第八話 初めてのおつかい
おつかい頼まれる時メモっておかないと忘れたりしますよね?
私は違うものまで良く買います。
トントントントンと小気味良いリズムで野菜が切られていく。
もっぱら食事はお手伝いさん(獣人)のメレクさんと金ママの仕事だ。
メレクさんは犬型の獣人で耳がペロっと垂れているのがチャームポイントだ。
でも笑うと口裂けてるからちょっと怖い。まぁ、犬だしね。仕方ないね。
『アッ!しまったわぁ~。塩を切らしてたんだった~、しかも卵も足りないわぁ~』
メレク「奥様、私が買いに行ってまいりますワン。」
…語尾がワンなんだね。わかりやすいね…
これ、異国だったら、行ってまいりますバウワウなのかな?
そんな事を考えていると
『そうだ、アークとエンデュミオン暇してるでしょー?お小遣いあげるから行ってきて~』
メレク「旦那様不在の今お二人に何かあると危険です、私が行ってきますワン。」
『大丈夫よ~、すぐ近くの雑貨屋さんまでそんなに距離無いし、2人ならね?』
上の部屋から声が聞こえる。
「拙者ココから一歩も出たくないでござる!働きたくないでござる!」
エンだ。あいつ本当に出無精なんだよな。
アーク「じゃあお前の分のお小遣い俺が独り占めするぞー?」
「クッ…汚い…流石忍者汚い…やむ無し、拙者も参るでござる」
忍者ってなんだよ。
この世界にそんなのあったっけ?手裏剣とか投げるアレだよな?やっぱり何か知ってる気がする。
ドタドタと階段降りてくる途中で寝てる毛玉に引っかかりそうになってる。
『はい、これ塩代と卵代と二人の分のお小遣いね。』
銀貨3枚貰った。銅貨10枚で銀貨1枚換算だ。
『あと傷薬も念の為に持って行くのよ。』
と、傷薬2個貰った。
アーク・エン「んじゃ、行ってきまーす」
外に出るとまだ残暑が厳しいが風が吹くと涼しい。
雑貨屋は家から出て歩くと1時間ぐらいかかる場所にある。
途中は小麦畑や遠くに山が見えてのどかな場所だ。
点々と家があって、ほとんどが農家の家だ。
ヤギや羊が柵の中で飼育されている。
『おや、男爵さんとこの子かい?おつかいかい?偉いね~』
農家のおばちゃんに話しかけられた。
「はい、初めまして。アークと言います。こっちは弟のエンデュミオンです」
『ちゃんと挨拶出来るの偉いね~』
なんか分からんがめっちゃ褒められてる。
褒められるような事は何もしてないんだが。
「エン、挨拶しろって」
エン「オバサマ、節操達はしがない旅の途中故これにて失礼仕る」
だから言い方のクセ!
軽く会釈をしてその場を後にした。
穀物地帯を抜けて、草原地帯に入ってその先が雑貨屋さんや色々なお店がある商業地帯だ。
道は馬なども通るので、草は生えてなくて一本道で迷う事はない。
と、思うじゃん?
まぁ拙者に掛かればこんな簡単な道も迷ってしまうんでゴザルよ。
コイツがMAP開いて↑に行った方が近くね?とか言い出したんだよね。
草原突っ込んで森を突っ切って行くという無謀な挑戦を始めたって訳。
そしてこのザマである。
まぁ幸いコンパスの方向は合ってるからこのまま進めば着くはず。
うさぎや鳥が見れて、しかも木の影で涼しいし、発想の転換で暑さをしのげるから良しとしよう。
『こんな所に人間なんて珍しー』
うぉ!びっくりした。いきなり話しかけられて…
??
見渡しても誰も見当たらない。
「エン、お前なんか言った?」
エン「いや、拙者も聞こえたでござる」
『ココ!ココ!私はココよ。』
「初めましてココさん。姿が見えませんが…」
『私の名前はココじゃないわよ、妖精族のティーよ。」
「あっ……『ここ!ここ!』って意味か。」
木の陰から小鳥ぐらいのフワフワと飛んでる生き物が出てきた。
きっとこの子?が妖精族のティーさんなんだろう。
「すいません、僕ら雑貨屋に行こうとショートカットしようとして今に至るのですが」
『うーん、真っ直ぐ行けば人間の商店街に行けるはずだけど、おねいさんが一緒に行ってあげる』
「いや、そんな…悪いですよ初対面の方に道案内なんて…」
『いーの、いーのどうせ暇だったし君達可愛いから今のうちに唾付けておけば・・・ゲフンゲフン』
一瞬なんか、下心が垣間見えたがお言葉に甘えよう。
「すいません。お礼とか出せないけど良かったらお願いします。」
『オッケー、んじゃお店まで行こうーレッツラゴー』
エンがずっと黙ってる。やっぱ人見知りするんだよな。
10分ぐらい歩いた所で、野生の狼が襲ってきた。
「うげ、2匹居るわ…他にも群れが居なきゃ良いけど」
エン「先制の火球!」
…魔人語版じゃない所を見ると温存しながら様子見でって感じか、こいつ案外合理的だな。
命中し、見事にホットドックになっている。
『風の精霊エアロスよ、指先より放たれしは風の刃、切り刻め鎌鼬』
もう一体に命中し微塵切りになった。
「ティーさんやりますねー」
『どうでしょ凄いでしょーフン♪フン♪』
良い所を見せれて上機嫌のようだ。
レベルが上がった。
俺なんもしてないけど、レベルが上がった。業が■■■増えた。
PT寄生では?
更に20分程行くと町が見えた。
普通に行くと1時間ぐらい掛かるから結果早く着いた。
『んじゃーあたしはここでお別れだねー』
「有難うございます。助かりました。良かったらこれ、差し上げます」
傷薬を1個差し出した。
『いや、私回復魔法も使えるから君達が持ってなよ。それにお礼は良いって、また遊びにおいでー』
「わかりました、また遊びに行きます。森でティーさーんって叫べば良いです?」
『んー、君たち面白いから…じゃあコレ渡しておくね。』
カードのような物を貰った。
『私の連絡先、唱えると私と会話できるんだよね』
「有難うございます!本当に助かりました。」
『んじゃ、またね~』
エンはずっと黙ってる。
ティーさんと別れて、商店街についた。
エン「めっちゃ可愛かった、なんも喋れん」
ゴザルはどうした。というかお前の好み小さい子とか好きなんか。
卵と塩だったっけ?買うの。
※世界設定メモ
金貨・銀貨・銅貨の他に宝石も通貨として成立します。
銅貨10枚 = 銀貨1枚
銀貨100枚= 金貨1枚
金貨1000枚= 宝石1個相当
宝石は種類や品質によって価値が変動します。
魔界では別の貨幣です。
カードのような物
名刺みたいな形で通信機能を兼ね備えています。




