第十話 その時父は
普段はアレでも、
真面目な時は真面目なんですよ。
スイカを食い終わり、ドタドタと家を出た父だった。
しかし、それが最後に見た姿だった……。
……とはならない。
ここからは父、アイゼンバーグの物語である。
王都へ赴き、隊長部屋で装備を整える。フルプレートアーマーを着て、壁に掛けてある国宝の一つ、ブリューナクを手にする。エピック級の武具だけあり、その性能は折り紙付きだ。
部屋を出て直ぐに隊部屋に行くと部隊員が敬礼した。
「状況を報告せよ」
いつもの感じとは違う凛とした態度で話している。
『ハッ!状況を報告致します。翼を持つ竜種と思われる個体が暴走、それに釣られて現れた魔物が多数』
「それは来る前に聞いた。数は?」
『ドラゴン1体に魔物おおよそ50と推定』
「魔物の種族はどんな奴が居る?」
『はい、単眼巨人が3、牛と馬の鬼が2、他オーク種が2部隊、死霊と思われる部隊が1です』
「これは思ってたより事態は深刻だな。単眼巨人が恐らくリーダーだな。」
「こちらの戦力は、俺の部隊10名と砦の兵5名…大分厳しいから応援を呼ぶ。」
「では、今より東の砦を死守、殲滅はしなくて良い。被害を出さない事だけ考えろ。コードネーム:ディフェンドオブイーストだ」
各員、ポータルに行き転送を使え。俺は応援を連絡してから向かう。
『ハッ! ではポータル転送後、東の砦門前で隊列を組み待機します。』
アイゼンバーグは懐からカードを取り出し、
黒ママことエスメラルダに連絡する。
「状況はかなり不味い、ドラゴン1に単眼巨人3と
恐らく、牛頭、馬頭に豚の脳筋軍団だ。おまけに死霊も居る。
力を貸して欲しい、オークの方頼めるか?」
『フフッ、脳筋軍団ですか・・・良いですよ。
洗濯物取り込んだら向かいますね。暫しお待ち下さいませ』
「すまん、頼りにしている」
『夫婦ですもの、当たり前ですわ』
通信を切りポータルに向かった。
ボタンを押すと記録してある場所まで移動出来る建物だ。
東の砦に着くと隊員が整列している。
「弓兵・魔法兵は砦の上より射撃せよ」
「槍隊ファランクスの陣形を取れ!ここを一歩も通すなよ!」
「まず、鬱陶しい死霊を片付ける。天より穿て雷鎚の雷鳴よ、ブリューナク!」
天に投げつけた武器が無数の雷になって死霊の群れに降り注ぐ。
ブリューナクの武器固有技である。
この種の武器固有技は強力故に1日3発しか打てない制約があり、しかも結構精神力削られる。
死霊の群れをほとんど一掃出来た。
ドラゴンを見ると砦やオークの群れに氷結や火炎のブレスを乱射している。どこか様子がおかしい。
単眼巨人の1体がこちらに突っ込んできた。
「前衛盾構え!後衛槍構え!」
大きな棍棒が振り下ろされる。
二人がかりでシールドで防御した。
その隙に後衛が槍で反撃する。
二段構えの陣形だ。
「おい、巨人!お前らの目的は何だ?」
〘お前に教える義理は無い。〙
「そりゃそーだ。」
先ほど放った槍が手元に戻ってきた。
「じゃあこれでも食らってくれ。スクリュードライバッ!」
槍を回転させ単眼巨人の目を狙い投げつけた。
グァアア、目に命中し血を流しながら悶え苦しんでいる。
苦し紛れに棍棒を振り下ろし抵抗するが、盾兵で防御して被害はまだ出てない。
「足元がお留守になってんぜ!」
投げた槍がまた手元に戻ってきたと同時に、アキレス腱を狙い薙ぎ払う。
ズーンと大きな音を立てて倒れた。
後2体の単眼巨人は、一体はドラゴンを叩き落とそうとしている。もう一体はこっちに向かってきている
「エスメラルダはまだか…」
牛頭と馬頭ももうすぐそこまで来てる。
「おい、牛に馬!お前らどっちが強いんだ?」
牛《そりゃ俺の方が強いに決まっている!99戦98引き分け1勝しているからな》
馬〘なぁ~に~、アレはどう見ても引き分けだろうが、俺が1勝してるから俺の方が強えよ!〙
同じぐらいの強さらしい。
「ところで、なんでこんな辺鄙な所に来やがったんだ?」
牛《そりゃおめー、徒党を組んでドラゴン利用しながら襲った方が効率良いだろうがよー》
馬〘ばか、おまえ鹿頭かよ!相手に情報渡すんじゃねーよ!〙
「なるほど、ドラゴンは敵意無しか判った」
馬にそう言われると世も末って感じする。
「どっちから来るか?牛か?馬か?」
牛・馬《二人同時に決まってんだろうがよぉ!》
「は?タイマンも貼れねぇ根性無しかよお前ら」
〘ならジャンケンで決めるぞ牛の〙
《おうよ、馬の!せーの、ジャンケン ポン》
よし、いい感じに時間は稼げてるな。
単眼巨人がファランクス隊の方に行った。
「すまん、お前ら耐えてくれ!」
隊〚押忍!〛
豚の集団もこっちに向かって来てる、取りこぼした死霊も。
『お待たせしましたわ。急いで飛んで来ました。』
上空を見上げると黒いドレスを纏った淑女のエスメラルダが来た。
黒いドレスが風になびき、相変わらず戦場とは思えない優雅さだった。
「ちょっと余裕が無いから豚の方とか頼む!」
『承りましたわ。それでは挨拶がてらに』
【ハストゥール、ドゥシュタデーヴァ — ピータヴァストラダーリー
ドゥシュタカーママーヤー ヴァパナー SAN of Wound!】
高位精神系範囲魔法をオークの群れに放った。
半数以上に罹り正気を失って相打ちしている。
『こういう脳筋種は精神系に弱いってのが相場ですの』
《待たせたな、俺から相手だ》
牛頭鬼が巨大な戦斧掲げ相対した。
「ジャンケンではお前の方が強いみたいだな、では行くぞッ!」
突貫して腕を狙う。斧で弾かれた。
「チッ!デカい武器持ちはやりずらいぜ、槍だけに」
《良い槍使ってるな!立派なのは態度と槍だけか?》
と言うと、薙ぎ払う様に戦斧を振ったと思うと真空刃がアイゼンバーグを襲う。
前転回避すると真空刃は後ろに倒れていた巨人に当たってた。
「中々手強い技使うな、他にもあるんだろ?」
《どうだろうな?じゃあ、今度はこっちから行くぜ!》
頭上高くジャンプすると頭目掛けて真っ直線に振り下ろしてきた。
半身避けて脇腹を狙う。
「ボディがお留守だぜッ!」
見事に脇腹を貫いたと思ったが、浅かった。
流石脳筋種タフである。
一方、ファランクス隊は倒れた単眼巨人を片付けたと思った矢先
もう一体の単眼巨人が【ぶちかまし】を使ってきた為、盾隊がふっ飛ばされて陣形が崩れていた。
ドラゴンは単眼巨人から逃れて辺りを見渡している。単眼巨人に精神攻撃を受けてたようだ。
※世界設定メモ
ポータルは登録してある場所に一瞬で行ける魔法陣のような物で
ちなみにお金取られます。移動距離で金額変わります。
一人で転送するよりパーティーで転送した方がお得です。
今回は700銀貨でした。




