表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の才能ゼロの令嬢に最強ジジイが科学を教えたら?→A.めっちゃ無双する:【才無し侯爵令嬢と魔法ジジイの科学革命】の各話一覧  作者: Koh


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
81/99

第80話 みんなに教える時間ない

 開店から、数週間。


 店は順調だった。順調すぎるくらいだった。


 平日の昼は、学園がある。


 だから店は、チーフのローザと、ローザが鍛えた売り子たちが回してくれている。ピリカは学園帰りに店に寄って、店主の顔をして、注文の書き付けに署名をして——閉店前の帳場で、ローザから一日の報告を聞く。


 ローザの報告は、売れた数だけではない。「取っ手の持ち方に迷われたお客様が、三人」「シャンプーの香りを嗅いで、棚にお戻しになった方が、お一人」。——欲しいところに、欲しい報せが届く。うちのチーフは、天才だと思う。


 土曜は、朝から晩まで、店に立つ。売るためというより、見るためだ。お客様がどこで足を止めて、どこで首をかしげるか。——それが、次の商品の種になる。


 そして、日曜は——空き地の教室。


 こちらも、順調すぎるくらいだった。



 日曜の夕方。


 生徒たちを見送ったあと、ピリカは丘の草の上に、ぱたりと倒れ込んだ。


「お、終わったぁ……」


「お疲れさま。——今日は、21人だったわね」


 隣に座ったアリサが、水筒のお茶を差し出してくれる。


「にじゅういちにん……最初、6人だったのに……。しかも帰りがけ、下級生の子たちに囲まれたの。あと5人、来週から来たいって……」


「26人。……そろそろ、限界ね」


「教えたいの。教えたいんだよ? でも、週末はもう一日ぜんぶ使ってて、一人ひとりを見てあげられなくなっちゃう……」


 店のこと。新商品のこと。ヒアリング回り。シャンプーの増産。学園の授業。そして週末の教室——。


「時間が、ないんだよねぇ……」


 ぽつりと、本音がこぼれた。


「うーーん……」


 アリサが、顎に指を当てて、考え込んだ。


「教科書を、作るとか?」


「————それ、いい!!!」


 ピリカは、がばっと起き上がった。


「私が直接教えられなくても、本があれば、みんな自分で読んで練習できる! わからないところだけ、教室で聞いてもらえばいい! お師匠様が前に言ってた、ドウジンシってやつだ!」


「どうじんし……?」


「好きな人たちが集まって、好きなことを書いて綴じた、うすーい本! ……らしいよ。よく知らないけど」


「呼び方はともかく、いいと思うわ。私も書くわよ」


「うん! それならさ——あの子も、誘おう!!」


「あの子??」


「ティナだよ! ほら、水の子! 私が最初に教えた——いつも教室で、みんなの取り次ぎをしてくれてる」


「ティナさんが……? でも、どうして?」


 アリサが、首を傾げた。教室で毎週顔を合わせてはいるけれど、あの子は誰よりも後ろで、小さくなっている子だ。書き手を探すなら、成績上位の子でもいいはずだった。


「ティナはね、苦労してるタイプだから。きっと、いい表現で伝えられると思う!」


「……あなた、それ、煽ってはいないわよね……?」


「全然! だって私は、ティナの3倍は苦労してるし!」


「ふふっ。——それも、そうか」



 翌日の、昼休み。


 ピリカは、廊下の窓際に、探していた姿を見つけた。


 大きく息を吸って——


「ねぇ! ティナ!!」


「ひゃいっ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ハーメルンから来ました、こっちでも応援しますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ