↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔境に自分好みの家をDIYで建てたら、居心地が良すぎて「絶対不可侵の神殿」と拝まれていた件  作者: dapon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/109

第46話:渇きを癒やす冷涼の雫と、小さな宴

第46話をお読みいただきありがとうございます!


第45話で代官ガザロフの私兵団を撃退したタクミたち。しかし、確保した水を日光や熱から守り、長期保存できなければ本当の解決とは言えません。


今回は、タクミとバランドが協力して挑む「冷え冷え貯水庫DIY」と、フィオナが振る舞うキンキンに冷えた「特製ハーブ・シロップ水」による祝福のひとときを描きます!

代官ガザロフの手下が逃げ散ってから数日。


『風谷の村』の崖下に設置された『大気集水メッシュ』は、昼夜を問わず絶え間なく澄んだ水滴を生み出し続けていた。


だが、過酷な峡谷の直射日光は容赦ない。貯水槽に溜まった水は日中に生温くなり、このままでは雑菌の繁殖や水分の蒸発を防ぎきれなかった。


「たくみ! この日差しじゃ、せっかく集めた水がすぐ腐っちまうぞ! ガザロフの奴ら、上流の水源を堰き止めたまま『どうせ干上がる』と高くくってやがる!」


バランドが汗を拭いながら声を荒げる。


タクミは【万能資材目録】を広げ、力強く頷いた。


「大丈夫です、バランドさん! 水をただ溜めるだけじゃなく、『太陽光の遮断』と『蒸発熱を利用した天然の冷却』を組み合わせた大型貯水庫を作ります!」


「蒸発熱だと……? 水を冷やすのに、水の蒸発を使うってのか!?」


「はい! 古代から伝わる知恵と最新の構造学の融合です!」


タクミとバランドの手によって、作業が手際よく進められていく。


まず、貯水槽全体を覆うように、幾何学的なドーム状の骨組み――『ジオデシック・遮光タープ』を組み上げた。軽量な竹材と赤銅鉱の接合具(ハブ)を三角形に組み合わせた構造は、台風並みの強風にも耐える高い強度を誇る。その表面には、光を99%カットする特殊な二層構造の遮光布を張り巡らせた。


そして真骨頂は、貯水槽の内壁だ。


タクミは村の赤土に微細な気孔を生み出す多孔質加工を施し、巨大な『素焼き蒸発冷却構造(クーリング・ポット)』を完成させた。


「素焼きの壁からわずかに染み出た水気が、外の乾燥した風に触れて蒸発する時、周囲の熱を大量に奪っていくんです!」


「なるほど……! 乾いた風が吹けば吹くほど、中の水がキンキンに冷える仕組みか! なんて合理的なんだ……!」


バランドが目を見張り、感嘆の声を漏らす。


夕刻、完成した冷え冷え貯水庫の蛇口を捻ると――。


――ドバババッ!


「ひやぁぁぁっ! 水が……氷みたいに冷たいよっ!?」


セナが手に受けた水に歓声を上げる。


水汲みに集まった村人たちからも、驚きと歓喜の叫びが巻き起こった。


「冷たい……! こんなに清らかで冷たい水、生まれて初めて飲んだぞ!」


「ガザロフの腐った水より、100倍美味い!!」


「もう代官に高い金を払う必要なんてないんだ……! ありがとう、タクミ様! 聖女様!」


村人たちが次々と乾杯を交わす中、フィオナが冷えた貯水庫の水と、乾燥ハーブ、そして野蜜を混ぜ合わせた特製の『冷製清涼ハーブドリンク』を木樽にたっぷり用意して運んできた。


「皆様、お疲れ様でした! 喉を潤してくださいね」


「わあぁっ! フィオナのお茶、甘くて冷たくてすっごく美味しい!」


セナが口の周りに泡をつけて大はしゃぎで飲む。


バランドも一杯飲み干し、「プハッ! 身体の芯まで染み渡るわ……」と深く吐息をついた。


宴の輪から少し離れた岩場に腰掛け、夕陽に染まる谷を眺めていたタクミの元へ、フィオナがそっと歩み寄ってくる。


「タクミ様。お隣、よろしいですか?」


「フィオナ。うん、どうぞ」


フィオナはスカートの裾を整えて隣に座ると、タクミに冷たいハーブドリンクの入ったコップを差し出した。手がふと触れ合い、フィオナの頬がほんのり朱に染まる。


「……タクミ様のDIYは、ただ物を作るだけではありませんね。人々の心を繋ぎ、諦めていた夢を叶えてしまう……本当に魔法のようです」


「俺一人の力じゃないよ。バランドさんの知識やセナの案内、そして……いつも傍で支えてくれるフィオナがいてくれたからだ」


「タクミ様……」


フィオナが愛おしそうに瞳を揺らし、タクミの肩へと静かに頭を預けた。


風谷の心地よい冷風が、二人の髪を優しく揺らしていく。


その時――。


「あーっ! ずるい! フィオナお姉ちゃんだけたくみに甘えてるー!」


セナが口の端にハーブジュースをつけたまま飛んできて、タクミの反対側の腕に抱きついてきた。


「セナさん!? こ、これはその……無事にお仕事が終わったお祝いの……っ!」


真っ赤になって慌てるフィオナと、無邪気に笑うセナ、そして温かく見守るバランドと村人たち。


代官ガザロフによる水利権の支配は完全に崩壊し、『風谷の村』に真の平穏と潤いが訪れたのだった。

第46話をお読みいただきありがとうございました!


「ジオデシック・遮光タープ & 素焼き蒸発冷却庫」のDIYによって、無事に村の水問題を根本解決できました!


フィオナとセナのヒロイン対比や、夕陽のなかでの甘いひとときもお楽しみいただけたでしょうか!


次回第47話からは新たな章へ!


バランドから託された地図を手に、タクミたちはついに過酷な『大赤砂漠』の完全横断へと挑みます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。