第25話:傷みやすい魚介類と、時を止める真空パック
第25話をお読みいただきありがとうございます!
清水の確保と港湾設備の劇的リフォームを終えたタクミたち。
今回は港町の最大の特産品である「美味しい魚介類」を、新鮮なまま遠方の街まで届けるための『保冷&真空保存DIY』に挑みます!
「ハァ……海は豊かで魚は山ほど獲れるんだがなぁ……」
新鮮な魚がピチピチと跳ねるポート・ヴィルの魚市場。だが、市場の競り人や漁師たちは、活気とは裏腹に浮かない顔をしていた。
「バロー親方、なにか悩み事ですか?」
「おう、タクミの兄ちゃん。実はな、魚はたくさん獲れるんだが、氷が貴重でな。獲れたその日のうちに痛んじまうから、遠くの街や王都に新鮮な魚を届けることができねぇんだ。結局、大半は塩漬けか乾燥魚にするしかなくて高値で売れねぇのさ」
「なるほど、鮮度保持と物流の壁ですね」
タクミが市場の木箱を見ると、冷気は逃げ放題で、氷もあっという間に溶けて水浸しになっていた。
「よし! 氷の消費を最小限に抑える『高密度発泡スチロール風・超断熱保冷ボックス』と、繰り返し使える『特殊保冷剤』、そして食材の傷みを激減させる『真空パック保存システム』を作りましょう!」
タクミの職人魂が燃え上がった。さっそく【万能資材目録】と【極限加工】を発動!
まずは保冷容器。軽量でありながら外気の熱を遮断する高密度の断熱保冷箱を作成。そこに、冷たさが長持ちする『蓄冷材(保冷剤)』をセットする。
そして決め手となるのが、ポリエチレン製の専用袋と『脱気真空シーラー(真空包装機)』だ!
「使い方は簡単です。お魚や貝をこの透明な袋に入れて、機械に挟んでボタンを押すだけです」
タクミが捌きたての鮮魚を袋に入れ、シーラーのスイッチを入れると――
――シュウゥゥゥゥ……ッ!
一瞬で袋の中の空気が完全に吸い出され、魚の身に袋がぴたっと密着。そのまま熱で口がパチッと溶着されて密封された!
「「「空気が消えて、ペったんこになった……!?」」」
漁師や競り人たちが目玉を飛び出させんばかりに驚く。
「空気を遮断することで酸化や雑菌の繁殖を防ぎ、鮮度をそのまま閉じ込めます。これを保冷ボックスに入れて冷やせば、王都まで何日かかっても獲れたての美味しさのまま運べますよ!」
「な、なんだと……!? 生のまま、塩漬けにせず王都まで運べるだと!?」
試しに数日前に真空パックして保冷箱で冷やしておいた刺身を取り出し、バロー親方に試食してもらうと――
「〜〜〜〜〜っ!? う、うめぇぇぇぇっ!! 身が引き締まっていて、今日獲れたばかりの魚と全く変わらん!! 臭みも一切ねぇぞ!!」
「生の魚が……まるで時を止められたかのように新鮮なままです……! これぞまさに『時空凍結の神聖保存術』……!」
アルヴィスがノートを抱えて大興奮でペンを走らせる。
「これでポート・ヴィルの魚が、王都や内陸の街でも高級食材として飛ぶように売れますね!」
タクミが微笑むと、市場中に割れんばかりの歓声と感謝の叫びが響き渡るのだった。
第25話をお読みいただきありがとうございました!
断熱保冷ボックスと真空シーラーの導入により、港町の魚介類物流が劇的な進化を遂げました。
次回第26話は、港町ポート・ヴィル編のクライマックス!
大改修を祝う海鮮バーベキュー大会と、タクミたちの次なる開拓地(寒冷地・開拓村編)への旅立ちを描く予定です! 引き続き応援よろしくお願いいたします!




