで清らかな水を取り戻した『風谷の村』。
次なる目的地「大赤砂漠」への旅立ちを前に、タクミたちは路資金の調達と熱中症対策を兼ねて、村人たちとある特産品の開発に乗り出します!
そして、村人からのお礼として贈られた「砂漠用軽装」を身に纏うフィオナとセナの姿に、タクミの視線が定まらない……!? 賑やかな準備回をお楽しみください!
「タクミ様、村の皆様が集まっていらっしゃいますよ」
風谷の村の中央広場。フィオナに声をかけられタクミが振り向くと、そこには笑顔を浮かべた村人たちがズラリと並んでいた。手に手に抱えているのは、村特有の通気性に優れた織物や、山で採れた芳醇な果実やハーブだ。
「タクミ様! ガザロフの奴らを追い払ってくれたおかげで、村に水が戻りました。ですが……タクミ様たちが大赤砂漠へ旅立つと聞いて、何かお礼と旅の足しになるものをお渡ししたくて!」
長老が深々と頭を下げる。タクミは慌てて手を振った。
「そんな、気を使わないでください! でも、大赤砂漠を渡るには確かに資金も食料も必要ですね……よし!」
タクミは【万能資材目録】を呼び出し、ポンと手を叩いた。
「風谷の豊富な冷たい水と、村特産のハーブ、そして【万能資材目録】の資材を組み合わせて、街で高く売れる『風谷特製・超冷涼清涼パック&携帯冷感スプレー』をDIYしましょう! これを特産品として売り出せば、村の新たな収入源にもなります!」
「村の特産品……!? わあぁっ、面白そう! セナもお手伝いするー!」
セナが元気よく手を挙げ、バランドも「ほう、旅の資金稼ぎと村の復興を同時にやるか。相変わらず抜け目のない小僧じゃな!」と快活に笑った。
作業は瞬く間に進んだ。
多孔質の極小セラミック容器に冷え冷え貯水庫の水を吸わせ、抽出したハーブオイルを密封した『持続型クーリング・チャーム』。身につけるだけで周囲の熱を奪い、心地よい清涼感が数時間続くスゴイ品だ。
「すごい……! 肌に触れるだけで、まるで高原の風に包まれているみたいだ!」
「これなら隣町の商人たちも飛ぶように買っていくぞ!」
歓喜に沸く村人たち。すると長老が、大切そうに抱えていた大きな包みをタクミたちの前に差し出した。
「タクミ様、これはほんの気持ちです。砂漠の苛烈な日差しと熱から身を守る、風谷特産の特殊な糸で織り上げた『砂漠用軽装』でございます。どうぞお受け取りください」
「ありがとうございます! フィオナ、セナ、せいかくだから着替えてみたらどうかな?」
「はい! 感謝して戴きますね」
二人は広場の奥にある幕舎へと向かった。
数分後――。
「タクミ様……その、あまりじろじろ見ないでくださいね……?」
幕から出てきたフィオナの姿に、タクミは思わず息をのんだ。
いつもの重厚な聖女服とは打って変わり、薄手でしなやかな白と青の生地で作られたセパレート風の砂漠衣装。日差しを遮るシースルーのフード付きローブを羽織っているものの、動きやすさを重視したデザインのため、引き締まったウエストや美しい鎖骨のラインがくっきりと強調されている。
「ふ、フィオナ……すごく、似合ってるよ。綺麗だ……」
「あ、ありがとうございます……っ。生地が肌に吸い付くようで、とっても軽くて動きやすいのですが……少し心もとないと言いますか……」
ぽっと頬を朱に染め、恥ずかしそうに裾をぎゅっと握りしめるフィオナ。
「たくみー! セナはどう!? 見て見てーっ!」
続いて飛び出してきたセナは、踊り子のようなアクティブなショート丈の砂漠衣装。脚のラインが大胆に出ており、くるりと一回転して無邪気に笑顔を弾けさせている。
「セナもすごく可愛いよ! 二人とも、砂漠の日差し対策もバッチリだね」
「へへーっ! これで砂漠でもばっちり走れるよ!」
照れまくるフィオナの可憐さと、元気いっぱいのセナの眩しさに、タクミは目のやり場に困って思わず顔を熱くするのだった。
「ガハハ! 小僧、鼻下を伸ばしとる暇はないぞ! 特産品も完成した、旅立ちの準備は万全じゃな!」
バランドが豪快にタクミの背中を叩く。
賑やかな笑い声が風谷の空に響き渡り、一行は大赤砂漠への旅立ちに向け、最高のスタートを切るのだった。
【閑話⑯】をお読みいただきありがとうございました!
風谷の特産品DIYと、フィオナ&セナの新しい砂漠衣装お披露目という華やかで賑やかな回となりました!




