表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

能力


 森の中にはもちろん道などはなく、大きすぎる木々の根本に足を取られないように注意し、時折方角を確認しながらどんどん奥へと進んで行った。



 (結構歩いたかな?そろそろ休みながら水でも飲むか…)



 俺は、近くの苔色に染まった岩に背中を預け、先ほど覚えた魔法を使い、掌に水を生成して飲んだ。



「やっぱ大自然で飲む水は美味しいなぁ~」



 空を見上げると、大きな木々の枝葉が風になびいて、心地よい木漏れ日があちらこちらを照らしている。



(前世では、キャンプとか出来なかったけど、会社の後輩たちが学生時代の思い出とかって話してたっけ…)



 しばらくの間、頭を空っぽにして自然を満喫していたら、空腹感に邪魔されてしまった。



(リラックスしてたら腹が減って来たな……そう言えばエルテラがこの世界の知りうる情報は入れたとか言ってたっけ…)



「サーチ」



 俺は、脳内アプリを調べた。



(これか?って…これしかないよな……)



 そこには、いかにも困った時はどうぞな感じのヘルプじみたアイコンがあった。



 開いてみると、そこには植物や動物、魔物や種族などカテゴリー別にまとめられており、一番上の方には、女神の検索エンジンまであった。



(この世界の女神の知識か…少し不安だが、これも俺の能力な訳だし、遠慮なく使うか…)



 「検索。森 食べられるもの っと…」



 すると、様々な野菜や果物の名前、その見た目やさらには食べ方、保存方法に加工までと、ありとあらゆる情報がそこには詰め込まれていた。



(すごい……。野生動物から、捌き方……薬草まで載ってるのかよ…)



「肉か…そう言えば最近食べてないな。でも、さすがに動物は一人で食べるのも大変だし、持てる荷物も少ないし…仕方ないが果物を探すか。」



 俺は、半ば言い訳を自分に言い聞かせた後、果物を探しながら歩き始めたのだった。



 それからは、特に苦になる事もなく果物を見つけ、俺はそれを食べながら森を歩き、この世界の知識を付けていた。



(なるほど…結構な種類の魔物が居るんだなぁ……っと、そろそろ暗くなってきたな。)



 俺は、夜を明かすために、薪になる枝を集めつつ、丁度いい場所が無いかと辺りを見渡した。



「お、あそこは良さそうだな。」



 少し歩くと、木々の間隔が広く、地面も少し平になっていた。



(ここなら火を使っても、森が燃える事もないだろう…)



「場所も決まったし、朝の分の食料と薪でも集めておくか。」




 それから俺は、辺りを散策しながら必要なものを集め、元の場所へと戻った。



(これだけあれば、大丈夫だろう……)



「かなり暗くなってきたな……」



 俺は薪に火を点け、木の実をつまみながら、女神の知識を叩きこんだ。





 集中してたせいか、気が付けば森に月明りが差し込んでいた。




(あ、もう薪もないや…)



 俺は大きく伸びをしてから、寝転がって空を見た。



「奇麗だなぁ……」



 そこには、満天の星が煌めき、月も大きく前世とは比べ物にならないくらい明るかった。



(最初はかなり不安もあったけど…こんなに自由ってのも初めての経験だし、思ったより楽しいな…死んだあと、思うところもあったけど…今じゃ転生して良かったと思えるよ……)



 俺は前世の時の事を色々と思い出し、改めてそう思えるようになっていた。



「さてと、そろそろ寝るとしますか。」



 一度起き上がり、焚火にしっかりと水をかけてから、俺はスキル【リジェクションウォール】を発動させた。



(よし、これで、寝ている間に襲われることはないだろう…)



 俺はそのまま仰向けに寝転がり、しばらく星を眺めていたら、いつの間にか眠っていたのだった。




 そして朝になり、俺は目を覚ました。



(朝か……)



 森の中での目覚めは思ったよりも気持ちがよく、様々な動物たちの鳴き声が薄っすらと聞こえてとても新鮮だった。


 俺は大きく伸びをしてから立ち上がり、水魔法で顔を洗った。



「さてと、行きますか。」



 焚火後を片づけた俺は、目的の街へ向かう為に森を歩きはじめた。



(今日は、魔法について調べてみるか…)



「検索 魔法について っと。」



 俺は、女神の魔法の知識を学んだ。



(なるほど…この世界の人々は、魔法の名称でイメージを結び付けているのか…つまりは魔法の名を言葉に発してから発動する流れか……)



「って事は、ゲームの詠唱とかも、イメージの手助けに過ぎないってことか…?まぁ、とりあえず試してみるか。」




 俺は立ち止まって正面に手をかざし、唱えた。



「ウォーターボール。」



 すると瞬時に頭の中にイメージが沸き、魔力がそれを拾って形を作った。



「確かにイメージ通りだ…しかも言葉の方が魔法の反応も早い……」



(これはおもしろいぞ!)



 すると、俺の脳内に通知音が鳴った。



(ん?なんだこれ…)



 アプリを確認すると、魔法の所に『!』マークが付いていた。

中を確認すると、以前は『???』だった場所に『ウォーターボール』の名前が登録されていた。



「これは、名前を付けた魔法が登録されるってこと…だよな……」



(つまり、記録ができる…それなら!)



 俺はそれから、色々な魔法を試しながら、どんどん記録していった。




 そして、時間はあっという間に過ぎていった。




「よし、これも記録完了っと。」



 気が付けば、空は暗くなってきていた。



(もうこんな時間か…夢中になりすぎて気が付かなかったな…)



 その後、俺は火を使えそうな場所を見つけて、焚き火を点けた。



(今日は色々な魔法も手に入れたし、本当に女神様様だよな…)



 少しだけ、女神のその後を心配しつつ食事を済ませた俺は、焚き火に水をかけてから【リジェクションウォール】を発動し、寝転がって星空を眺めた。



(森での生活もかなり満喫出来たし、明日は【ボディオブフォートレス】を使って、一気に森を抜けて街を目指すかな…)



 そんな事を考えながら、俺は目を閉じたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ