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英雄達の消えた街・コラボ編  作者: 四神夏菊
本編・アルダートシナリオ 対プリンセス編
73/155

全てを変えたあの場所で 3

塔のふもとでの攻防戦が開始した、その頃………




タッタッタッ………


塔の中へと潜入したアルダート達は幾度となく移動するための装置を起動させ、上へ上へと目指して進んでいた。途中連絡通路の様な場所を前へ向かって進み、また装置を見つけて起動させてはの繰り返しを行っていた。

外見以上に広い塔の中は、予想以上に体力を消耗する場所でもあった。

「大分広いですね。階段だけの造りかと思っていましたが、まさかこんなに広間があるとは思ってもみませんでした。」

「でも、何処も綺麗な装飾や配色の落ち着いた空間……… どれを見ても、悪役の住む場所だなんて思えない。」

「鮮血の一つや二つあるかと思ったけど、それもねえな。本当にココに居るのか? 管理課の長が。」

通路を走りながら、アルダート達は進んできた場所の造りに感想を漏らしていた。何処を見ても高級感があるつくりに対し、配色はどれも落ち着ける色合いを基調にした明るい色の空間だった。しかし暖色では無く寒色ばかりの空間であり、何処か冷たげな雰囲気も持ち合わせている場所だった。

元々敵の本拠地として乗り込んできた彼等にとって、今までやって来た相手を蹴散らしてきた場所だとはとても思えないのだろう。何処も清潔な空間ばかりであり、とても戦いを行った場所だとは思えない様だ。

「……ぁっ、次の装置が見えてきたぜ。」

そんなやり取りも束の間、彼等は走る事を止めず次の移動装置の前へとやって来た。高級感溢れる場所に見合う泉の様なその場所は、絶えず水の様に上へと延びる光が発せられており、その上へと乗り起動させれば上へと昇って仕組みになっている。これもまた流星石を使ったシステムなのかと思ったアルダートが一番に起動させる事に成功しており、その調子で昇って来たのだ。

今回もまた起動させるアルダートが最後に乗り、最初に乗り込んだハンメル達の様子を見て彼が乗り込んだ。すると、泉の足もとから光が溢れ、彼等を上の階へと送って行くのだった。



シュンッ


「っとっ。……ぁっ、広い所に出たわよ。」

移動に成功した彼等がやって来た場所は、先ほどまでの通路とは違った薄暗いホールの様な空間だった。移動先が決まっているため進路変更は出来ないが、出てきた場所を見てペルティは進んでいる事を実感した様子だ。

軽く前へと移動し辺りを見渡すと、妙な物を見つけた。

「……あれ、あそこにあるのって………」

見つけた影に対し周囲に報告する様に彼女は言うと、皆はペルティが見ていた方向へと目を移した。そこには薄暗い空間でもわかるほどの大きな影が浮かんでおり、丸くもあるが何処かゴツゴツとした印象を与える物体だった。

「何かデカくね……?」

「ス、ストレンジャーさん……… まさかあれって………」

ぼんやりと浮かんでいる影を見てクロは言うと、その影に見覚えがある様子でアルダートが震えながらストレンジャーの腕を掴んだ。アルダートの行動を見たストレンジャーは静かに影を観察した後、静かに頷き彼を落ち着かせるように手を握った。

そして、影に聞こえる声量で言った。

「ネコS、お前が居るんだろ。」



「ニャーッニャッニャッニャッ! ようこそ諸君っ! よくぞここまでたどり着いたニャ、まずは褒めてやろう!」

彼の声に対し返事をするかのように、何処からともなく彼等の周囲を取り囲むように声が響いた。ホールそのものが音を反響させる造りなのか、それともスピーカーによる音の増強か。どちらとも言える反響具合を見て、その場にいた皆は流星石を手にし辺りを警戒し出した。

「ココはニャーのスタンバイする単なるホールなのニャ。まっ、まずは警戒せずに物騒な物はしまっておくことをオススメするニャ。」

辺りは薄暗いまま声は響き、ネコSは居場所を察しられないよう未だに暗い中から彼等に発言をしていた。しかし彼からは相手の行動は見えている様子で、手にした流星石をしまう事を勧め出した。

「しまうように言うんだったら、姿くらい見せたらどうだ!」

「ん~ 確かに一理あるニャ。 良かろう、見せてやるのニャッ!」



ビカンビカンッ!!


「ッァ!! まぶしっ!!」

そんなネコに対しシップスは言い放つと、ネコは急に辺りを明るくさせるべく室内灯の明かりをつけた。すると暗い空間に慣れていた目に大量の閃光が入り込み、一瞬にして彼等の視界を白く塗り潰した。急な事もあってかたじろぐ集団であったが、徐々に目が慣れてきた様子で辺りを見渡した。

「ぁっ、居ましたよ!」

その後いち早く見つけたアルダートは手でネコの居る場所を指示し、皆は手の先へと視界を移した。

彼等の見た位置にはまさしく声の主であるネコS張本人が立っており、彼の背後には彼の持つ強大な力【機械兵(マシリーン)】が尻尾を揺らしながら待機していた。機械兵は特に動くことなく主の後ろに手足を付けて器用に座っており、指示ひとつで彼等を襲う事などたやすい状況である事を意味していた。

しかし当の本人であるネコSはその場で微動だにせず立っており、ただただ集団を見つめていた。

「ネコS……… お前も、俺達と対峙するためにココに居るのか。」

そんな彼の姿を見たソニルスはネコに向かって発言をしつつ、流星石を構えた。問いかけに対しネコは軽く頷いた後、手を軽く動かし流星石を構えるなと指でコンタクトを送っていた。

しかし、そのコンタクトに気付いて下げた者は居なかった。

「あっていると言えばあってるけど、違うと言えば違うのニャ。ニャーはただ、お前等がこの先に行くことにふさわしいのかを見るために居るのニャ。」

「それって、戦えって事ではないの?」

「ニャーは無駄に殺すのは好かんのニャ。この場を汚す事は好きではないし、後々処理するのも面倒だからニャ。酸化した血液って言うのは、中々落ちないのニャよ? とりあえず石をしまえいっ!」

その後自らの言葉で居る理由を話すと、続けてやって来たベルミリオンの質問にも答えていた。とはいえ自らが言った行動をなかなか集団が行わない事に軽く怒ったのか、再度石をしまうよう指摘した。

だがしかし、それでも集団はしまわない。

「お前が力を見せつけてるくせに、しまえるわけねぇだろ!! お前こそしまえよ!」

「ん~ それは無理なのニャ。一回具現化したら、機械兵の機嫌が良くならない限り瓶には戻らないのニャ。中々手が焼けるのニャよ? この子。」

「んだよそれ!?」



スッ


「? ……ストレンジャー」

集団には集団の言い分があり、シップスは抗議する様に言うも機械兵は自ら戻りたいと思わない限り戻らないと告げられてしまった。そんな身勝手な流星石があるのかといちゃもんをつけようとすると、彼の前にストレンジャーの手が入りそれ以上の口論はしないよう静かに言った。

軽くリーダーの様な立ち位置に居る彼の行動を見て、シップスは一度落ち着きつつ彼の様子を見た。

「わかった、しまおう。……戦う気は、本当にないんだな。」

「信じて良いニャよ。ニャーは嘘は嫌いなのニャ。」

「……… 皆、一回しまってくれ。」

「わ、わかった……」

その後確認を取る様に質問をすると、ネコは嘘は嫌いだと言い機械兵に大人しくしている様指示をした。すると機械兵は大人しくする事を示すかのようにその場に伏せ、まるで犬の様に主人からの次の指示を待っていた。

その様子を見たストレンジャーは皆に流星石をしまうよう頼むと、彼等は渋々同意し石をしまった。

「……それで、ココで何をしたら。お前は通してくれるんだ。」

皆が流星石をしまった事を確認すると、ストレンジャーはココで何をしたら通してくれるのかと質問した。流星石による戦いを望まないのだとしたら、いったい何をしたら通してくれるのか。 それがとても気になる様だ。

先ほどの様に強行突破を図ろうにも、次の転送装置はどうやら先ほど伏せた機械兵のボディの下敷きになってしまっている様だ。これでは機械兵を退かさない限り上には登れないため、その条件をのむ事を第一に考えている様だった。危険な駆け引きであれば、無論別の昇り道を探さなければならない。

「そうだニャ~ 血を流すのは事後処理が面倒なのだから……… そうだニャッ、簡単なゲームでニャーに勝ったら通してやるのニャ。」

「マジで言ってんのか……? それ。」

「ニャーは何時も真面目だニャ~」


『嘘くせぇ~………』

その後ネコから提示された条件は『ゲーム』であり、勝負に勝ったら通してくれると言った。提示された条件に困惑を隠せないアルダート達であったが、ここまで言われれも中々信用できる相手では無い様だ。相手は道化師(ピエロ)の様な相手であり、何を考えているのかさっぱりわからない。事によっては、皆殺しもあり得るのだ。

そんなこんなでゲームをする事になったアルダート達は、最初に順番を決める余地も与えず軽くネコの指名された順番でゲームを行う事となった。何をするのだろうと思っていた集団ではあったが、指名されネコの前に移動し、最初に相手をする事となったのはハンメルだった。残りのメンツは用意された場所で待機している様注文があったため、簡易に用意されたスペースで彼等はその様子を見守っていた。

「それで、何をすればいいんだ。」

「ん~ おミャーとの勝負は、これニャ!」

最初にゲームをするよう言われた彼は内容を聞くと、ネコは何処からともなく『トランプ』を取り出した。その後軽くカットする様に手を動かし、華麗にシャッフルする光景が広がっていた。

「トランプか……… 内容は。」

「ババ抜きニャ。」


「はぁ!?」

しかしやるゲームの内容が簡素であり、とてもシリアスな展開には相応しくない演目であった。これには一部の集団からも驚きの声が上がり、外野が喧しいとネコは注意した。軽くその声を聞いた機械兵の目が光ると、抗議しようとしていた一部の集団は静かになった。

「ニャーが主催なのだから、何をやっても良いじゃないかー! ……って事ニャ。あんまりそこから動くと、機械兵がご飯と間違えて食べちゃうかもしれないのニャよ?」

「……これをマジで言ってんだから、嘘くせぇんだよなぁー………」

「何か言ったかニャ。」

「な、なんでもねぇよ!!」

とはいえ言い分は主催者にあり、権限もチャンピオンに当たるネコに等しい。盛大に講義をしようとしていたクロの様子を見たネコが指摘をすると、彼女は黙り軽く唸りながらその様子を見ていた。苦笑する一部のメンツに、彼女が噛みつく様に意見する。何処か賑わいのある光景である。

「それじゃ、ニャーから引くのニャよ~」

そして、戦いの火ぶたの中の朗らかなゲームが始まったのだった。その様子を、ストレンジャー達は静かに見守っていた。


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