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【Aルート完結】バドミントン ~2人の神童~【Bルート連載中】  作者: ルーファス
Aルートおまけ:ヤンデレの美奈子に死ぬほど愛されて眠れない隼人編
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おまけ第4話-A:そのカップラーメンは

 ダクネス VS 美奈子、決着です。

 「0-8(泣)!!」


 ファイナルゲームは最早、美奈子による一方的な虐殺となってしまっていた。

 美奈子の神衣の力で完全に五感を奪われ、(´・ω・`)という状態になってしまっているダクネスに、美奈子が立て続けに強烈なスマッシュを浴びせ続ける展開に。

 そう、かつてのバンテリンドームナゴヤでの県予選における、隼人と彩花の決勝戦の時と同じように。


 いやいや、だから同じじゃねえだろ。


 「カップラーメンいかがっすか~!?醤油、塩、味噌、カレーが有りますよ~!?」

 「醤油ラーメンを1個!!いいや!!2個寄越せぇ!!」

 

 やがて観客席を歩き回る売り子のお姉ちゃんたちに、必死の形相でカップラーメンを買い求める観客たちが殺到する事態になってしまった。

 無理も無いだろう。このまま今日の試合で美奈子がダクネスに勝ってしまえば、スイス全土からカップラーメンが消えて無くなってしまうのだから。

 つまりはスイスでカップラーメンを食べられるのが、今日で最後になってしまうかもしれないのだ。


 「0-11(泣)!!」


 試合は美奈子が11点目を奪取した事で、1分間のインターバルに突入。 

 互いにベンチに戻って腰を下ろすダクネスと美奈子に、観客席から熱い声援が届けられる。

 このまま美奈子が試合を決めるのか。それともダクネスが意地を見せるのか。


 「国王陛下。こちらは月清食品スイス支社の新商品の、グリーンカレーラーメンで御座います。」

 「ん。大義である。」


 そんな騒ぎの中で国王陛下は、秘書の若い女性から受け取ったカップラーメンを、ズルズルと食べていたのだが。


 (それにしても国王陛下、さっきからカップラーメンばっか食べてるなぁ。)


 1分間のインターバルが終わった直後、そんな呑気な光景を隼人が高台の上で見つめていた、次の瞬間。


 「…っ!?」


 慌てて神衣を発動した隼人が高台から降りてラケットを手にし、美奈子がダクネスの足元に向けて放ったスマッシュに向かって、物凄い勢いで突撃。


 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(泣)!!」


 それを隼人が、なんかもう泣きそうな表情で、美奈子のコートに向けて返したのだった。

 まさかの予想外の展開に、観客たちは驚きを隠せない。


 「隼人君!?一体何を考えているの!?」


 先程までとは一転して怒りの表情となった美奈子が神衣を発動し、隼人を相手に壮絶なラリーを繰り広げる。

 美奈子は怒っていた。隼人に対して珍しく本気で怒っていた。

 だが美奈子が怒るのは、至極当然だと言えるだろう。

 

 「よりにもよって神聖な決闘の邪魔をするだなんて!!幾ら私でも本気で怒るわよ!?」

 

 そう、隼人は美奈子とダクネスによる神聖な決闘に対して、よりにもよって横槍を入れてしまったのだから。

 それが一体何を意味しているのか。隼人の行為がどれ程の悪質な代物なのか。

 それは美奈子にとって、隼人が自分の事を侮辱した事を意味するのだから。

 

 「分かっている!!分かっているんだ母さん(泣)!!」


 隼人とて、そんな事は分かっている。

 それを分かっていながら、隼人はダクネスを助けに割って入ったのである。

 だが隼人にはダクネスを助けなければならない、どうしても譲れない理由があったのだ。


 「だけど母さん!!今、国王陛下が食べてる、そのカップラーメンは(泣)!!」


 美奈子が上空へと打ち上げたシャトルに向かって、高々と飛翔した隼人が。

 なんかもう泣きそうな表情で、美奈子の足元に向けて黄金のスマッシュを放ちながら、美奈子に対して重大な真実を伝えたのだった。


 「父さんの職場のミズシマ商事が!!取引先との商材として取り扱ってる商品なんだああああああああああああああああああ(泣)!!」

 「え!?俺!?」


 いきなり隼人に名指しされたもんだから、思わずびっくりしてしまった玲也。

 だが美奈子は、もっとびっくりしてしまっていた。

 そりゃあそうだろう。国王陛下が食べてるカップラーメンが、愛する玲也の職場の取引先が取り扱っている商品だったなどと。

 

 「な…何ですってえっ!?そんな馬鹿なぁっ!?」

 「だってほら!!今、国王陛下が食べてるカップラーメンの容器に、月清食品スイス支社ってドイツ語で書いてあるじゃん!!あそこはミズシマ商事が取引してる会社なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ(泣)!!」


 なんかもう泣きそうな表情で、隼人は国王陛下が食べてるカップラーメンを指差したのだった。


 「え!?俺!?」


 いきなり隼人に名指しされたもんだから、思わずびっくりしてしまった国王陛下。

 それを隼人に指摘された玲也が、今になってそれを思い出したのだった。

 間違いない。確かに今、国王陛下が食べてるカップラーメンは、玲也が物流倉庫でいつも目にしている商品なのだから。


 「あ~、月清食品。確かに俺の会社の取引相手だわ。あっはっはっはっはっはwwww」


 そう、それが隼人が神聖な決闘を汚してまで、美奈子の妨害をした理由なのだ。

 つまり、この決闘で美奈子がダクネスに勝ち、スイス全土からカップラーメンを消滅させるという事は…。


 「じゃあ何…!?私、玲也さんのお仕事の邪魔をしようとしていたとでも言うの!?」


 まさかの事態に美奈子は絶望し、再び黒衣を纏ってしまう。


 「…あ…あああ…あああああああああああああああ!!」

 

 そんな事も知らずに美奈子は、スイス全土からカップラーメンを消し去ろうと目論んだ事で、結果的に愛する玲也の職場に深刻な損害を与えてしまう所だったのだ。

 もし隼人が身体を張ってまで、美奈子の事を止めてくれなければ、今頃は…。

 

 「がああああああああああああああ!!があああああああああああああああああああああ!!があああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 美奈子の黒衣の暴走が止まらない。目から大粒の涙を流しながら、美奈子の心が絶望に支配されてしまう。


 「母さんっ(泣)!!」


 だがそんな事はさせまいと、神衣を纏った隼人が美奈子をぎゅっと抱き締め、神衣の黄金の輝きで美奈子を優しく包み込んだのだった。

 美奈子の豊満な胸が隼人の胸に当たっているのだが、今の隼人にはそんな事を気にしていられる余裕など微塵も無かった。


 「自分を責めるなよ母さん!!そもそもこんな事になった原因は、母さんが毎日美味しい御飯を作ってくれているのに、カップラーメンを食べたいなどと言い出した僕にあるんだからさ(泣)!!」

 「は、隼人君…!!」

 「だから母さんは何も悪く無い!!悪いのは全部僕なんだああああああああああああああああああああああああ(泣)!!」

 

 隼人の魂の叫びと共に、神衣の黄金の輝きが力強さと神々しさを増していく。

 その神衣の聖なる力によって、美奈子の黒衣は無事に浄化されたのだった。

 隼人に優しく身体を支えられながら、玲也に対する申し訳なさで泣きじゃくる美奈子。


 本来ならばバドミントンに、引き分けは存在しない。

 どちらかが絶対に勝者となり、どちらかが絶対に敗者となるスポーツだ。

 だがそれでも、今のダクネスと美奈子の惨状はどうだ。


 「ビーフシチュー、うまー。(´・ω・`)」

 「玲也さん…御免なさい…!!」


 最早互いに戦意喪失し、とてもバドミントンどころではないという有様だ。

 カップラーメンと手料理。2人共、互いの意地と尊厳を賭けて、ここまで本当に良く戦い抜いてくれた。

 それに六花がファーストゲームでの解説で、観客たちに言っていたではないか。

 カップラーメンだけでは栄養は摂れないが、手料理と組み合わせて食べるのは決して悪い事では無いのだと。

 ならばこの両者が共存共栄し合える道だって、きっと存在するはずじゃあないか。


 もうこれ以上、この2人が苦しむ姿を見たくはない。

 決意に満ちた表情で神衣を解除し、美奈子の身体を優しく離した隼人は再び高台の上に上り、断腸の想いで右手を高々と天へと掲げ、はっきりと宣言したのだった。


 「両者、試合続行不可能につき、今回の試合はノーゲームとします(泣)!!」


 隼人の魂の叫びと共に、体育館中が物凄い騒ぎになってしまった。

 ノーゲーム。つまりは事実上の引き分けだ。

 これにより今回のスイス全土のカップラーメンの存亡を賭けた決闘は、無効になった事を意味するのだ。


 「今回の試合は結局ノーゲームとなってしまいましたが、藤崎さん。今日の試合を改めて振り返って頂けますか?」

 「そうですね。今回の試合はインスタント食品 VS 手料理という構図になりましたが、どちらにも長所と短所という物があるという事を、皆さんに分かって頂きたいですね。」

 「ほう。と、言いますと?」

 「インスタント食品は確かにジャンクフードと言われるかもしれませんが、それでも時間が無い時に短時間で作れて手軽に食べられるという長所があります。対して手料理は確かに栄養バランスに優れていますが、調理に手間暇が掛かるという問題点もあります。」

 「確かに、それはそうですね。」


 何の迷いもない力強い瞳で、六花は自らの持論を展開したのだった。


 「要は付き合い方の問題なんです。私自身は手料理派ですが、それでもインスタント食品や、スーパーの弁当や惣菜を全否定するつもりはありません。中には作者のように仕事で疲れていて、自炊する余力も時間も無いという人たちも大勢いるでしょうしね。」

 「成程…!!」

 「私もJABSの仕事で外回りをしていた時に、時間が無い時はスーパーで弁当を買って、フードコートや車内で済ませていた時もありましたから。そういう人たちも世の中にはいるんだよ、という事を皆さんに分かって頂けたら幸いです。」

 「有難うございました!!今日の試合は藤崎六花さんの解説でお送り致しました!!」


 徹頭徹尾、バドミントンの解説を一切しなかった六花なのであった…。


 かくして隼人のファインプレーにより、今回のしょ~もない決闘は無効となった。

 これによりスイス全土において、毎週日曜日が『カップラーメンの日』と定められる事も、全てのカップラーメンが消滅する事も無くなり、どうにか最悪の事態だけは避ける事が出来た。

 その日の夜に須藤家に招待されたダクネスは、美奈子からマジでビーフシチューをご馳走になった事で、翌日からのアンガーファルゲとの3連戦で圧巻の3連勝。レイズから首位の座を奪い返す事に成功する。

 こうしてスイス全土に、再び平和が訪れたのだった。


 …だが!!

 ごめんよ、こんな下らない話が、あと1話だけ続くんだ(泣)。

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