【閑話⑨】男たちの秘密基地と、勝手増築バトル
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今回は、旅の移動中の宿場町にて「荷物が増えてきたから物置でも作ろうかな」というタクミの一言から始まった、ガルドとバアルの勘違い暴走DIY劇です!
「ふぅ……港町や北の村でいろんな資材や特産品をもらったから、馬車の予備荷物が入りきらなくなってきたな。今度どこかの宿場町で、簡単な小型の木造物置でも組もうかな」
移動中の馬車内で、タクミがぽつりと呟いたその一言を、ガルドと魔王バアルは見逃さなかった。
((タクミ殿の手を煩わせるまでもない……! 我ら弟子(?)の手で、最高の物置をサプライズプレゼントして驚かせてやるのだ!!))
宿場町に到着したその夜。タクミが早々に就寝したのを見計らい、ガルドとバアルは作業着姿で宿の裏手に忍び出た。
「ふはは! 物置と言えば『頑丈さ』と『荘厳さ』だ! 魔王城の尖塔を模した悪魔風デザインと、黒塗りトタン波板で重厚感を出すぞ!」
「何を言うかバアル殿! 物置の本質は『堅牢性』だ! 単管パイプを縦横無尽に組み上げ、外壁には厚さ三寸の耐熱防弾鋼板を張り巡らせるべきだ!」
二人のこだわりが激しくぶつかり合った結果――翌朝。
「うわぁぁぁぁっ!? 宿の裏庭に何か禍々しい要塞が建ってるぅぅぅっ!?」
目を覚ましたタクミとアルヴィスが裏庭へ駆けつけると、そこには異様な光景が広がっていた。
太い単管パイプと高耐久ビスでガチガチに補強された骨組み。外壁は漆黒の波板で覆われ、屋根には無駄に鋭い魔王城風のスパイク(角)が立ち並んでいる。
扉にはダイヤル式南京錠と頑丈なスライドボルトが重装甲で取り付けられていた。
「ふはは! どうだタクミ殿! 我とガルドの共同作業による特製物置だ! ドラゴンが体当たりしようが、爆炎魔法が直撃しようが傷一つつかんぞ!」
「かゆい所に手が届くよう、手動式のシャッターと防塵ゴムパッキンも完璧に施工しておいたぞ!」
胸を張るバアルとガルド。だが、タクミは設置された物置を見上げて苦笑いを浮かべた。
「えーっと……すごく頑丈でカッコいい(?)んですけど……入口の装飾がゴツすぎて、大きな荷物を入れようとすると角に引っかかって出し入れしづらいですね……」
「「な、なにぃぃぃっ!?」」
「物置は『物の出し入れのしやすさ』が一番大事なんですよ」
タクミがニッコリ微笑むと、ガルドとバアルはガーンとショックを受けて膝をついた。
「見栄えと過剰な装飾に走り、実用性を損なう……DIY初心者が陥りがちな失敗例ですな」
アルヴィスが冷静にノートへ書き留める横で、「よし、使いやすくプチリフォームしましょう!」と腕をまくるタクミなのだった。
閑話をお読みいただきありがとうございました!
良かれと思って大暴走したガルドとバアルによる、過剰装飾物置DIYのドタバタ劇でした。




