表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の才能ゼロの令嬢に最強ジジイが科学を教えたら?→A.めっちゃ無双する:【才無し侯爵令嬢と魔法ジジイの科学革命】の各話一覧  作者: Koh


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/99

第68話 ピリカ・ピリーラ

 翌朝。


 ピリカは、目の下にうっすらクマを作って、朝食の席に現れた。


 なのに、顔は妙に晴れやかだった。


「お師匠様! できました!」


 ばん、と。テーブルの上に、一枚の紙が置かれた。


 グリモワルドは、コーヒーをすすりながら、それを見下ろした。



「まず、名前です。——『ピリカ・ピリーラ』!」


「…………なんじゃ、その呪文みたいなのは」


「な、名前です! お店というか、商売ぜんぶの!」


「ピリカ・ピリーラ……」


 グリモワルドは、口の中で二回ほど転がした。


「……ピリーラとは、なんじゃ」


「意味は、特にないです! でも、口に出すと楽しくて、一回聞いたら忘れない感じがしませんか? ピリカ・ピリーラ」


「ふむ。……ピリカ・ピリーラ」


「ピリカ・ピリーラ」


「…………たしかに、耳に残るのう」


「でしょう!」



「で、こっちが印です」


 ピリカは、紙の真ん中を指差した。


 小さな灯火が、ひとつ。


 その灯火を、シンプルな円が囲んでいる。


 夜通し描いては丸めてを繰り返して、ようやくたどり着いた、私の印。


 グリモワルドは、しばらくそれを眺めて——言った。


「まぁ、いいんじゃないか?」


「…………」


 軽い。あまりにも軽い。


「お師匠様。本音は?」


「正直、良し悪しなんてわからん」


 即答だった。


「絵なんぞ、わしの人生で一番縁のなかった分野じゃ。良いとも悪いとも、判断のしようがないわ」


「確かに、ですよね!!!」


 ピリカは、逆にすっきりした。


 考えてみれば、この人に絵柄の善し悪しを聞くのが間違っていた。服は年中同じローブで、家具は座れて物が置ければそれでいいという人だ。


「これでいきます!」


「別にええぞ」


 グリモワルドは、コーヒーを置いた。


 それから、もう一度、紙を手に取った。


「ちなみに、この絵の意味は——」


 皺だらけの指が、灯火を、それからそれを囲む円を、順番になぞった。


「真ん中のこれは……決勝戦でお主が出した、あの灯火じゃろう。そしてこの円は——水素爆発の衝撃波かのう。何かこの絵に込めた意味でもあるんか?」


 ピリカは、目を見開いた。


 ——わかるんだ。一目で。


 デザインはわからないと言ったその口で、これが何かは、何も言っていないのに読み取ってしまう。


「ええ、その通りです!」


 ピリカは、胸を張った。


「そして、この絵柄が意味しているのは——」


 窓から差し込む朝の光の中で、ピリカは、楽しそうに語り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ