第16話:豪華だけど住みにくい王城と、国王の悩み
第16話をお読みいただきありがとうございます!
極上のキャンピング馬車で快適に王都へ到着したタクミたち。
豪華絢爛な王城へ招かれますが、そこは格式ばかりが高く、住み心地は最悪な空間で……?
「ここが王都グランベルか……。さすがに人が多くて賑やかですね」
石畳の綺麗な街並みを進み、タクミたちのDIY馬車は王国の象徴である『グランベル王城』の重厚な門をくぐり抜けた。
案内されたのは、天井がやたらと高く、巨大な大理石の柱が立ち並ぶ『大謁見の間』。
玉座には、豪華な王冠と赤マントを羽織った国王アルフレッドが腰掛けていた。
「よくぞ参られた、異世界の客人タクミ殿! そして大聖女フィオナにガルド、アルヴィス……ふむ、そちらの男は?」
「余は魔王バアルだ。タクミ殿のDIYの弟子として同行した」
「ま、魔王だと……!? (なぜ作業着を着て馴染んでいるのだ……!?)」
国王をはじめ、周囲の近衛兵たちが一瞬で固まったが、バアルの穏やかな(そしてどこか誇らしげな)表情を見て、事態の平和さを察したように咳払いを一つした。
「……コホン。噂には聞いておったが、魔王軍との和解、誠に祝着至極。これもすべてタクミ殿の『神聖改修(DIY)』の力と聞く。そこで相談なのだが……」
国王アルフレッドは急に声をひそめ、疲れ切った顔で玉座の肘掛けに寄りかかった。
「実はな……この王城、とにかく住み心地が最悪なのだ」
「えっ、こんなに立派なお城なのにですか?」
タクミが周囲を見回すと、国王は切実な表情で指折り数え始めた。
「大理石の床と高すぎる天井のせいで冬は底冷えがひどく、声が反響して話が聞き取りづらい。そして何より、この玉座の金銀宝石で飾られた椅子が硬すぎて、毎日の謁見で腰と身体が爆発しそうなのだ……!」
「「「あぁ……」」」
フィオナやアルヴィスたちが深く頷く。いくら豪華で権威があっても、人間が長時間過ごす場所としての快適性が皆無なのだ。
「なるほど……。冷気は下(床)から来ますし、大理石は音を反射しやすいですからね。それに硬い椅子に長時間座るのは腰痛の元です」
職人魂に火がついたタクミは、さっそく【万能資材目録】を検索した。
「よし、まずはこの謁見の間と、国王様のプライベートな執務室から『居住性改善リフォーム』を始めましょう!」
「なに!? この伝統ある王城を改修してくれるのか!?」
「ええ。床には『ユニットラグ(防音・断熱カーペット)』を敷き詰めて足元を温かくし、反響音を抑えます。壁には『吸音パネル』を設置しましょう。そしてその玉座には……」
タクミが【極限加工】で取り出したのは、厚みのある高密度低反発ウレタンと、人間工学に基づいた『ランバーサポートクッション(腰痛対策用)』だった。
「これを玉座にセットして……はい、どうぞ座ってみてください」
国王恐る恐る、クッションが敷かれた玉座へ再び腰を下ろした。
「ん……? ……う、うおおおぉぉぉっ!?」
国王の口から、威厳も何もない歓喜の叫びが漏れ出た!
「お、腰が……! 我が腰がまるで優しく包み込まれるように支えられている……! おまけに足元の絨毯から冷気が上がってこん! 話し声もクリアに響くぞ……! なんだこの快適さはぁぁっ!?」
「ふはは! 分かったであろう国王よ! これがタクミ殿のDIYの真骨頂なのだ!」
作業着姿の魔王バアルが、なぜか我がことのように胸を張る。
「素晴らしい……! タクミ殿、ぜひ城全体の執務室や客間、そして王都の公共施設の改修も頼みたい! 王国の予算をいくらでも使ってくれて構わん!」
こうして、王都に到着早々、タクミによる『王城まるごとDIY大改修プロジェクト』の幕が上がるのだった。
第16話をお読みいただきありがとうございました!
豪華だけど底冷えと腰痛に悩まされていた国王様が、カーペットと腰痛対策クッションの前に大感動してしまいました。
次回第17話は、王城の「会議室(反響&居眠り対策)」や「開かずの開閉扉(油切れギシギシ扉)」などを、潤滑スプレーやホワイトボードDIYでどんどん快適に変えていくお話です! 引き続きよろしくお願いいたします!




