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35歳会社員、ダイエットアプリだと思ってDLしたら謎の超人育成プログラムだった件  作者: 須藤 蓮司


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18.一時間の使い方

 俺がダウンロードして使っていたアプリケーション…DDTは、人類の上位存在が作った「古き支配者達」…とやらに対抗する為のモノだった。

 そんな衝撃的な事実を言い放った、眼前の天使…上位存在は、時間を惜しむように言葉を続ける。


『…Different Dimension Training‐Version.3は、全人類の意識下にダウンロードされます。使用方法についても同様にダウンロードされますが…すぐに全てを理解するのは困難でしょう。差し当たって必要とされる知識は、先行し試用している者達に訊ねると良いでしょう。』


 おおう…上位存在さん、そこを俺等に投げてくるのか…。

 こっちはまだ、Ver.3の変更箇所とかも確認出来て無いっての。

 …まぁ、訊ねられれば教えるけども。


『…さぁ、もう時間がありません。…人類よ。…私の愛しい子供達よ。どうかこの試練に打ち勝ち、真の自由を手にする事を…切に願っています。』


 天使が両手を広げると、眩い光が辺りを包み込む。










 …気が付くと、俺は何事も無かったかの様に、会社の席に座っていた。




 …夢…じゃあ、無いよな…?


 スマホを取り出し「DDT」を起動しようとすると、画面にメッセージが表示される。


『Different Dimension Training‐Version.2はサービスを終了致しました。既存ポイント・データは全てVersion.3に引き継がれます。』



 …DDT、サ終してた。



 いや、正確にはVersion.3に移行した…で良いのか?

 上位存在が言っていた事を思い出し、目を瞑って意識を探ってみると──


 …あった。


 確かに俺の中に…新たに組み込まれた「力」が…「(ことわり)」が。

 

 これが…Vr.3。

 …人類の、対抗手段。



「…なに、今の…?」


「えっ?えっ?」


「…やばい、俺一瞬寝てたかも…。」



 同じフロアの同僚達がザワめきだした。


 やっぱり俺だけじゃ無い。

 …皆、同じモノを見てたんだな。


「…あぁ?何だ今の…確か俺は給料泥棒共を注意してたんじゃ…あぁ?」


 …うん、本当に全人類が同じモノを見てたんだな。

 梶本の奴までアレを見てるんなら…そうなんだろう。



「ゆゆゆ夢野先輩っ!!今のって…!?」


「…夢野君、さっきの見たかい!?」


「ああ、ええ…見ました。」


 大島と山里さんが、俺の席に集まって来た。

 俺は先程試してみたことを告げると、慌てて何やら始める二人。

 目を瞑ったり、こめかみを押さえたり…そして。


「…うわっ!本当だ!頭の中にDDTのステータス画面がある!!」


「これは…流石にもう、理解が追い付かないね…。」


 興奮する大島と、既にお疲れ気味の山里さん。


 …そうだ、時間!


 壁の時計を見ると…うっわ、もう残り一時間しか無ぇじゃねーか!!

 …おちおち確認する時間もくれないのかよ、上位存在さんよぅ!


「…時間が無い、今は俺達に出来る事をしましょう。山里さんはSNSでDDTの基本的な使い方を周知して下さい。アプリ版のDDTを広めた山里さんの発言なら、信憑性も高いでしょう。」


「…うん、分かった!」


「大島は…実況系の掲示板サイトにDDTの使い方を頼む。」


「わ…分かりました!…ところで、夢野先輩はどうするんですか?」


「…俺は、社内の皆に説明する。」


 …ハァ…嫌だなぁ…。


 目立つのも嫌だし、きっと頭がおかしくなったと思われるんだろうなぁ…。

 …もういいや、力業で行っちまおう。



「…ホラホラお前等!いつまで白昼夢の話なんかしてるんだ!?今は仕事中、お前等も給料泥棒になるつもりか!?」


 あんな事があった後だってのに、梶本の野郎…流石にそれは無理があるだろうよ…。

 …今はコイツに構ってる暇は無いな。


 良し、俺も腹を括るか──



「ハイハ~イッ!皆さん、俺に注目して下さ~い!」


 両腕を振り、馬鹿みたいに大きな声で呼びかけ注目を引く。


 …普段こんな事しないタイプの俺の奇行に、良くも悪くもフロア内の注目が集まった。

 …これで第一段階はクリアっと。


「夢ニュー…いや、夢野っ!!今は就業時間中だって、さっきから言ってるだろ!!」


 梶本が何か言ってるが、無視無視。

 注目を集めたから…次は、「証明」だな。



「『フレアブレス』っ!!」



 …そう叫んだ俺の口から、灼熱の炎が噴き出す…!

 良かった…ちゃんと出た…!


 さっき自分の中にダウンロードされた「使用方法」を確認した時、遂にスキルが実装されたのを確認済み…とはいえ、ぶっつけ本番は少しハラハラしたぜ。

 …コレで何も出なかったら、本当に頭がおかしいヤツだからな。


 …っと、人が居ない方向、それとスプリンクラーが反応しないように調整…っと。


「えぇっ!?」


「なっ…!?」


「はぁっ!?」


 …よしよし、みんな驚いてるな。


「…。」


 …梶本に至っては、顎が外れんばかりに大口を開けて固まってしまった。

 …うん、静かになってやりやすいや。

 この勢いで一気に行っちまおう。


「…皆さん、信じられない事なんですが…先程見た白昼夢、アレは現実です。あの金髪天使が言っていた通り、あと一時間もしない内にこの世界は…何かしらの変化を迎えます。」


「…今見せた通り…俺には魔法みたいな力、『スキル』があります。あの天使が言っていた『先行し試用している者達』ってのは、俺や大島、山里さんの事です。」


 ざわ…ざわざわ…。


「…やっぱり、夢じゃ無かったのか…?」


「え、じゃあ…ナントカってゲーム画面みたいなアレ…。」


「…やっば、俺達…宇宙人に改造された…ってコト?」


 多種多様な反応にフロアがザワつく…。

 が、皆アレが現実に起こった事だと、一応は理解してくれたみたいだ。

 …恥を忍んで体を張った甲斐が有ったな。


 …よし、証明は済んだ。

 これでやっと本題に入れるぜ。


「…あまり時間がありません。皆さんにダウンロードされた『Different Dimension Training』…通称『DDT』の使い方を、これから説明します。」

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