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アルクとミーシャ

 

二人の元へ行くと、先に男性の方が言った。



「あ、あの!助けていただきありがとうございました。」



 そう言って頭を下げると、女性の方もお礼を言った。



「もしあなたが居なければ、私たちは確実に死んでいました。本当に感謝してます。」



 俺はなんだか嬉しいような気まずいような、よくわからない気分だった。



「い、いえ。気にしないで下さい!えぇーっと、初めまして、俺の名前はカイトっていいます。」



 とりあえず自己紹介すると、男性は、慌てて言った。



「あ…すみません申し遅れました。私は冒険者のアルク、こっちは同じく冒険者で仲間の……」


「ミーシャと言います…」



(アルクに、ミーシャ…冒険者か…見た目は…今の俺と同じ年齢くらいか…)



「それで、アルクさんとミーシャさんは、どうしてこんな目に?」



 俺が尋ねるとアルクが、これまでの経緯を話してくれた。



「実は…私たちは、まだ駆け出しの冒険者でして、簡単な薬草採集の依頼を受けてこの森に来たのですが…採集の途中にバーゲストウルフに遭遇してしまって…」



アルクが言葉を詰まらせると、ミーシャが続けた。



「アルクは、せめて私だけでも逃がそうと、応戦してくれたんです!でも…あいつに武器を破壊されてしまって…私も魔法で応戦はしたのですが、全く歯が立たなくて…」



(なるほど…)



「それで、逃げてたら偶然俺を見つけたってことか…」




 そう言うと、二人は同時に頷き、アルクが俺に言った。




「あの…とこでカイトさんは、冒険者……ではないですよね…?」



 俺は、その質問に対して正直に答えていいものなのか迷った。



「え、えぇ…まぁ…その…」



 二人は俺の答えを待っている。



(転生者とか、異世界人とか言ったら流石にマズいよな…それって要するに俺は宇宙人ですって言うのと一緒だし、信じたとしても警戒されて研究所送りなんてことも……)



 俺は二人には悪いと思いつつも、転生や異世界については黙っておくことに決めた。




「俺は……ここからとても遠い場所から来た、少し強いだけのただの旅人だよ。」



 すると、以外にもアルクはあっさり信じた。




「遠い場所から来た旅人……なるほど、確かにここら辺の土地では見ない服装ですし、その髪の色や目の色もかなり珍しい。」



(あ…あれ?エルテラのやつ…この見た目は珍しくもないとか言ってなかったっけ……)



 そんな事を思い出してると、ミーシャが言った。



「あっ!!もしかして、カイトさんは北の方の出身じゃないですか?」



(えっ!?旅人って出身地も聞かれるの!?ゲームとかでは『旅人かぁ~』的なノリで終わってたじゃん!!)



「えっ…あぁ……その……」




 まさか出身まで聞いてくるとは思わなかった俺は、言葉に詰まってしまった。




「私、子供の時に聞いたことがあるんです!北の果て、雪原の地域には、白髪でとても強い戦士たちの村があって、昔世界を氷に包もうとしたドラゴンを、その人達が倒したって言う…」



 すると、アルクが言った。



「懐かしいですねそのおとぎ話、私もよく本で読んだ記憶があります。確か『氷結竜』を倒した後、神々が降りてきてそのドラゴンは天へと召され、神々は勇敢な戦士達にそのドラゴンが待っていたいくつかの能力を褒美としてそれぞれに分けてあげたんですよね。でも…」



 アルクは続けて言った。



「その後、ドラゴンの能力を持った戦士達は、世界に散り散りになったと、大人たちには教えられてきたのですが…」



(なんか俺、めっちゃ見られてる……)



「ま、まぁ…そうみたいだな、それからどうなったかは聞かされてないから俺も分からないけども…」



 俺が苦し紛れにそう言うと、ミーシャがアルクに言った。



「アルク、あまり詮索するのは命の恩人に失礼だよ!それに…カイトさんがその末裔だとしたら、その…これまで色々あったと思うし…」



(色々…?)



 するとアルクはミーシャの言葉で何かを思い出し、俺に頭を下げて謝った。



「も、申し訳ないカイトさん。命の恩人に対して配慮が足りませんでした!どうか許して下さい!!」



 俺は、訳が分からなかったが、アルクが真剣に謝罪をしている事は痛いほど伝わった。



「あ、頭を上げてください!俺は別に気にしてないですから!」



「ほ、本当ですか…?」



「はい、本当ですから……」



(なんの事かは知らんけどね……)



 そう言うと、アルクは頭を上げてお礼を言ったのだった。


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