6節 吸血姫セロリア
私の前に女の子が鎌を持って黒いフード付きの服を着ている。アニメやゲームで言う魔導師……いや、あの鎌からしてそれ以上の禍々しい存在に見える。
「では、始め」
審判である女性はそう言う。
さて、どう来るか。
「お兄さん、遅いよ?」
目の前に鎌を構えて私のことをその鎌で首を引き抜こうとしている。
「あなたの血がほしいわ」
私は「無攻」と指で字を書きながら唱えて技を発動する。彼女は勢いよく下がった。
「なるほど。あんたが妖術の王妃メアの言っていた奴か。私は吸血姫セロリア。そしてあなたを倒す者よ、血止姫」
彼女は指でそれを書く。そして彼女の鎌がまた私に近寄る。私は足を動かそうとしたが、足の裏が思うように動かない。誰の血かわからないが、血がそこにあった。
「無攻」
「無駄よ。あなたの手も……」
彼女は一旦目の前で止まって言う。
「私の血で止まっているんだから」
彼女の手から血が流れていた。見るからにグロテスク。早く手当をしないと。
「なら使ったことはないが、無子雨」
私の体が楽になる。それと同時に反射神経で鎌を交わす。
「私はね、あんたらと違うの。ブラッドボーン」
私の近くに赤い玉が出来る。私はなんとなくそれを危険だと思い、その場をセロリアと間隔を開けて交わす。
私はセロリアを見る。そう言えばこの子、『血』の筆術魔法だけではなく他の魔法を使っていた。いや、吸血鬼だからそれ系か。架空の話だが、そんなことは自分が筆術を使用している時点でどうでもよくなってる。だとすればメアちゃんも筆術を使えるのだろうか。
「ふふ。面白い。私、このゲームに勝ってこの上の顔を見てみたかったけど、気が変わったわ。全力であなたを倒す。そして本を奪う。ふふ、面白い面白い」
「そうか。面白いか。一人でそんなに喜んで」
「はぁ?うっさいんすけどー、だったら当たってこいよ。首を狩りとってやるから。私の心は打ち首だーって騒いでるわ」
「無防。そして無弾血石」
彼女の近くに白い玉が出来上がる。
「はん?あれ、玉が破けると白い……無の何かが出るんでしょ?私のこのブラッドボーンで弾き合えば私のモノよ」
彼女は私の球を赤いその玉に包み込ませる。
「ひっかかったな?”けっせき”は血を石にするんだよ」
「どういう……」
「こういうことだよ、無力」
文字を指で書いてその玉を蹴っ飛ばす。力など入れてないがその玉は見事に彼女にクリンヒットする。
彼女はその玉に足元をすくわれた。彼女が話した鎌が高く彼女の真上に飛び上がる。そして彼女の首に刺さりそうになる寸前で私の両腕によって止めた。
「危ねぇな」
「私の首を狩りなさいよ。そしてメアに言って。私が姉でごめんねって」
「その言葉はお前がアイツに言ってやれ。そして俺にも会いに来い。約束だ、戦友」
私は側に彼女の鎌を置く。そして審判の方に歩いて行く。
メアの姉か。あいつは今頃何してんだろうか。
「勝者、海塚」
私は後ろを振り替えると彼女はそこにいない。血の跡のないただの床がそこに広がっていた。
次はこの部屋での最後の相手か。そして私は次の二人と入れ替わった。
誰もいない部屋の縁で静かな壁を私は見つめて黄金の自動販売機にある飲み物を飲みながら時を過ごしていた。




