第2章 第3話
ログイン前に小夜香に連絡し、ゲーム内で会話する。
『という訳で、真面目にゲームに取り組んでみるのが、
現状では一番の選択肢になりそうだ。』
「そうなのね。良いんじゃないかしら。
保険もあるし、しばらく働かなくったって生活できるわよ。」
『反対しないの?』
「しないわよ。一時期のあなたから比べれば、今のあなたはずっとマシ。
ゲームでもなんでも、目的を持って打ち込むものがあれば、
その方がずっと生き生きしてると思うわ。
天才肌の技術者が本気でゲームをやれば、
プロとして生きていくこともできるかもよ?」
『さすがにそれは話が飛躍しすぎだよ…
でも、そうか。目的を持って打ち込むものか。』
「せっかく私も同じゲームを始めたんだもの。
どうせなら一緒に楽しめる方が嬉しいわ。
このゲーム、先に進めると結婚もできるようになるんでしょ?
いっそ先にゲームの中で結婚式でもあげちゃいましょうよ。」
『はは、いいね。少しやる気になってきた。小夜香に乗せられてみるか!』
「この世界ではSeregranceよ。
小夜曲のserenadeと、香りのfragranceから取ってるの。
じゃぁ、私は先にログアウトしてご飯作って待ってるわね。
時間があるから、ゲームを進めるための情報も調べておくわ。」
『ありがとう。俺も調べてみるよ。
あと2時間くらいで帰るから、続きは家で話そう。』
3時間後。
『先生。小夜香も協力してくれるそうです。
真面目にゲームに取り組んで、先に進めてみます。』
「そうですか。彼女さんの協力が得られるなら心強いですね。
私にも出来る範囲の協力は惜しみませんから、
必要な事があれば言ってきて下さいね。」
『ありがとうございます。』
「ささ、それじゃ急いで帰りましょう。
1時間のカウントダウンが始まってますよ。」
家に辿り着くと、ちょうど用意が出来たばかりの夕飯と、明るい笑顔が出迎えてくれた。
『ただいま。えらくご機嫌だね。』
「ふふ、あなたの顔も少し明るくなってるわよ。
さ、急いでご飯食べちゃいましょ。」
食事をとりながら、今後について相談する。
『ゲームを進めるにあたって、
まずしっかりと攻略サイトで調べておきたいね。
真面目に進めると言っても、別に自分達だけで手探りしながら
じっくり楽しむような回り道はしたくない。』
そう、目的はあくまで日常を取り戻すこと。
別にゲームを隅々まで楽しみたいという訳では無いのだ。
隠し要素を自力で見つけるような喜びなどは無くていい。
「そうね。まずはしっかり予習しないとね。
攻略サイトを見て回って調べるのは、私に任せてもらっていいわ。
あなたは、ゲームの中で調べられる事を中心にして分担しましょう。」
『ありがとう。助かるよ。』




