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魔境に自分好みの家をDIYで建てたら、居心地が良すぎて「絶対不可侵の神殿」と拝まれていた件  作者: dapon


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第4話:不法侵入者は、庭の芝刈りと薪割りから

第4話をお読みいただきありがとうございます!


今回は、すっかり居心地の良さに魅了されたフィオナとガルドが「押しかけ住み込み」を志願し、さらに3人目の誤解キャラ・天才魔導士アルヴィスが登場する回となります。

「大賢者タクミ様! どうか……どうか我らをこの神殿の末席にお加えください!」


手作りのシチューを綺麗に平らげ、お腹も心も満たされたフィオナとガルドは、リビングの床に勢いよくひれ伏した。


「えっ、いやいや! 末席も何も、ここただの僕の家ですし……」


困惑するタクミに対し、ガルドは力強い目で訴えかける。


「私は『赤獅子』のガルド! この命に代えても、この絶対神域に近づく邪者どもを排除する門番となりましょう! まずはその……庭の薪割りからやらせていただきたい!」


「私もです! 神聖なる館の掃除と、雑務全般をお任せください!」


ガルドは「自分のような武骨者がこの神域で生きていくには、まず雑用で貢献せねば」と必死であり、フィオナは「この温かい床とスリッパから離れたくない」という切実な想いが半分混ざっていた。


「うーん……まあ、一人だと掃除も大変だし、薪割りをしてくれるなら助かりますけど……。じゃあ、無理のない範囲でお願いしますね」


「「ははぁっ! 感謝いたします!」」


こうして、Sランク冒険者と最高位聖女が、タクミの家の「住み込みお手伝いさん」として居着くことになった。


◇


翌朝。


「ハッ! フッ! ……くっ、この黒神鉄の薪、硬すぎる……!」


庭では、ガルドが汗だくになりながら大斧を振り下ろしていた。伝説の神木である黒神鉄は、Sランク冒険者の力をもってしても一筋の亀裂を入れるのが精一杯だ。


「あ、ガルドさん。薪割りは斧の重さを利用して、刃をまっすぐ落とすのがコツですよ。あと、道具の手入れも大事です」


タクミはそう言うと、ホームセンター時代に使い慣れた『防錆潤滑スプレー(クレ556風)』をガルドの古びた大斧の可動部と刃先に吹きかけ、自作の砥石でシュシュッと軽く研いでみせた。


「はい、これで試してみてください」


「は、はあ……」


ガルドが半信半疑で斧を持ち上げ、黒神鉄の丸太へ軽く振り下ろす。


――パーンッ!!


一瞬だった。音を立てて、超硬度の丸太が綺麗に真っ二つに叩き割れた。


「な……なにぃぃぃッ!?」


ガルドは自分の手と斧を二度見した。刃先からは、タクミが吹きかけた謎の液体がかすかに虹色の光を放っている(ように見えた)。


(あ、あのスプレー……! あらゆる摩擦係数を極限までゼロにし、物質の分子結合を一瞬で切断する『万能滑潤の秘薬』か……!? ただの錆びた大斧が、ドラゴンをも一刀両断する神殺しの斧に化けたぞ……!)


「すごい……! これが神の手入れ……!」


ガルドが斧を拝んでいると、突然、樹海の奥から凄まじい衝撃波と魔力の高鳴りが響き渡った。


ズズズズズ……ッ!


「なんだ!? この過剰なまでの魔力反応は……!」


庭の向こうから、豪華な刺繍が施された魔導ローブを纏い、片 monocle(単眼鏡)をかけた細身の青年が、息を切らしながら駆け込んできた。


「はぁ……はぁ……ついに見つけたぞ! 『死の樹海』の空間歪曲の中心地……!」


「アルヴィス卿……!? なぜ王立魔導院の院長がここに!?」


ガルドが驚惑の声をあげる。訪れた青年――アルヴィスは、王国史上最年少で最高峰の魔導士に上り詰めた、超絶天才にして重度の『魔術マッドサイエンティスト』だった。


アルヴィスはガルドの問いかけを無視し、目の前に建つログハウスを見上げて狂気をもはらんだ歓喜の声をあげた。


「素晴らしい……! 外気の猛烈な魔気を一切通さず、内部の熱と空気を完璧に循環させている! この『二重構造の壁』と『異次元の気密性』……いったいどんな高度な魔導理論で設計されているのだ……!?」


アルヴィスは興奮のあまり鼻血を出しそうな勢いで、ノートとペンを取り出し、ログハウスの壁や窓をむさぼるように観察し始めた。


「おい不審者! 神殿に無断で触れるな!」


ガルドが斧を構えて制止しようとしたその時、玄関からタクミが顔を出した。


「ん? 何か外が騒がしいですね……あ、お客様ですか?」


タクミの姿を見た瞬間、アルヴィスの魔導単眼鏡(モノクル)が弾け飛んだ。


(な……なんだあの男は……!? 魔力感が完全に『ゼロ』……! いや違う、あまりにも膨大な魔力が世界と同化しすぎて、測定不能になっているのだ……!!)


アルヴィスはノートを投げ出し、タクミの前に突伏した。


「おお……偉大なる建造の神よ! 私に……私にその『絶対気密の魔導理論』を教示してください!!」


「ええぇ……急に理論って言われても、ただの二重壁と断熱材なんですけど……」


タクミの困惑を置き去りにしたまま、3人目の重度な勘違い者が、このログハウスの住人に加わろうとしていた。

第4話をお読みいただきありがとうございました!


クレ556(潤滑スプレー)で薪割りを劇的ビフォーアフターし、さらに狂信的魔導士アルヴィスが仲間(?)になりました。


次回第5話では、アルヴィスがキッチンや水回りの「Pトラップ配管」や「パイプユニッシュ」を見て狂喜乱舞し、さらにログハウスの快適性を高めるプチDIYを行っていく展開となります!

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