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英雄達の消えた街・コラボ編  作者: 四神夏菊
本編・リダスシナリオ(壊れた現実 編
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黄昏時の傍観者 4

「……俺、変わりたい。このままじゃ……やっぱり駄目だ。俺も、あの街でやり残したことがあるって思ってる。ラプとストレンジャーが一緒に居た時、俺はあの時全力で止めるべきだったんだ。ラプが死ぬって解った時に、もっと前に出られてたら……… ……死ななかったかも、しれなかったから。」

「ぇっ…… タカ、ラプが死ぬって……本当にあの時、解ってたのか?」

「あぁ、ごめんマサ。早く言えば、お前だって嫌だったよな…… ……もう、後悔でいっぱいなんだ。 だからもし、君が俺達にチャンスをくれるなら………変えたい。俺自身も変わりたいんだ!!」

彼の出した答え、それは今の現状を満足していないと言う答えだった。このままで居る事もだが、それ以前に後悔を残して街を出て行ってしまった事を彼はずっと胸の奥にしまい込んだままだった。それを改めて皆の前で告白すると、シップスは驚きながら彼に質問をした。

すると彼は素直に頷きながら詫びを言い、この出来事が変化の切欠になるのならば、もう一度その行動をしてみたいと言うのだった。



全てが全て上手く行くとは思えない。 でも、それでも何かをしたい。



足掻き変える変化を得ようとすると、とても輝いた存在らしい言葉だった。その言葉を聞いて、狼獣人は静かに目を瞑り口元を少しだけ上げていた。

「……… そっか。」


「ぇっ?」

「それが、お前等全員の願いなんだな。クラウを初めとして、ぼうくんにシップス。そしてカツキ、お前自身の願いであり求めるべき理想なんだな。」

呟き混じりに何か嬉しい事を聞けた様子で、狼獣人はそっと彼等に聞こえるかどうかの声量で言った。その言葉を聞いたぼうくんは気に欠ける様に話を振るも、彼は何も答えず再度確認を取る様に言い放った。



 後戻りをせず、そのまま前に進むかどうかを。



彼等に、問いかけるのだった。

「あぁ、俺はぼうくんも……忘れてしまったあのお姫様の事も、助けたい。」

「俺も、クラウのために何かしたい。俺、こんな弱くて駄目だけど……さ。それでも、何かできるかもしれないって言うのを……ラプソディさんがクラウを好きになってくれた時に、思えたんだ。」

「俺も何だかんだで、ラプは嫌いじゃなかったしな。タカほど話が上手く噛み合わない時が多くて、ラプ気にしてたみたいだけどさ。俺ももう少し、何か出来たらお互いに話くらい出来たんだろうから。」

「……皆と一緒だ。俺も、ラプを助けたい。ストレンジャーみたいに強く言えないけど、それでも。助けたいんだ。」

そんな狼獣人からの最後の警告を聞いて、四人は気持ちを改めて言葉にし相手に伝えた。皆が目指すべき理想が見えている様子で、彼等の言葉を聞いたハンメル達も同じように真っ直ぐな目を狼獣人に向けていた。

「解った。お前等の願い、あの龍からの餞別で叶えてやろう。計画立案者(アイディアスターター)に、任せてみな。」

彼等の正真正銘の決意を聞き届けると、彼は持っていた刀を消し代わりに手元に幾多の竜胆を手にした。指と指の間に器用に茎を挟みながら両手に持ち、それを彼等の居る場へと向けて空へと投げ放った。放たれた竜胆達はそのまま放物線を描く様にして地面へと刺さり、まるで根を生やしたかのように直立して彼等の足もとに立ち上がった。

その光景を見た狼獣人は静かに右手を前へとだし、人差し指を立てたまま額に乗せ呟き出した。

「理想を求め創造に成り、その名の陰への切欠を与えし美女の声の元、生まれた果ての龍声に応えし造影の狼…… 孤独に佇むも、強く生きる存在の理想を叶えよう。その願いが、全てを変える唄に成るために。」

「………」

「孤独に佇む貴方を愛し【竜胆】 ……存在のイキザマの未来予想を、変えてくれ。」

彼の様子をカツキ達は静かに見守り、彼が最後の言葉を口にしたその直後。変化が起こった。




ブァアッサッ!


「うゎああっ、花がっ……!」

「の、飲まれる……!?」

彼等の足元に直立していた竜胆の花が一気に開花し、突き刺さった状態の大きさとは思えないほどに花弁を広げ近くに立っていた存在達を個々で包み込みだした。ラフレシアの様な巨大な花弁を見せた花達は存在を包み込みだし、あたかも捕食する様な勢いで彼等の動きを封じた。

とっさの自体に彼等は動揺し外へ出ようと試みるも、花達は彼等を離さない。

「安心しな、死にはしない。お前等の願いを叶えてくれる、その世界の変化にお前等が成るんだ。」

「変化に……成る?」

そんな不安に駆られた集団を見た狼獣人は安心させるように一言言い、これから起こすであろう自体に目を逸らさずに向かって行けと言った。何を言っているのか解らない眼差しを向けていた彼等は驚いた表情を見せた隙を付いて、一人また一人と竜胆は綺麗に包み込んで行った。

身体全体を包み込まれてしまったハンメル達は、不思議と不安な気持ちは無くやって来た睡魔に身を寄せ、ただ静かに目を閉じるのだった。

「切欠っていうのはな、気づいたその時から得られるんだ。何時だって何回だってやってくるそれに、気づきさえすればな。シップス、お前も何時だって強くなれるさ。」

「お前……」

仲間が次々と飲まれて行く様子を見ていたシップスは動揺しながら辺りを見渡していると、目の前に狼獣人が静かに立った事に気付いた。何を言うのだろうかと目を向けて見ると、彼は静かに言いたい事を良い確信があるのか、意味深な言葉を口にしていた。

「ちゃんとお前の考えをくみ取ってやれなくて、悪かったな。」

「………」

最後に彼はシップスに向けて静かに詫びを言うと、彼もまた静かに竜胆の中へと包まれていってしまった。


話をしていた相手が包み込まれて行ったのを見届けると、次に狼獣人が向かって行ったのはクラウとぼうくんの元だった。流星石へと姿を戻された幻想車に乗っていた彼等は周りと違って二人で一つの花の中へと送られつつあり、軽く身体を掴んでいたぼうくんをクラウが「心配いらないよ」と励ましていた。

狼獣人が二人の元へと向かって行くと、彼等もまた不思議そうな目を向けて狼獣人を見ていた。

「まだ怖いか、こんな状況じゃ無理もねぇけど。」

「あ、あぁ…… ……なぁ、お前って……味方なのか………?」

「俺は好きと言ってくれた相手の事が好きなら、全力投球する様な存在だ。……お前の創った獣人の輝きに、魅入られる様な存在だけどな。」

「君は、あのお姫様が好きか? 俺も、今でははっきり言えるような気がするんだ…… 好きだって。」

「その気持ちを、お前が護りたい相手のために使いな。それだけの輝きが持てるようにしてくれたぼうくんと、その姿を愛してくれた姫をな。」

「! あぁっ!」

彼等にも同様に言うべきことがある様子で、狼獣人はぼうくんに話しかけ不安を取り除こうと言葉を口にしていた。不安である事を素直に告げたぼうくんは彼に向けて質問をすると、彼は静かに答え明確な答は言う事は無かった。変わってクラウは自分の今の心境を素直に答えると、狼獣人は静かに口元だけの笑みを見せ、これからもその気持ちを抱き続けて欲しいと告げた。その言葉を聞いて返事をしたクラウの声が聞こえると同時に、竜胆は彼等を二人一緒に包み込んでしまった。

周りに居た存在達が皆包まれた事を見届けると、狼獣人は最後の一人の元へと向かって行った。そこに居たのはカツキであり、彼は周りの存在達とは違い花に抵抗はせず軽くその場に座る様に体制を変えていた。もう何も疑う事をしない様子で大人しくしており、やってきた狼獣人を否定する事は無かった。

「お前は、俺が言う前から前に進もうとしていた。それを俺が引き止めていただけって言うのを、遅くなった今に理解したつもりだ。遅いが、それを悔んでる事も知ってくれ。」

「……解ってる。俺だって、そうしない様にしたくても出来なくて……それでラプも苦しめていたって、解ってる。……でも、もう一度ラプが俺を好きになったら……駄目な気がしてさ。依存なんて、きっとしない方が良い。……まだ俺は、そんな奴には成れてない。」

「今はそうかもしれないが、魅力があるから好きになる。相手が本気に好きになったって事を、遅い今でも誇りに思うんだな。」

「あぁ…… ……ありがとう……… ……えっと。」



「俺は表の狂詩曲ではない、裏の夜奏曲に映える存在。ノクターンだ。」

「ノクターン……… ……ありがとう……」

互いに何かを悟り、それを理解してもらおうとして彼等は少し謎めいたやり取りを交わしていた。



片方が悔んでいるのではない、互いに悔んでいる。片方が苦しんでいるのではない、相手もまた苦しんでいる事。



両者は言葉を交わし納得したように笑顔を見せた後、カツキは切欠をくれた狼獣人に名前を聞いた。彼は静かに名前を名乗ると、カツキはお礼を言いながら笑顔を見せ、花の中へと包まれて行ってしまった。



シュンッ……


その後花弁の中へと存在達を取り込み終えると、竜胆は閉じた花弁を開く様に展開しだし、一枚ずつの花びらになって風と共にその場から去って行ってしまった。包み込んだはずの存在達はもうその場にはおらず、風と花びらと共に彼等を運んで行ったことを狼獣人は静かに見送っていた。

「……… ……変えちまえよ、お前等が絶望しちまう未来なんて。簡単に言えない程難しい現実でも、変えられない未来何て言うのは……最初からねぇんだからな。こんな後悔と絶望しか残らない終焉より、お前等はもっと笑顔になれる結末を…… 願いとして持ってるんだからな。」

全員を見送り変えるための舞台へ送り届けると、彼は静かにそう呟きその場を歩き始めた。砂ばかりが広がる光景をただ静かに彼は歩き、少しずつ歪んで行く空間の中へと彼は入って行った。白く不安定な空間の中へと入り込むも歩を緩めず、彼は前へ前へと歩きながら心の中で言葉を告げ続けた。

『これで、全員だな。一度きりの大きな変化のために、アイツ等は物語を書き替えに行った。龍が先導し、その龍の想いを欠片で得た彼等が…… 全てを変えるんだ。この未来も、姫の行末も……な。』

空間を静かに歩き出口の光を抜けると、彼はゆっくりと前を見た。



そこには崩壊する前の巨大な都市『とある街』と呼ばれていた空間が、広がっていた………


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