【閑話①】フィオナ聖女の、絶対真似できない洗顔&スキンケア術
第1部完結へのお付き合い、ありがとうございました!
今回は第2部開始前の箸休めエピソード(閑話)です。
大聖女フィオナが、神殿の洗面所で出会った「聖なるスキンケア用品」に感動し、その驚異の浄化儀式を語る日常回となります。
大聖女と呼ばれる私の朝は、神聖なる『洗面儀式』から始まる。
かつて大聖堂におりました頃は、冷えた聖水を顔にかけ、羊毛の布で拭うのが最高の肌ケアとされておりました。しかし……この大賢者タクミ様の神殿でお預かりした器具を前にしては、過去の聖水などただの泥水も同然でございます。
「まずは、この『網状の神聖器(泡立てネット)』です……」
私は洗面所で、タクミ様から「使っていいですよ」といただいたピンク色の小さな網袋を恭しく掲げた。
そこに石鹸の固まりを入れ、数滴の水とともに優しく揉み込む。すると――
「あぁ……! なんという密度の『高純度・神聖マナ泡』……!」
ほんの数秒で、手のひらの上にまるで積もった新雪のごとき、きめ細やかで濃密な白泡が山のように出来上がるのだ。手が肌に直接触れることなく、泡のクッションだけで顔全体を包み込む。
(ふかふかです……! 毛穴の奥に潜む微細な毛穴汚れ(邪気)までもが、泡の吸着力によって一瞬で引き剥がされていく……!)
かつて最高位の浄化魔術をもってしても落とせなかった肌のくすみ(毛穴の黒ずみ)が、ただ顔を撫でるだけで綺麗さっぱり消え去っていくのだ。
ぬるま湯で泡を洗い流した後は、仕上げの拭き取りである。
「そして、この『極細繊維の布』……」
肌にそっと当てるだけで、ゴシゴシ擦ることなく水分が吸い尽くされていく。生地の柔らかさは赤子の肌よりも優しく、摩擦によるダメージなど皆無。
「仕上げは……この『潤いの聖液(とろみ化粧水)』と『水分封印の乳液』……!」
手のひらに数滴垂らし、顔全体へ優しくプレスするように馴染ませる。
すると、さっぱりと洗顔したはずの肌が、吸い付くようなモチモチの『極上もち肌』へと変貌を遂げるのだ。
(恐ろしい……! 肌の水分量を限界突破させ、油分と水分の黄金比率を永遠に維持する『絶対保湿の結界』……! これほどの美肌魔術、王国中の令嬢や聖女たちが知れば暴動が起きます……!)
「フィオナさーん、朝ごはんできましたよー」
リビングからタクミ様の呑気な声が聞こえてくる。
「はい! ただいま参ります、タクミ様!」
鏡に映る自分の顔を見る。
そこには、かつて見たこともないほど透明感に満ち、ツヤツヤと輝く『奇跡の大聖女』の姿があった。
(ふふふ……タクミ様のお手伝いをする以上、身だしなみも神聖に保ちませんとね)
私は満面の笑みを浮かべ、モチモチの肌を誇らしげに撫でながら、朝食の待つリビングへと向かうのだった。
【閑話】をお読みいただきありがとうございました!
泡立てネットと化粧水・乳液による「絶対保湿結界」に大興奮するフィオナ聖女のお話でした。
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