23.『六道輪廻・栄螺堂』攻略②
『⠊⠚⠡⠾⠎⠐⠞⠾⠿…!!』
「何言ってるか分かんねーよ!このっ!!」
そいつは尊大に座ったままの姿勢で、六本の腕に持つ不思議道具を振りかざす。
スライムみたいな形の水晶からは吹雪が吹き荒れ、小さな車輪からは炎の球が飛び出す!
「危なっ!!…〇レイザードかお前はっ!」
「いや夢野先輩、どっちかと言えば●ANTZですよ今の状況!」
…ちゃんと作者様の許可取ったのか!?
あの先生たぶんそういうの厳しいぞ!?
それにしてもこの野郎…中々やるじゃねーか。
…流石にそこらの雑魚とはレベルが違うな。
【ニョイリンカンノン】Lv.51
「…僕達、今すっごく罰当たりな事をしてる気がするんだけど…。」
「今更ですよ山里さん!あっちは完全に殺しに来てます、もう腹くくるしか無いです!」
奴は大島の大剣を受け止め、返す刀で手に持った花の様な物を振るう。
「うっ…!?」
大島がその場で片膝をついた。
…何だ?何をされたんだ…?
一気に距離をつめた俺は、奴の顔面間近で無詠唱フレアブレスをお見舞いしてやった!
『⠐⠭⠛⠃⠅…⠃⠣⠐⠡⠩⠱⠃!!』
俺の炎に顔を焼かれ、流石に堪えたのか距離を取る。
俺の背後で大島に駆け寄った山里さんに、振り返らないまま声をかけた。
「山里さん、大島はっ!?」
「…寝てる!?なんか寝てるよ大島君!」
あの花は強制睡眠攻撃かよっクソッ!
「…Zzz…。」
強制睡眠のEXスキルは持ってても睡眠耐性は無かったか、大島…。
「山里さん、状態異常回復アイテム持ってますか!?」
「大丈夫、こっちは任せて!」
…大島は山里さんに任せて、俺はあの野郎の相手に専念するか。
「…オラ、かかって来いよこの野郎…!お得意のアルカイックスマイルも、そんだけ黒焦げじゃあ様にならねぇなぁ!」
『⠃⠣⠐⠡⠩⠱⠃⠌⠝⠿…⠬⠙⠱⠴!!』
…何を言っているかは分からんが、怒り狂ってるのは理解できる。
…いいよ!来いよ!
…水晶を掲げた、吹雪っ!
すかさずフレアブレスで相殺する!
…車輪っ!火球だっ!
薙刀で袈裟懸けに真っ二つに切り裂く!
…花だっ!それだけは喰らうかよっ!
蹴り上げてそのまま再び懐に──
『⠩⠱⠃⠡⠑⠗⠡⠐⠝⠩⠅!』
ぐっ…な…素手で殴って来やがった!
「痛ぇじゃねぇかこの野郎っ!」
怒りに任せて左手で殴り返す!
ゴキンッ!!!
ストレートで頬を打ち抜かれた奴は盛大にぶっ飛び──
…壁に打ち付けられ、崩れ落ちる様に地面へと倒れこんだ。
追い打ちをかけようと接近…した所で、気が付く。
…あ…首が折れてる…。
『260ポイントの経験値を獲得しました。』
「…えぇ…素手で倒しちゃったの?」
山里さんが若干引いたような声で言う。
…自分でも引いてますよ、山里さん…。
…上げやすいからといって、流石に力のステータスを上げ過ぎたかもしれん。
「…ふぁっ!?何ここ何処っ!?」
大島が気が付いたようだ。
雑魚のレベルが低かったから気を抜いちまったが、そこそこ強かったなアイツ。
…まぁ、俺の相手じゃ無かったけどな!
…問題は──
『…⠈⠎⠃⠓⠴⠐⠡⠌⠑⠛⠕⠡…。』
【ジュウイチメンカンゼオン】Lv.54
『⠌⠝⠥⠄⠛⠑⠎⠅⠡⠐⠟⠾⠱⠃⠘⠱⠩…。』
【ショウカンゼオン】Lv.55
──アイツがダンジョンボスじゃ無いってコトだな。
…くそっ、ワラワラ湧いて来やがって!
まとめてかかって来いやオラァッ!!
へ_\○ へ_\○ へ_\○ へ_\○ へ_\○
「…やばい飽きた!」
「…なんか凄い事言い始めましたよ、山里先輩…。」
「流石夢野君、余裕だね。…僕はちょっと疲れてきたよ…。」
いや、誰だって飽きますってこんなの!
結局あの後、連戦し続けて三十体以上倒してますからね!観音様!
…アイツ等、持ってる不思議道具によって攻撃パターンが決まってるみたいで、それに気づいてからはさほど苦戦することも無く…ただただ塔を登っては観音を倒す作業…これじゃトレーニングバトルと同じだっつーの!
「…ウェーブも止んだみたいだし、ちょっと休憩しようか。」
「…そうしましょう。」
俺達は階段に腰を掛け、しばしその場で休むことにした。
「ふぅ…喉乾きましたね…何か飲み物持ってくるんだったな。」
そう言う大島に、俺は無言で飲み物を差し出した。
「えっ…準備してきてたんですか!?…いや、何処に持ってたんですか?」
…不思議そうに言う大島に、俺は再度無言で飲み物を差し出す。
「…いやいやいや、怪しすぎるでしょう…。」
「五月蠅いなぁ、黙って飲めばいいじゃない!ホレッ!」
まだゴチャゴチャ言ってる大島に無理矢理飲み物を手渡す俺。
「……コレ、何ですか?入れ物、ペットボトルじゃ無いですよね?」
「…ちょっ!!夢野君、それHPポーションじゃないかっ!!」
…ちっ、山里さんがネタバレしちゃったか。
「……夢野先輩?」
「…仕方ないだろ、今これ以外の飲み物なんて無いんだから。それにアイテムストレージに500本位溜まってるんだよ、コレ。」
「いや溜め込みすぎですよ!」
だってお前、トレーニングバトルやってるとザクザク溜まるんだぞ?
それに俺の場合、一撃で倒すか攻撃が当たらなくて負けるかの二択になることが多かったから、消費の方が追い付かないんだよ。
大島はしばらくビンの中を覗き込んだり、匂いを嗅いだりしていたが…思い切ったようにそれを煽り飲んだ。
「…ほぼほぼ緑茶ですね。ちょっと薄味?」
「な!全然飲みやすいだろ?」
「しかもストレージから出したばかりだと何故かよく冷えてるんだよね…今は有難いけれど。」
しばし俺達はHPポーションで喉を潤し、ついでにHPも回復…いや逆か。
乾きが癒えると、大島の奴が目を閉じながら呟く。
「ストレージといえば…この連戦で随分とドロップがあったんですけど、これどうしましょう?」
そう言われて、俺も自分のストレージを確認する。
〔所持アイテム〕
:
【吹雪の宝珠】×5
【火炎法輪】 ×7
【微睡の蓮華】×4
【退魔の宝剣】×6
【慈悲の錫杖】×2
【救済の弓矢】×2
【真実の宝鏡】×4
【吉祥果】 ×4
【清浄の水瓶】×3
:
うわぁ…なんか…ありがた味が無ぇ…!




