合法ロリの困った姉貴 異世界転移なのです!!中編
動かなくなったドワーフを残し、俺は屋根の焼け落ちたレンガ壁に持たれ掛かり、力無く座り込んだ。
何故、戦うのか? ………守る為に…………何から?
…………………俺の住んでる村は誰もが飢えていたのだ!2年前からの干害と冷夏で作物が碌に収穫できず、頼みの 家畜は数頭を残し病気で死んでしまった。食べれる物が無くなったのだ。
生きていくだけで精一杯なのに、税は重く取り立ては厳しい。
糞!!最初の1年で村人の半分は飢え死に、去年は残ってた人数の半分も死んだ。
立場が弱い老人に子供、それと女が次々と死んでいき、村が荒んで行く。決定的だったのが、領主が人外の化物を使役し領民を弾圧し始めた事だ。
「……………玲奈」
家に残して来た最愛の存在。
人見知りな癖に寂しがり屋で、構ってやらないと直ぐに 怒りだす。
歌うのが好きで、仕事をしながらでも、よく口ずさんでいた。
まだ子供なのに、寂しから早く新しい家族が欲しいと駄々をこねらせ喧嘩になった。
……………守らなければ、玲奈が死ぬ!
身体に力が戻ってきた。
来年までに飢えて死ぬのならば、今、戦え!!
倒せ!!こんな使役されてる人外を幾ら殺しても解決されない!
俺は立ち上がり、本当の敵を探し求めて歩きだした。
*
「大丈夫ですか?」
「???」
「寝汗が酷いです。こんなに辛そうな顔をして………」
小さな手に持った、濡れたハンカチで額を拭ってくれる。
「戦いに行くのが嫌ならば、無理をしないで下さい。貴方は昔から優しい性格だったのだから、人との争い事には向いてはいないのです」
そうか、思い出した。今日、俺は戦場に行かなければならない。
「ゴメン。大丈夫だよ。ちょっと気負ってしまっただけだから」
そう、言い訳したが、優しげな表情の女の子は、心配そうな瞳で見つめてくる。
豪華なベッドの上で、上半身を起こしている俺の手を優しく握ってくれてる姉は、この世界で1番大切な存在だ。いや、姉しかいないのだ、俺が生きていく存在理由が。
この、腐った特権階級が属する上流社会。金と権力の為なら、平気で人を騙し簡単に殺す。
まるで蠱毒の壺だ!家族の間でさえ共食いし合っている。
そんな絶望しかない世界で、唯一の例外が目の前に居る、小柄で可愛い女の子。
俺は、小さな頃から実の姉を愛していた。
その愛する人を、よりによって蛇の様な性格の父親は政略結婚させようとしている。
そんな事は、絶対に許せれないし、阻止しなければならない。そうだ、思い出した。俺は農民達の反乱を討伐し帰ってきたら、父親を殺し家の実権を握ろうとしていたのだ。
多くの人を殺し、自分の妻さえ殺した男、なんの呵責も 感じない。
まず、社会の底辺に蠢くゴミを掃除しなければならない。力が無ければ黙って従って要ればいいものを、反乱など起こしても無駄死にするだけだ!
こんな、不完全な世界で、安定だの平和だの求めてどうする!
完全に安定した物質で構成されてるのならば、そもそも 宇宙など存在してないし、当たり前だが人間も居ないのだ。
馬鹿な農民達は、それすら理解する事が出来ないのだろう。
人は愛し合い、憎しみ合い、子供を産み、そして死ぬ。
全てが、生きてる限り苦しみなんだよ!それは、どんな 階級に属してても一緒だ!!
「大丈夫ですか?真っ青な顔になってます。やっぱり、 行っては駄目です。此処にいて下さい。心配しなくても良いですよ、お姉ちゃんが守って上げます」
訂正しよう。仮に完全な存在が有るとするなら、それは 母性愛だろう。
続く




