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英雄達の消えた街・コラボ編  作者: 四神夏菊
本編・リダスシナリオ(壊れた現実 編
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龍の望んだ旋律 1

晴れ渡る空が消え、吹き荒れる大地の風が周囲を包むとある街。全てが全て破壊尽くされたその場には、すでに瓦礫さえもが砂に埋もれる廃墟となっていた。

街を破壊するために動き出した機械兵は幾多の存在達が逃げ出す余暇さえも与えず、日が傾き出しても行動し、月が去っても動きを止める事は無かった。そして生まれた虚無の空間に残されたのは、その街に唯一残る事を選んだ存在達だけ。皆が持っていた力は全て消失し、何も残らない不安に包まれた区域だけが残った。


クラウが大切に守っていた、姫の住んでいた宮殿。ただそれだけが、残っていた。





『全てが、絶たれた…… 何も残る事すらしない、希望の風さえも消え去った。』

機械兵が行動し街全てが壊滅状態に陥ってしまったその場所に、残された存在達は居た。


街を護ろうとしていた姫のそばに居ると決めた、管理課の存在『ネコS、メイリー、アスピセス』 そしてその姫を助けに来た事を思い出した、改革者の龍『ストレンジャー・ザ・リダス』 今その場に残っているのは、四人だけだった。


共に改革を起こしたカツキ達は幻想車で街から出て行き、騒動を知ったアルダート達とはそれから連絡が取れていない。無事であればいいと願っていたリダスであったが、その後も彼等とは会う事も無事であるという知らせさえも得られなかった。『幸運』たと感じる幸せの吉報さえも、残された宮殿内では感じる事さえ出来ない。絶望に変わり果てた街で、彼等の起こしていた行動は全ての終わりを迎え、一つの終止符を打った。

幸せを得られない、ただありのままの現実を受け入れる『絶望した世界』だと……… 気が付いた何時からか、もう街の姿は変わらない結末に染まってしまったのだった。




「……… 乙女……」

彼等を残しその場から居なくなってしまった姫の石碑の前で、アスピセスは静かに立ちつくしていた。何度も何度も定期的に供えられる花で石は取り囲まれ、一つの小さな花園の様な光景へと姿を変えていた。最初に花を供えてから、いったいどれだけの時間が経ってしまったのだろうか。それすらも感じられない程に、彼等のする事全てが与えられすぎた余暇から失われ、感覚さえも鈍らせているのかもしれない。

彼等の瞳から流される涙さえもが、すでに乾ききっているほどに。

「花。もう、見せてあげられる場所さえも遠くなってしまったわね…… 彼の残したこの宮殿から全てが消える事は無くても、もう私達に得られるモノなんて……無いのね。」

「あぁ……… ……俺様達のやって来た事、全てが無駄になっちまった。あの龍も、俺様と同じ後悔しかもう持っていない……… 皆が皆、輝きを失っちまったんだろうな。」

「そんな私達の事を見たら、あの御方は何て言うのかしらね……… ……少なくとも、笑顔は見せてくれないわ。」

「同感だな……」

彼のそばに座り込んだまま動かないメイリーもまた、彼同様に乾ききった虚ろな瞳で石碑を見る事しか出来ない。宮殿内に咲き誇る花々が亡くならない手解きを彼女がしたまでは良かったものの、それ以降に移した行動は何一つない。アスピセスが摘み取った花を彼女が支え、その行動を永遠と繰り返すだけ。

もはや彼等には、何も生み出す事も止める事すらも許されない。後悔の過去が重すぎて、前へと踏み出せないのだ。

『ストレンジャーも、俺様達と同じか…… それとも、それ以上なのか……… ……知った所で、何も変わらないんだろうな……』

ゆえに、二人が行う行動はそれしか残されていないのだった。




「………」

何時しか停止し身体を錆びつかせ、苔に覆われてしまった機械兵の上。操縦席であった場所にネコは丸まり、彼もまた行動を起こすことなくその場に居る事を選んでいた。破壊尽くす為だけに生まれた力は制御を失い、目につくもの全てを消滅させた。対なる攻めの流星石が街を離れた事により、その力を補おうと機械兵は結果を求め続け、出来上がった光景が今の砂漠だ。

ネコは元々の願いが叶わなかった時から考える事を止め、ただただ欲望のままに動き続ける機械兵を見守っていた。だからこそ、止まってしまった今でも機械兵から離れようとしない。

『ラプソディが居なくなり、その友人も居なくなり……クラウも居なくなった。もう姫が求めるモノが無いこの場所に、ニャーが施す事なんてないのニャね。』

ただ相手の笑顔を戻す事だけを見つめていた、その願いが叶う事だけを祈って来た。理想が崩れ去った今だからこそ、ネコもまた残された存在らしく大人しくしているのだろう。この先に何があったとしても、その場から出る事さえも選ばない。

進む事を諦めてしまった存在達が、その宮殿の中での欠けた理想に浸っているのだった。




ビュービューッ………


「………」

そんな彼等が宮殿内に広がる緑の大地に足を付ける中、リダスは宮殿を取り囲む塀の上に立っていた。身に着けていた衣服を吹き荒れる砂漠の風に靡かせ、何かが見えるわけでもない砂漠の先を見つめている。街に残る事を選び、何時しか宮殿の中から出る事を選ばなくなった青年は、彼等同様何かをする事をしない。

しかし花を飾る時は飾り、それ以外の時はこうして外を見る事を行っていた。


【ストレンジャー 外何か見てて、何かあるのか?】


初めはアスピセスやメイリーにその行動を見られ、何をしているのかと問いかけられた。問いかけに対しリダスは特に答える事無く首を横に振り、彼はいつもこう答えていた。

【決まった行動を決めるまで、俺は俺自身がしたい事をしようと思ってな…… テリスターが居ない今、俺が何をするべきなのかを………見つけるまで。】

姫を護ろうとしていた管理課の存在達とは違い、彼は彼女の事を考えながらも自分がするべき事を考えている。心から大切に想う存在を失い悲しみに浸かっている三人とは違い、何故そこまでの行動をとろうとするのか。質問をしたアスピセスは再度理解するために問いかける事があったものの、その後の返答はリダスもまた定まっていない今を伝える事しか出来なかった。


何かを創りだしたくても、その時が来る事を待つことしか出来ない。


リダスは考えがあるわけでもなく、切欠が何時しか自分にやってくる事だけを待つことしか出来なかった。とても夢があると言える行動ではあるものの、とても時間任せの行動だった。

「……… ……テリスター………」

そんな彼でも、忘れられない存在の名前を口にする事は少なくなかった。何時しか街へと足を踏み入れた時に忘れていた存在の事を求め、認められないと思う事もゼロではなかった。理想に理想を重ねるのではなく、彼は行動を取ってから考える事が多かった。その行動に魅かれ、共に行動を取ろうと言ってくれる仲間にも出会えた。でも今は、その仲間達に会う事も出来ない。会いたい相手にも出会えない。

だからこそ、酷く寂しい感覚を忘れるために、そうするしか出来なかったのだ。自分がとても弱く小さな存在だと感じても、止めなかったのだ。

「………」



フワッ……


『……? ……華の香り………』

そんな彼が外を見て静かに瞳を閉じた時、彼の鼻孔を擽る香りがやって来た。同じ行動をどのくらいの時間取っていたかも解らない彼にとっては新たな刺激であり、とても驚く変化だった。自分が何かをしたわけでもないその現状が変わった事を知り、リダスは静かに目を開け辺りを見渡した。

すると彼の立っていた外壁の淵に座り、彼と同じく外に広がる砂漠を見つめる存在の姿があった。

『人……違う。狼……なのか。』

何時からそこに居たのかさえも解らない存在の姿を見つけ、リダスは静かに身体の向きを変え、存在の居る方角を見た。そこに居たのは黒い短髪の狼獣人であり、黒いフード付きの服にくすんだ色のジーンズを履いていた。彼の背後には風で静かに靡く尻尾があり、紅い瞳が印象的な青年だった。自分同様何かをするわけでもなく、ただ座る青年を見て。彼は足を踏みだし彼の元へと近づいた。

その時だった。



「俺に、何か用か。」

「ぇっ……?」

不意に狼は言葉を口にし、彼の動きを止める様に静かに顔を動かした。その顔は表情が無く、ただ彼を見る様な顔つきだった。


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