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それから俺は、二人の様子を見て言った。



「そう言えば二人とも、傷は大丈夫なのか?」



 すると、アルクは言った。



「えぇ、この程度の傷なら、日常茶飯事ですし…冒険者なら無傷で帰る方が不思議なくらいですよ。」



(そうなのか……)



「ミーシャさんも大丈夫なのかな?」



 そう尋ねると、ミーシャさんは少し恥ずかしそうに言った。



「は、はい…私はアルクに守って貰っていたので…その、小さな傷しか…」



(ん?この照れ方はもしや……)



 俺は、多分そう言う事だろうと思い、野暮なことは言わないでおこうと自分に誓った。



「えっと…俺はこれから、近くにある街に向かうつもりなんだけど、二人はこれからどうするんだ?」



 そう言うと、アルクが驚いた表情で言った。



「待って下さい、街に行くって……もしかしてカイトさんは、街がどこにあるのか分かるのですか!?」



「あ、あぁ……そりゃ…分かるけども…」



(だって、脳内に地図と方位磁針があるんだし……)



「そんな馬鹿なっ…!」



 アルクはそう言って、腰に付いた布袋から、小さく尖った黒色で奇麗な石を取り出した。そしてそのまま掌に乗せると、その石は淡く光りだしぐるぐると回り始めた。


(おぉ……凄い…)


 しかし、その石は回ったまま止まる事はなかった。



「あ…。私のもまだダメ見たい……」



 それを見たミーシャも、アルクと同じように試したが、結果は変わらなかった。



「それってもしかして、方向を指す石なのか?」



 俺が、見たまま思った事を尋ねると、アルクは少し困った様子で言った。



「はい…まさにその通りで…これは冒険者になると組合から配られる『方位石』なんですけど…」



 すると、ミーシャが肩を落としながら続けた。



「バーゲストウルフから逃げている間に、いつの間にか使えなくなってしまって…」



(なるほど……前世でも樹海とかで方位磁針が使えなくなるとかってテレビで見たことあったっけな…)



「あの~カイトさんは、方位石を持ってないのに、どうやって街の場所が?」



 俺は、詳しく話すのは面倒だと思ったので、自分の頭を指さして言った。



「あ…あぁ、俺はここに地図が入ってるから。」



 すると、アルクが驚きながら聞いてきた。



「えっ…?そ、それはつまり、地図と自分の居場所を記憶している……と言うことですか!?」



「凄いですね!」



 ミーシャは、すんなり信じたようだ。



(アルクは真面目そうな性格っぽいし、このまま警戒されるのもな……よし、もう一押ししとくか…)



「そうだ、えぇーっと…ちょっと待ってて。」



 俺は、その辺に落ちている枝で、ここら一体の地図と現在地を地面の土に書いて見せた。



「凄い……こんなにも細かく……」



「まぁ、これくらいは旅人としての知識だよ…ハハ…」



(すまんアルク!そしてミーシャ!)



 俺は少し後ろめたさを感じた。



 それからアルクは俺が書いた地図をまじまじと見つめ、なんとか信じてくれたみたいだった。



「さすが遠い地の旅人さんですね!」



「あ、ありがとうミーシャ…」



 ミーシャに関しては、俺を北の戦士の末裔だと思っているおかげで、もう驚く事に慣れてきたようにも見える。



「と、言う事は……今居る場所からだと、大体2日位はかかりそうですね。」



 アルクは、地図を暫く見ながら小声でそう言った後、真っすぐ俺の目を見て言った。



「あの、カイトさんの実力を見込んでお願いがあります!」



「な、なんでしょうか…?」



(思わず変な言葉使いになっちゃった…)



 俺が聞き返すと、アルクは軽く深呼吸をしてから言った。



「街に着くまで、私たちの護衛として雇われていただけませんか。」



「えっ?護衛…?」



 俺は、護衛と言う聞き慣れない言葉に思わず驚いてしまった。



(護衛って…要するに守ればいいんだよな……)



「はい…その、恥ずかしながら私とミーシャでは、この森を抜けるのは厳しいと思いまして…」



(あぁ…確かアルクの武器は壊されたって言っていたし、またあんな魔物が現れたら流石に無理と言う訳か…)


 俺は暫く考えてから言った。



「分かった、二人の護衛引き受けるよ。」



 すると、二人は安心した表情で礼を言った。



「カイトさん、ありがとうございます。」



「ありがとうございます!」



「ただし、また魔物が現れたら、二人は俺の結界から動かないでくれよ。」



 そう言うと二人は頷いて承諾してくれた。


(スキルも問題なく使えてたし、さっきみたく二人を結界に入れておけば大丈夫だろう…)



「じゃあ、早速行くとしますか。」



 笑顔でそう言うと、二人は嬉しそうに返事をしてくれた。



 こうして、俺達3人は、街に向けて森を歩き出したのだった。


 道中、俺は二人と沢山の会話を重ね、この世界の知識と俺が持っている女神の知識をすり合わせた。


 結果としては、国や街などの名前が違ったり、魔法は本や年上の人、または両親とかから習うのが主で、その概念や作り出せると言う事は知らないようだったので、俺はとりあえず黙っておくことにした。


 お金に関しては、まだ女神の知識で調べてなかったので、かなり詳しく教えてもらったところ、この世界の通貨は一律で金貨・銀貨・銅貨に分かれており、果物1個につき銅貨1~2枚程度、宿屋なら大体1泊で銀貨1枚程度と言う事と、お金はそれぞれ10枚ずつで一つ上の価値になる事も分かった。



「助かるよ二人とも、これまで人目につかないところを旅して来たから、こう言った知識があまりなくて…」



「これくらいお安い御用ですよ。」



「そうそう!他にも聞きたい事があったら何でも言ってねカイトさん!」



 あれから二人は俺の出身や、旅人の事については触れなくなっていた。



 それからも、俺たちは沢山の会話を重ねて、いつしか友の様に話す仲になっていた。



「アルク、ミーシャ、そっちは集まったかー?」



「あぁ!問題ない!」



「こっちも大丈夫だよー!」



 ちなみに俺たちは今、二人の本来の依頼『薬草採集』をしている。



「さすがカイトだ、こうも簡単に薬草が集まるとは…」



「本当だよ!私たちなんて半日歩き回っても見つけられなかったのに。」



 二人は、大量の薬草を握りしめて関心していた。



「この薬草は、今居る辺りがよく生えているんだよ。それより、これだけで足りそうか?」



(まぁ、どちらかと言えばエルテラのお陰なのだが…)



 俺は、自分で集めた薬草を渡した。



「十分だ、いやむしろ多いくらいだよ、ありがとうカイト。」



「これだけあれば、依頼料だけじゃなくて特別手当ももらえるね!」



「それは良かった、俺も二人の役に立てたのなら本望だよ。」



 俺は、二人の嬉しそうな顔を見て、心が癒された気がした。



「じゃあ、この薬草達は、私のポーチに入れておくね!」



 ミーシャはそう言って、腰に付けてたポーチに薬草を閉まった。



「さて、そろそろいい時間だし、今夜の野営地でも探しますか。」



 気が付けば、日も傾いてきていたので、俺たちは今夜の寝床を探すべくまた歩きだしたのだった。




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