3節 謎の声
私は目が覚めると冷えた床に眠らされたままであった。遠い天井がなんとももどかしい。
「クロロクロロ。起きたね。じゃあ、始めようか」
「ん?何か降ってきたんですけど」
「海塚君、敵は待ってくれないよ。ちゃんと周りを見て」
ボスの言った言葉を周りを見て納得した。胴体や顔は人のようなのに手や足が細い紐と大きな刀で成り立たせる二足歩行のロボットが無数にいる。
「囲まれているじゃないっすか?」
「口よりも手を動かせ、海塚君」
ボスはそう言うなり、私に迫ってきたロボットの刃にまた足で食い止めた。そしてそのロボットはほかのロボットとぶつかりながら遠い壁に向けて飛んで行った。
「けっ。そんな魂を器に埋め込ませた奴らになんて負けねえんだよ」
クローバーさんは一人で傘を振り回しながら対応しているようだ。
ワンワン。ガウウガウウ。
犬の叫び声がすると思ってみたら大型犬がたくさんいた。もちろん、それもロボットだった。体や顔に毛皮がないのが何よりの証拠だろう。
その犬はボスに飛び交っていく。
「無攻」
私はそう叫んだ。周りのロボットは静まり返らなかった。
「させねえよ」
ボスは逆さになって片手に手を付くなり、そのまま回転をして何とか犬のロボットを蹴散らした。
そんな彼を見ていると、何かの気配を感じた。後ろを見ると大きな刃を持っているロボットが現れた。
なるほど、俺は死ぬのかな?
そう思った時だった。
私を含めて全て止まった。眼鏡野郎かと思ったが、あいつは確かにこの手で殺ったはずである。
それに先ほどから「無権」など効果を無効にさせる筆術を使用しているが、変わらなかった。
”お前、剣を使って戦ってみたくないか?”
その声に聞き覚えがあった。この本と出合った時に行かされた鬼などがいるあの建物に行く際に渡る道で空き缶を落とした時に聞いたあの声だ。つまりこの本の声なのか?
「つ……使えば助かるか?」
どうやら口だけは動けるようだ。
”お前次第だ。使いたいなら俺に触れながら叫べ。ナチュラルディサスター、とな”
体が動けるようになった。すぐさまに言われた通りに触って叫ぶ。
「ナチュラルディサスター!!」
私に迫ってくるロボットの剣に交えるかのように私の手を触れることなく、剣が地面平行に並び浮きながらそのロボットを弾き飛ばした。他のロボットたちに当たる。そして銀色の剣の持ち手の下に白い真珠があるのが特徴のその剣はそのまま地面を目指して落ちた。私はその剣を持ち叫ぶ。
「よっしゃー、このまま全滅……ってあれ?」
ロボットが全て動かなくなっている。
「その必要はなくなったよ」
「まさか本当だったのね、最低ね、海塚君」
後ろから二人の冷え切った言葉が聞こえる。私は後ろを振り返った。彼らは私に向けて戦闘態勢になっていた。
「やれやれ、最低はどちらかしら?ボス、副隊長」
ドアのところに二人の女の子が立っていた。彼女たちを見て安堵した。




