ミーシャの苦悩?
それから暫く歩くと、突然アルクが止まった。
「カイト、ミーシャ静かに…」
目を閉じて、耳を澄ましているアルクを見て、俺は周囲を確認しながら身構えた。
「………やっぱり。」
そう言って目を開けたアルクに、ミーシャが言った。
「どうしたのアルク…もしかして魔物……?」
すると、アルクは首を横に振った。
「いいや違う、向こうに川があるんだ。」
(なんだ、敵かと思って損した……)
俺は内心ホッとして、アルクに言った。
「すごいなアルク、どうして分かったんだ?」
するとアルクは少し恥ずかしそうに答えた。
「これは私のスキルだよ、まぁ使い所はあまりないけどね……」
(遠くまで聞こえるスキルなのかな…)
「いやいや、十分凄いと思うよ。それで?その川は結構遠いのか?」
(アルクのスキル…敵の情報収集とかならかなり使えそうだな…よし、暇があったら話してみよう。)
「いや、ここからはそう遠くはないよ、完全に日が沈むまでには着く距離だと思う。」
俺は隣に居るミーシャに聞いた。
「ミーシャはまだ歩けそうか?もし辛いようならこの辺で…」
そう言いかけると、ミーシャは俯きながらブツブツと言った。
「川…ようやく…これでやっと…」
「ミ、ミーシャ?大丈夫…か…」
心配になり声をかけると、ミーシャは気迫のこもった顔で言った。
「大丈夫!!私は問題ないから、早く行きましょ!!」
俺は突然の大声に驚いた。
「ど、どうしたんだミーシャ……」
すると、アルクが俺の肩に手を置いて言った。
「まぁ…ほら、色々あって、ろくに体も洗えなかったから…」
「あ…なるほど……」
俺がアルクの言葉に納得していると、少し先に居るミーシャが振り返って言った。
「ちょっと二人とも!早く行きましょ!!アルク、川はどっちにあるの!?」
「あ、あぁ…あっちだよミーシャ…」
アルクが指で方向を教えると、ミーシャは鼻歌を歌いながら歩きだした。
「…………。」
「…………。」
俺たちは、無言で顔を合わせ、クスっと笑ってからミーシャの後を追いかけたのだった。




