第79話:魔導コタツの魔力と、人をダメにする祝勝会
第79話をお読みいただきありがとうございます!
ドノヴァン親方とともに「魔導ハイブリッドペレットストーブ」を作り上げたタクミ。
今回は『極寒の山岳鉱山都市編』クライマックス! 工房に設置した温水床暖房と『特大・魔導ハイブリッドコタツ』の威力が凄まじすぎて、魔王バアルや頑固親方ドノヴァンをはじめとする強者たちが次々と吸い込まれ、全員動けなくなるドタバタ祝勝会をお届けします!
「ドノヴァン親方、ストーブの熱を利用して……もう一つ、とっておきの暖房器具を作ってみたよ!」
工房の熱気が落ち着いた頃、タクミは【極限加工】で組み上げた巨大な木製ローテーブルを広場の中央に置いた。
天板の下には、先ほど開発した『赤熱魔導コア』の微弱な輻射熱ユニットを完備。その上に、タクミが特製で作った『極厚フカフカ天日干し布団』を掛け、さらに重厚な天板を重ねる。
「……タクミ殿、この布団が被さった奇妙な机は一体……?」
ドノヴァンが首をかしげると、タクミは爽やかに胸を張った。
「これはね、日本の伝統的な最強暖房器具……『コタツ』だよ! 床には温水マットも敷いてあるから、中に足を入れてみて」
「ふん、足を入れるだけで何が変わるというのだ。職人が作業中に机でぬくぬくなど……」
ドノヴァンは半信半疑のまま、ドカリと座り込んでコタツの中に足を突っ込んだ。
その瞬間――。
「……ッ!?????」
ドノヴァンの体がピキッと硬直した。
足先からじんわりと押し寄せる、圧倒的な温もり。膝から腰へ、そして背骨を伝って脳天へと駆け抜ける、悪魔的とも言える快楽と脱力感――!
「な……なんだこれはぁぁぁぁぁッ!? 足が……足が暖かくて、全身の力が抜けていく……!! 立つどころか、腰を浮かすことすらできんッ!?」
「ガハハ! ドノヴァン、何を大袈裟な――うおっ!?」
ガルドも隣に潜り込んだ瞬間、目を剥いてそのまま天板に突っ伏した。
「あ、悪魔だ……! この机、足を一度入れたら二度と出られなくなる吸着呪詛がかかってやがる……! ぐぬぬ、足が抜けん……ッ!」
「フハハハ! 愚かな、鍛練が足りんのだ! 我が魔王の精神力をもってすれば、このような温もりなど――」
作業着姿のバアルが腕組みをして高らかに笑い、コタツへと足を入れた。
3秒後。
「……あふぅ」
魔王バアルは、作業着の袖をダラリと垂らし、天板に頬を押し付けてデロデロに溶けていた。
「し、師匠……これは危険ですぞ……。我が魔王としての覇気が、この『コタツ』という名の魔道具によって根こそぎ吸い上げられていく……。余はもう……一歩も動きたくない……」
「あはは、みんなすっかりハマっちゃったね」
タクミが苦笑いしていると、セナがミカン(現地で採れた甘い柑橘類)を抱えてピョンと飛び込んできた。
「えへへ〜! セナも入るーっ! うわあぁぁっ、ぬくぬくだよ〜! お布団の中でおみかん食べるの最高〜っ!」
「まあ……! 本当に膝から下がポカポカで、身も心もとろけてしまいそうですわ……」
フィオナも上品に裾を整えてコタツに入り、温かいお茶を口にしてうっとりと頬を染めた。
アルヴィスに至っては、コタツの中で完全に横になりながら『精神損壊級・絶対無力化暖房陣(魔導コタツ)』と手帳にミミズのような字で書き残し、そのままスヤスヤと寝息を立て始めている。
「おいタクミ殿……! このコタツとハイブリッドストーブがあれば、アイゼンベルグの冬は『寒さを耐える季節』から『家の中で最高に寛ぐ季節』になっちまうぞ……!」
ドノヴァンがミカンを剥きながら、デロデロの笑顔で熱弁を振るう。
「ふふ、これで冬場も安心して鉱山作業や鍛冶ができるね」
「おうよ! 工房も坑道も全部断熱施工して、このストーブとコタツを量産するぜ! あんたのおかげで、この街は世界一あたたかい『極上リゾート鉱山都市』に生まれ変わったんだ!」
ドノヴァンと職人たちが、ミカンと樽エールを手に乾杯の声を上げた。
寒さと凍結に震えていた極寒の都市アイゼンベルグは、タクミの無自覚なDIYと職人魂によって、至高のポカポカ快適都市へと劇的に生まれ変わったのだった――!
第79話をお読みいただきありがとうございました!
これにて『極寒の山岳鉱山都市編』は無事に完結となります!
頑固職人ドノヴァンとの熱いコラボDIY、そして「人をダメにする魔導コタツ」での大爆笑祝勝会をお届けいたしました!




