表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
合法ロリの困った姉キ  作者: ひろ.U
18/24

合法ロリの困った姉貴 異世界転移なのです!!前編


 夜更けの静かな部屋には、キーボードを叩くタイピングの音が小さく響いている。


 提出期限を間近に控えた俺は、レポートを貫徹でまとめようとしてるのだが、既に挫け掛かっていた。


 姉貴とレイナちゃんは、今晩は早々に床に付ついているので、今頃は夢の中だろう。


 う〜〜ん、物音のしない静かな部屋でパソコンの稼動音だけを聴いていると、不思議とその音に催眠効果があるのか、段々と目蓋が重くなってくる。


 ……………無理です、諦めました。 不可抗力の力に逆らうのは摂理に反します。


 パソコンの稼動音には、睡眠導入の効果がある事を確認し、眠るべくベッドに潜り込んだ。





 アレッ!? 顔に雨が当たっている。


 なんで、パジャマのまま屋外にいるんだ?


 霞んだモヤが晴れて行く様に、意識が覚醒していく。


 「………………………………………エッ!!!」


 目の前には、信じられない光景が広がっていた。


 森に囲まれた、僅かな平地には火事で屋根が焼け落ちたのか、レンガ壁だけが取り残されてる家屋がポツンとあり、その周囲には夥しい数の死体が草むらにばら撒かれていた。


 雨が降ってる地面の所々にある水溜りは、血で真っ赤に染まり、あちらこちらから呻き声と泣き叫ぶ声が聴こえてくる。


 恐怖に胸が締め上げられる。此処はドコだ?………俺って誰なんだ?


 混乱している俺の目の前で、腹に剣が突き刺さったままの化物が倒れ蠢いている。逃げ出そうとしているのか、血を流し続けているソレは、必死に泥の中を這いずり、目で追っている僅かな間に動かなくなった。


 現実? 違う!!!夢だ!!


 そう信じたかったが、五感から流れ込んでくる情報は余りにも生々しく、吐き気を抑え切れない程にリアルだ。


粗末な服に身を包み、ひと目で粗悪品だろうと解る武器を持った人間と、武装したオーガにオーク、ゴブリン、ドワーフなどの化け物全てが、死んだ者は静かに血を流し倒れ、大怪我を負ってる者は、のたうち回りながら叫び声を上げ血を流している。


 「ハァ、ハァ、ハァ、 冗談だろう?」


呼吸が速くなり、血の気が下がって貧血で倒れそうだ。


 一陣の血なまぐさい風が頬を撫でた時、ソイツは俺の目の前で立ち上がった。


 ドワーフ?


 怪我を負っているのか、よろめきながら巨大な斧を構え 殺意を纏った目で睨んでくる。


 ソイツの片手の指は殆んど欠損しており、そこから流れ出した血が脚元の水に溶け、赤い水溜りを作っていた。


 俺を殺したいのか? 訳が分からない。…………ただ、このまま立ってるだけじゃあ、確実に不味い事になる。


 帰らないと……………………。


 ん?今、何が思い浮かんだんだ?帰るって何処へ…。


 血を流してるドワーフが、脚を引きずらせ近付いてくる。


 生きて帰るんだ!!殺せ!邪魔する者は排除するんだ!


 「………………殺せって?………ど、どうしよう」


 俺は、訳の分からない焦燥感に駆られ、地面に落ち泥に 汚れている、粗悪な鋳鉄製のショートソードを拾いあげた。


 利き手で剣の柄を持ち、逆手で鍔を押さえ腰溜めに構える。


 剣なんか握ったコトは無いので、全くの出鱈目だ。


 直感で斬撃よりも刺突の方が生き残れる可能性が高いと 感じられたからだ。


 表情までハッキリ判る距離まで近付いたドワーフは、長い髭を泥で汚し、太い眉毛の下にある瞳には、何故か憎しみの中に哀しさを湛ている様な気がする。


 雨に濡れた髪の毛から、水が滴り目の中に入る。全身の 力を抜き、相手との間合いだけに集中し息を整え待つ。


 ドワーフが、一刀足の間合いに入った。


 剣先を相手に向け、飛び込む様に間合いを詰める。地面の水が脚元で跳ね上がった。


 太い腕に掴まれた斧が、上段から振り下ろされたのが、 刹那の瞬間に感じられる。


 先に突き刺さった剣により、相手の斧は軌道をずらされ、身体ギリギリを掠め、地面を穿つ。


 ドワーフの懐に入ってる俺の剣は、刀身の3分の2程が 相手に埋め込まれ、溝落ちから背中に向け突き抜けていた。


 最後の足掻きなのか、斧を離した手で首を締めてくる。


 俺は剣を突き入れた、そのままの姿勢で、柄を中心に鍔を90度捻った。


 身体の中を掻き回され、力が抜けたドワーフの瞳には、もう憎しみは感じられず哀しみがあるだけだった。


 寄り掛かる様に身体を預けて来るドワーフと間近で見つめ合う。雑念が消えた目は、幼子に戻ったように無垢で力無く涙を流している。


 この、何かを諦めなければならない目を見て理解する。


 コイツにも帰りたい場所が有り、待っててくれる者が居るのだ。


 もう、2度と会えない。それが悲しく泣いているのだろう。



 力なく崩れ落ちたドワーフは、静かに息を引き取った。


 仕方がない!仕方がないんだよ!!!


 俺にも、待っててくれる人が居るんだ!!


 「レイナちゃん………………?」


そうだ!思い出した!!俺は村人で、小さな寒村の外れに僅かな畑と、慎ましやかな家を持っている。ソコで帰りを待つててくれている女の子の名は玲奈だ!!


 …………何故、忘れていたのだろう?


 自分の装備を確認する。麻布の粗末な服装と使い潰される寸前の皮靴。革製の防具と粗末なショートソード。後、玲奈から戦場に向う時に贈られたカメオブローチは大切なのでポケットに入れられている。


 森の向こうから、剣戟の音と鬨の声が微かに聴こえてくる。戦場が移動しているのだ。


 早く戦場に戻らないと…………。ん? 何故、戦わなければならない?



   そうだ!!玲奈を守る為に、戦場に来たんだ!!



            つづく


 


 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ