第34話:恵みの点滴と、荒野に実る甘い果実
第34話をお読みいただきありがとうございます!
住居の寒暖差対策を成功させ、快適な生活空間を確保したタクミたち。
今回は乾燥地帯の食料不足を解決するため、太陽の光量を調整する「遮光ネット」と、水を一滴も無駄にしない「点滴灌漑DIY」で荒野の農地開拓に挑みます!
「水も引き込めて家も快適になった。だが……この強い日差しと干からびた土じゃ、作物を育てるのは無理だ。保存食のパンと干し肉ばかりで、村の奴らも栄養が偏っちまってな……」
開拓リーダーのドノバンが、からからに乾いた赤土の広場を見つめながら肩を落とす。
水は手に入ったものの、荒野の殺人的な強光と急激な乾燥は、農作物の新芽をあっという間に焼き枯らしてしまうのだ。
「大丈夫です、ドノバンさん! 乾燥地帯には『乾燥地帯に合った科学的な育て方』があります!」
タクミは力強く頷くと、さっそく【万能資材目録】と【極限加工】を起動した!
「まずは強すぎる太陽光を約50%カットし、葉焼けを防ぎつつ地熱の上昇を抑える『高密度ポリエチレン製・ブラック遮光ネット』の大型サンシェードを設置します!」
タクミの手によって、畑の上空に広大な黒いネットが張られた。
直射日光が柔らかい木漏れ日のような光に変わり、ネットの下の空気が一瞬でやわらかな涼しさに包まれる。
「そして……これが水を一滴たりとも無駄にしない『点滴灌漑チューブ』です!」
タクミが取り出したのは、作物の根元だけに小さな穴が開いた特殊なホースだ。
チューブを作物の根元に這わせ、ゆっくりと圧力をかけると――
――ぽとん……ぽとん……。
水蒸気として空中に逃げることも、無駄に地面へ広がることもなく、水滴が必要な分だけ作物の根元へピンポイントで染み込んでいく!
「な……水が一滴ずつ、直接根っこに吸い込まれていく……! これなら普通の水撒きの10分の1の量で済むぞ!!」
ドノバンが目を見開き、膝をついて地表を見つめる。
「さらに、前作で作ったコンポスト(有機堆肥)と保水性保水ポリマーを土に混ぜ込みます! 乾燥地帯の作物は水分をギュッと溜め込むため、驚くほど甘くて美味しい野菜が育ちますよ!」
数週間後――。
遮光ネットの下に広がる青々とした畑には、日光をたっぷり浴びて赤く熟した大ぶりのトマトや、プリプリのナス、パプリカが鈴なりに実っていた。
「もぐ……っ!? あ、あまぇぇぇぇぇっ!! なんだこのトマトは!? 果物みたいに甘くて、果汁が口いっぱいに弾け飛ぶぞ!!」
もぎたてのトマトを丸かじりしたドノバンが、涙を流して叫ぶ。
「作物の根に必要最小限の水分を正確に供給する『微量定時給水法(点滴灌漑)』……! 過酷な環境を逆手に取り、極上の果実へと昇華させるまさに生産の神業……!」
アルヴィスがノートに猛烈な勢いでペンを走らせる。
「ふはは! この濃密な甘み、荒野の真ん中で食う野菜とは思えんな! 実に美味いぞ、タクミ殿!」
作業着姿の魔王バアルも、ガルドやフィオナと一緒にもぎたての夏野菜を満面の笑みで頬張るのだった。
第34話をお読みいただきありがとうございました!
遮光ネットと点滴灌漑システムのDIYにより、草木も生えなかった乾燥荒野が見事な「高級野菜の一大産地」へと生まれ変わりました。
次回第35話は、東の乾燥荒野・岩山開拓編のクライマックス!
集落を完全に守り抜く「太陽光発電&蓄電型・電動防砂シャッター」の完成と、甘い荒野野菜と熟成肉を堪能する「極上荒野バーベキュー宴会」、そして次なる舞台への旅立ちを描く予定です! 引き続き応援よろしくお願いいたします!




