↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄達の消えた街・コラボ編  作者: 四神夏菊
本編・リダスシナリオ
81/155

子狐達の平和 1

誰もが良く知る、英雄達の住まう街。その姿から連想されるモノは数多く、美しくも可憐なヒーロー達ばかりだった。また逆に、勇敢かつ逞しい英雄も少なくは無かった。

そんな街から、突如彼等は姿を消してしまった。



……しかしそれは、少し前までのお話。



今のその街には名の知れた英雄達とは違う、新たな改革者達が住んでいるから。存在達は再び、平穏な日常を取り戻しつつあった………







チュンチュンチュン………



「……ん、んっ………」

夜の闇が包み込んでいたとある街に、静かに差し込んだ太陽の光。微量であった日の光は徐々に力を増し、街の闇を優しく溶かしていた。


屋根を照らし、大地を照らす。そして、

存在達を、優しく夢から覚まして行ってのだった。


「……… ……朝……か………」

改革が早く進んだ街の一区にある、大きなビルの一室。そこで寝ていた一人の存在は、ガラスの無い窓から差し込んで来た日差しを浴び、目を覚ました。簡素ではあるが整えられたベットの上で寝ていた青年は、眠気眼を擦りながらゆっくりと起き上がり、窓辺へと向かい外を見た。

街の外はやって来た太陽によって姿を変え、優しい光によって自身が持っていた色彩を取り戻していた。まだ壊れかけた建物や資材が多いものの、それでも存在の知る地区とは比べ物にならない姿へと変えていた。その後やって来た爽やかな風を肌で感じ、存在の着ていた衣服が静かに靡いていた。

「……ぅ、うーん……… ……ストレンジャー………さん……?」

新たにやって来た一日の始まりを感じていると、同じ部屋で寝ていた存在が目を覚まし、窓辺に居た存在の名前を呼んだ。ベットサイドに敷かれていた敷布団の上でゆっくりと身体を起こしたのは、晴れ渡る空の様な色をした狐の少年。静かに耳に着けていたイヤリングが音を出す中、彼は起き上がり窓辺に居た存在の元へと向かって行った。

「おはよう、アルダート。……朝が来たみたいだぜ。」

窓辺へとやって来た子狐に対し、ストレンジャーと呼ばれた存在は静かに挨拶をした。その後静かに立っていた位置から少し横へ移動し、彼も同様に太陽の光が浴びられるよう配慮した。移動し日向へと出た彼は笑顔で外の風景を見た後、ゆっくり深呼吸をしていた。

「僕、今日はストレンジャーさんと同じタイミングで起きれました。もう、夢じゃないんですよね。」

「あぁ。君の住むここは、もう君の嫌っていた地区じゃない…… 新しく出来た、君の望む地区だ。」

優しく照らされた外の風景を見た後、アルダートは軽い笑みを浮かべながら彼に言った。そんなアルダートの質問に彼は優しく答えると、2人は同様の位置から外を眺め、彼等の望む姿へと変わって行った街を眺めていた。

「……ぁっ、そういえばつい『ストレンジャーさん』って呼んでしまいましたが。本当に良いんですか……? 『リダスさん』じゃなくて。」

外の風景を眺めていると、不意にアルダートは隣に居る彼に対し改めて思いだした事を質問していた。アルダートの知り合いは皆彼の事を『ストレンジャー』と呼ぶが、実際の名前は正しいようで違う名前を持っている。

その事を思い出した彼から改めて自己紹介された後でもあり、中々しっくりこない様だ。

「君の望むように俺を呼んでくれるなら、それで構わない。……俺はストレンジャーでもあり、リダスでもある。……まさか君のつけてくれた名前が、そのまま俺の名前だとは思わなかったさ。最初から呼ばれた時から、あまり違和感を感じなかったわけだ。」

「そうでしたか。ストレンジャーさん、ごはん食べに行きましょうっ」

「あぁ、そうだな。」

とはいえ、それは少年の無駄な気遣いで終わる事となった様だ。呼ばれた当の本人は一切気にしていない事であり、実際の名前には彼の言うように両方の呼び方があるだけであり、特に変更点は指摘されていない。

ゆえに、本人達の望むように呼んでくれればそれで良いと、彼は言うのだった。


彼の名前は『ストレンジャー・ザ・リダス』

藤色の翼を持ち、新緑を思わせる緑色の髪が特徴的な青き龍の青年。そして、彼等の住む街に新たに生まれた『改革者』であり『英雄』の一人なのであった………




壊れた建物と廃棄物の多かった街の地区はすでに姿を変え、彼等はその地区では有名な『改革者』であり『英雄』であると崇められていた。管理課の塔での戦いを終えたアルダート達は道を共にしていたカツキ達と別れ、元々住んでいた地区へと帰って来た。その際の出迎えは彼等の予想を超えるものであり、とても盛大な『記念日』に匹敵する賑やかな物であった。

アルダートと共にその地区へとやって来た1人がリダスであり、彼もまたその地区では有名な改革者の1人だった。自身は左程その名誉には関心は無くあまり笑顔は見せていなかったものの、彼等のおもてなしは断る事はせずほぼ全ての事柄を彼等の望むようにしていた。朝を迎える際に寝ていたビルも地区の住民達によって用意された物であり、お世辞にも綺麗とは言えないがやって来た当初に比べると格段と良い空間であった。

その部屋を紹介された際も、アルダートは無邪気に喜んでおり『自分自身が一番幸せだった時と同じだ』と言い、とても喜んでいた。そして彼の申し出もあり、リダスは同じ部屋で寝泊りをしていたのだった。

「……ぉっ、来た来た。おはようアルダート、ストレンジャー」

そんな彼等の住むビルには他にも同居人がおり、共に生活をしている三人が居た。食事を取るための部屋に居たのは白虎の青年『ミーク』であり、スポーツドリンクを片手に彼等に向けて軽く手を振っていた。

それを見たアルダートは同様に手を振り、彼の座っているテーブルに置かれた椅子へと着席した。

「おはようございます、ミークさん。朝のお散歩はどうでしたか?」

「あぁ、もうすっかり改革前の雰囲気なんて感じさせる箇所が無いって感じだな。店も点々とだが出来てたし、地区の住民達が住む場所もちゃーんと確保されてるって感じだ。」

椅子へと座ると同時に彼はミークに挨拶をし、朝の散歩はどうだったかと質問していた。ミークの趣味は運動であり、改革が終わり平和になった街では『ジョギング』が主な日課になりつつあった。

早寝早起きを徹底しており、彼等の住まう場所では一番の早起きだ。その事を感じさせる様に首元から生え揃った体毛のある肩には、使った痕跡のあるタオルが掛かっていた。

「ストレンジャーもおはよう、良く眠れたか?」

「おはようミーク。あぁ、ちゃんと眠れたぜ。」

「そっか。良かった。」

軽く会話を済ませると、同様にミークはリダスに対し挨拶をした。改革を終えた後も二人の関係は左程変わりは無く、誤解からの衝突もあったが今では同居している事もあり喧嘩等々は無くいつもの二人であった。

アルダートも二人のやり取りを見て笑顔を見せており、とても平和な朝が来た事を悟っている様だった。

「はーい、朝食出来たわよー」

「皆さんおはようございます。 今日はハムエッグですよ。」

そんな三人の元へとやって来たのは雀の『ベルミリオン』と亀の『ペルティ』であり、出来立ての朝食を手に彼等の元へとやって来た。手にしているのはハムエッグの乗ったトーストであり、人数分の皿の上に置かれ一つ一つテーブルに置かれて行った。

持っていたプレートを置き終えると、逆様に置かれていたカップを引っくり返しウォーターポットに入った水を注いで行った。

「おっ、今日も旨そうじゃん。相変わらず飲み物は水だけどなー」

「仕方ないじゃない、まだまだ復興してる最中なんだから。アタシ達の所だけでも火元があるのがまだマシな方よ。」

「そうね。流星石はあの後から落ちてる所も見ないし、私達の持ってる流星石が最後の名残みたいなものね。」

「まぁなー」

しかし街の姿が変わったとはいえ、地区1つ1つへの供給物資は少なくまだまだ完璧な元の生活を取り戻したわけでは無い。食事の面ではまだ不備があり、トーストに合う牛乳などは無く綺麗な飲み水だけの状態だ。地区の至る所に落ちていた謎の素材『流星石』は、彼等の行った改革の後から姿を消し、落ちている事などはほぼ無い状態だ。ゆえに、自力で火や電気を用意しなければライフラインは獲得できないのだ。

だからこそ彼等の所はまだ住みやすい環境が整っており、火元もあり電気も来ている。食事の面の不備は、まぁ大目に見ておこうと言うレベルだ。

「でもま、今となってはただの置物だな。」

「そうですね。」

今まで頼りきりであった流星石は今となっては使い道のない物に変わっており、彼等の住まう部屋の隅に置かれている状態だった。元々の見た目が瓶と言う事もあり置いておく分には十分見栄えは良く、中身の液体の色もあってか雰囲気造りには丁度良い代物だ。

戦いの後を感じさせる物だが、彼等は捨てずに取っておこうという話でまとまり、今に至るのだ。全部で五個の流星石がそこには置かれており、一人一人が持っていた街で唯一の力がそこにあった。

「……さ、食べようか。出来立ての方が美味しいからな。」

「そうですね。それじゃあ、



 いただきまーす。



その後リダスの一言で彼等は現実へと戻り、皆は両手を合わせ合掌し、朝食を取り出した。平和となった街の朝は、こうして過ぎて行くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。