合法ロリの困った姉貴 異世界転移なのです!!中編2
腰紐に括り付けてある鞘から、ショートソードを抜き、 軽く2、3回振ってみる。刀身が1mを少し超える剣は、 思ったよりも重く感じられた。
血糊が残る剣は、低温で精錬されてるのか、錬鉄のまま ハンマーにより鍛錬され形成されている。よく見てみると、粗悪な剣は既に所々に刃こぼれが有り、斬撃するには心許ない状態になっていた。
辺りを見廻すと、近くに槍が落ちているのを見つけたので拾いに行く。近くに槍の持ち主が、泥水の中に顔を埋め コト切れていた。
身体を泥水の中から出し、仰向けに寝かせてやる。泥に汚れた顔はまだ幼く、痩せ細った身体の胸部は大きく切り裂かれていた。
農民の子供だ。こんな年端も行かない子供の死体迄もが、あちこちに散らばってるのが見える。俺は、その冷たくなった顔に手をやり、開いたままだった目蓋を閉ざしてやった。
感傷に耽るのを止め、落ちていた槍を拾い上げる。歪な作りのソレを掌を使い、その重心を測ってみた。まぁ、何とか使えそうだ。
柄の部分に巻いてある皮性の巻口の位置を確認し、作り直してから綺麗なままの穂先を眺め考える。
仇を取るなんて偉そうな事は言えないが、やるだけはやってやる。そう、心に誓い戦いの気配があった方向へと歩き出した。
森の中の落ち葉が積もる腐葉土の上を、音も無く進む。 木立の上からは、葉に溜って集められた大きな水滴が落ちてきて、身体を濡らしていく。
接敵は突然だった。
オーク!!!
2mを軽く超えた、大型2足歩行の豚が立っている。
距離にして10mあるかないか。俺が認識したのと同時に、オークも既に戦闘態勢に入っていた。
オークは、ファルシオンを大型化した様な、巨大な肉切り包丁を構え突っ込んでくる。
「 チッ! 」
軽く舌打ちを入れ、槍の投擲体勢に入る。
これは賭けだ。この化け物に槍を投げると云う戦術知識があれば躱され負けるだろう。
革が巻いてあるグリップを握り、中指を巻口に掛ける。
近付いてくる、オークとの距離を測り助走に移った。
「シィッ!!!」
小さな掛け声と共に投擲された槍は、右回転で回りながら、真っ直ぐにオークの胸元に吸い込まれる。
助走から途切れる事なく走りだし、腰の鞘からショートソードを抜き放つた。
中段から、刃を寝かせ横構えで振り被り、相手の間合い 直前でサイドステップ。
胸に槍が突き刺さったままのオークは、無理な体勢からの斬撃を豪快に空振り、胴が無防備に晒される。
その腹を目掛け、横構えからショートソードを振り抜く。
「斬れた???」
斬った手応えが全然ない!!
俺は、急いでオークに向きを変え、構えを取った。
オークは苦悶の表情を浮かべ、肉切り包丁を取り落とし、腹を押さえている。
その手の間からは、腹腔圧によって中身が溢れ出していた。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
緊張から解放された疲労感のせいか息が切れる。
俺は両膝を地面に付き、屈み込んでいるオークに近付いた。化け物は口から血を流し何事か呻いている。
止めを刺そうと剣を振り上げたが、途中で考え直し止める事にする。
槍の持ち主である、幼い少年の死に顔が目に浮かんだからだ。
「苦しんで死ねばいい」
そう言い残し、疲れた身体を引きずる様にして、その場を離れた。
「…………………………」
2、3歩進み掛けた時、何故か玲奈の悲しんでる顔が思い 浮かび立ち止まる。
…………だよな。こいつ等だって好きで戦ってる訳じゃあ無いんだ。
俺は振り返り、オークの首筋目掛けて剣を一閃させた。
*
「他愛もないな。これなら俺が来る必要もなかった」
農民達は蹴散らされ、既に敗残兵を狩る戦になっていた。 結局、後方待機のままで終わりそうだ。
馬の鞍に、その重みを預けてある刃渡り2m近いロングソードの鏡面仕立ての刃に、不機嫌そうな俺の顔が映っている。
愚かだな。農民も使役されてる化物も。そして俺達の存在も愚物を通り越し災厄になっているのが嗤える。
馬上からは、俺達を恨みながら死んだであろう、死体が 数多く見える。
首に掛けてあるカメオのペンダントに手を掛ける。姉から贈られた御守りを握り締めると心が落ち着いてきた。
帰ろう。
手綱を操作し帰途に着こうとした時、ソイツは森の中から現れた。
続く




