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世界はこの一冊の本によって変えられた  作者: 未知風
5章 本とのマニーロワイヤル 中編
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7節 フロップホールインワン

しばらくして最後の一人が私たちのテーブルの席に着く。

メアちゃんだった。


「よう、メア。お前もここに来てたのか」

「ジョルダーさんか」


席に着くなり、そう話し始める二人。その間に私はいる。


「メアちゃん、ジョルダーさんって何者?」


小声で彼女に聞く。


「Jに愛されたいおっさん。うちらのメンバーの一人よ。私よりも上の立場の人だから変な事言ったら首……」

「おい、小僧。メアに小声でナンパとはいい度胸だ。その首もらうぞ?」


後ろから力強く首元を掴まれる。もちろんその手はジョルダーさんだ。


「ジョルダーさん、やめて。この人があなたに連絡した例の人だから。姉さんとあなたは私に味方してくれるんでしょ?」

「あぁ、ちょうどこいつを殺すためにな」

「ジョルダーさん、その手を離さないと嫌いになりますからね?」

「分かった分かった。冗談だ。だが、俺たち以外の仲間は狙ってくる奴がいるかもだ。気を付けろよ、小僧」と言って手を離してくれた。

「ジョルダーさん、お姉ちゃん誰にやられたと思う?」

「ふん。今このゲームにそんなもの考える必要はないだろ?なぁ、勇敢なる優しき小僧よ」


右目で私に向けてウィンクをしながら彼は言う。私とメアちゃんの姉のことを察しているかのように。


「えぇ、まぁ、そうね」


メアちゃんが話し終えた直後に目の前の女性が話し始める。


「そろそろいいですか?それでは、ここでのゲーム説明をさせて頂きます。頭も体も使わなくてよろしいゲームです。使うのは……」


彼女は「目です」と言いながら自分の目を指差す。さらに彼女の口は開く。


「これからやるゲームは『フロップホールインワン』です。勘のいい方はイメージ出来たかも知れませんが、説明させて頂きます。流れるというフロウに止まるのストップ、そしてゴルフで言われるホールインワン。そう、玉が転がって止まる場所に落ちる人が分かるという純粋なゲームです」


ジョルダーさんは手を軽く上げながら発言する。


「待て。それはつまり運ゲーって奴か?それって今までやってきたことがその玉によってはパァーっとなるってことか?マジかよ」

「マジです。いいんですか?もしこれをやらなければ落ちるだけです。しかしやるなら生き残れる確率はあります」

「はん。俺がいつ辞めるって言ったかよ。やるに決まってるだろ?」

「いい度胸です。そしてこれがそのゲーム版です」


彼女が目の前にあるボタンを押したらテーブルの真ん中から聳(そび)え立つタワーが現れる。玉が通るだろう道には小さなトゲをみっしり並ばせて摩擦が起きるようになっている。そして一番下には円の中に九つの線が引いてありそこに三回ずつ我々三名の名前が書いてある。玉は上から出るらしい。


「大体の概要はこんな感じです。なにか質問ある方は?」

「玉って金の玉か?」


ジョルダーさんの質問にメアちゃんと目の前の女性はまるで芋虫が水たまりに突っ込んで行くのを見ているかのような呆れた目で彼を見ていた。


「それは見てからでいいですよね?」と目の前の女性は質問を返す。

「あ……あぁ……」とジョルダーさんは答えるのが辛そうながらもそう答えた。

「玉が止まる時ってどんな仕掛けになってますか?」


彼女はボタンを押す。


「こうなってます」


線のところから銀色の鉄が伸び上がる。もう一度彼女が押したらそれは引っ込んだ。なるほど、これなら玉の動きはその場所に留まる。


「ありがとうございます」

「他に質問は?」


女性は三人の顔を一人ずつゆっくり見ていく。質問は誰ももうないようだ。


「では、始めます」


彼女はボタンの近くにある小さな短いレバーを下に倒す。

上から玉が転がり始めた。玉の色は赤色のようだ。

目では見えるが、早い速度で下に転がっていく。そして底に着いて九つの名前を踏みながら回る。横にある壁のおかげで外には出ないらしい。

彼女はボタンを押した。

止まった玉の下の名前には『ジョルダー』と書かれていた。


「二人なら後を任せる。頼んだぞ」


彼はそう言いながら下に落ちてしまった。


「おめでとうございます。お二人は最上階に行かれます。目の前の扉を開けて階段を上がってください。そこが最上階です」


彼女にそう言われた。


「メアちゃん、行こう」

「うん」


私はメアちゃんと共にその扉を押して最上階に向かうのだった。

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