5節 真実は消滅という残酷な闇に早く隠したいから
セロリアさんは鎌を持ったまま震えながら地面に突き刺して立ち尽くしていた。
「クローバーさん、真実を話してください」
「でも……」
「話してやれ。そして信じさせるんだ、すべてを」
ボスはそう伝える。
「ったく、お前ら全員ふざけんなーってんだよ?コラー!!邪魔だ、この複数ロボット、そしてお前ら」
「はぁー、めんどくさいのが付いてきちゃってたわ」
メアちゃんが扉の方から来た者を見て、気を落としながら話す。そこにいたのは包帯に巻かれつつも何とか歩いているジョルダーさんらしき人物とそれを押さえようと彼の着ているぶかぶかのジャケットに袖を掴んで阻止している先ほどアジトにいたあの姉と弟だった。彼は両手両足を使ってそれを弾き飛ばしていく。
「なぜ俺を……」
「ボス、副隊長、ご無事だったんですね?」と弟の方は言う。
「あっ、兄さん、それ返してもらった……うっ……」
私の持っている例の本を見てそう言うが、片手で口を押え始めた。
「兄さん、ごめんよ。彼女やこの人にここを教えてしまって。それにお姉ちゃん、守れなかった。あいつらにやられちゃった。吐こうとしているのが何よりも証拠だよ。だからここにうちらいてもいいか?」
「いいと思うよ?」
「いや、ダメだ。おい、お前。服を脱いで全裸になれ。そして大の字でそこに寝ろ。ボスである俺が見てやる。場所、移してほしいか?……やはりな。顔が真っ赤で煙まで出てきそうだ。今回のことはなかったことにしておいてやろう。だがな、嘘はあまり付いてはならん。そしてガキは話を聞いたら家に帰れ。ついでにそこにいるミイラやろうとプンプンしている女二人と一緒にな」とボス。
ボスの言葉に顔を真っ赤にしている女の子と横で下を向いて黙り込む男の子。それとは裏腹に話し出すメアちゃんとセロリアさん。
「なぜです?私たちが女だから?それとも完治し切れてないほどの弱いから?」とセロリアさん。
「いや、違いますわ、お姉さま。私たちのこと信用してないのですわ」とメアちゃん。
「信用?そんなもん、お前らを雇ってから何一つ疑っちゃいねえよ。いや、むしろお前らだからこそ頼んでいる。まぁ、そこにいるミイラは完治に時間がかかるだろうがな。メア、セロリア。これは命令だ。俺らがアジトに帰るまでこいつらとジョルダーを含めて守り抜け。もう一度言う。任務ではなく、命令だ」
「はっ!!」とメアちゃんたち姉妹は声を揃えて伝える。
「さて、真実を伝えてみようか、クローバー。君の見た輪廻の時の流れを」
ボスは彼女を見る。彼女は頷いた。
「どこから話していこうかしら。クロロクロロ。じゃあ、まずは神々と戦ったじゃない。まぁ、神々言っても自称だからね」
「えっ、自称だったのですか?」と私は聞く。
「えぇ、まぁ、あんなに強いんだから神も何もないけどね、うちのボスを倒しちゃうレベルなんだから。まぁ、うちらも神としてそこは口合せておきましょう。私の結果としては一つになってしまうけども、二つの結果を見ることができた。一つは私を含めて神々に全滅させられること。もう一つは神々に勝ってしまうこと」
「勝つとどうなるんですか?」
私の言葉に唾を飲んで答える。
「ごめんね、知らないの。だって私の記憶はそこで何回も繰り返されちゃうのだから」
「それってつまり……」とメアちゃん。
「そう、どちらに結果が転んでも私は死ぬってことよ」
「なんだよ、それ!!副隊長は何も悪いことしてないのに苦しみに何度も耐えろってことかよ!!」と姉の横にいる男の子。
彼女はそんな彼の唇に人差し指を当てて言う。
「私はみんなが助かることとこの繰り返しが終われれば何でもいいの」
「クローバーさん、今の段階だとっち何ですか?」
私がそう聞くと、剣を指差して答えた。
「今のところ半々よ。でも勝ち目の方に傾いているかしら。何よりもその剣が証拠よ。ただしその真珠が黒くなったら形勢弱点かつ私たちを殺すことになるから気を付けて。だってあなたが使用した技”ナチュラルディサスター”だっけ?あれは日本語で天変地異っていう意味よ。おぞましいことが分かるわよね?そしてあなたはもう一つである黒いマントを手に入れるわ。神との対決の中でね。そして私は一つの仮説を立てているの。あなたが持っているその本がこの世界を創り出した者であり、神たちや私たちが敵対している敵のボスっということをね。なぜなら彼らが口にしなかった神々の二つの神、創造主の神ゼウスとその嫉妬心強い神ヘラが残ってるのだから。でもあくまで予想にしかならないわね。そこで私は事前にすべてを話したボロボロになったボスをここに残してあなたのことを待っていたのよ。あなたの剣を出すためにね。そして今に至るってところかしら?何か質問はある?」
「なぜ自分狙われたんですか?」と私は聞いてみる。
「そうね、そこにいる人たちは勘違いして来たみたいだけど、その剣の強化を試すためかしら?真実は消滅という残酷な闇に早く隠したいからかもね。つまり早く終われってことね」
「へぇ」と私は気の抜けた声をあげる。
「それが十一月二十三日の今日の出来事っていうのかしら?」とメアちゃん。
「あっ、ごめん。君たちの見た時計、日数早くなってるから」
「え?」
「テレビとか見れば分かったのに何で来ちゃったのかしら。あらあら、もしかして海塚君のことが……」
「うーみーづーかーくーん?俺とこの建物の裏で楽しいことしようか?ねっ?」とジョルダーさん。
「ちょっとクローバーさん!!」
「冗談だよ?クロロクロロ」と私たちのことを見て面白がっているクローバーさん。
私はジョルダーさんに何もされることはなかった。そして私とボス、そしてクローバーさんを残して他のメンバーたちは速やかに帰ってしまった。隊長の威圧のせいだろう。
残った私たちはさらに修行に取り組むのだった。




