魔法…。
それから俺は乾いた服と装備を着用して、脳内アプリから魔法を選択し、中身を確認した。
「ん…?これはどう言う事だ…?」
そこに表示されていたのは、使い方や呪文でもなく、『魔法とは何か』と言う概念が記されていた。
(魔法とは、魔力によって行使される一連の事象であり、また魔力とは、魔素を魂で変換したモノである、魔素は常に世界に満ち溢れ、全ての生物は、魔素を魂に蓄え変換する事によって魔力とし、想像と願いによって魔法となる。そして、魂の器の大きさによって個々の所持できる魔力量は増減する。)
俺は暫く考え、なんとなくは理解したのだが、その概念の下にある、何行もの『???』と書かれた表示の意味までは、理解できなかった。
(つまりは、魔法は強いイメージで発動できて、魔力量は俺の器次第……そして、おそらく魔力は時間経過で回復していくって事か…)
「よし、やってみるか!」
俺はとりあえず、生活には必要になるであろう火と、水を魔法で生み出せないか試してみた。
人差し指を立て、指先にライターの火をイメージしながら心の中で付くことを願った。
(ロウソクみたいな、いやオイルライター、いやガストーチ…あぁー違う違う!とにかく火だ!!)
すると、体の奥から指先に向かって、何かの力が集まってくるのを確かに感じた。
そして、その力は指先から継続てきに抜けていき、その瞬間には火へと変わったのだった。
「おぉ!付いた!!…けども……」
俺の指先からは、イメージ通り火はでたものの、それは空へ向かって火柱を立てていた。
(いやいやいやいや、この威力は流石にちょっと………)
俺は、魔法と言うものに少し恐怖をいだきつつも、せっかくだと思い、威力の制御を試みた。
(とりあえず、威力を抑えるんだから…絞る感じで少し力を入れてみよう。)
「ふんっ!!」
すると、火柱はさらに威力を増してしまった。
(失敗か……なら、逆に少し力を抜けばいいって事だよな……)
「ふぁ~~」
すると、今度は徐々に小さくなっていき、少し調整をしながらもようやくイメージ通りの火力まで落ち着かせることに成功した。
(これが制御か…結構難しいな…けど、これが出来ないと突然焼け野原ってことも…)
俺はそれから、感覚を覚える為に、何度か練習し、どうにかまともに制御できるようになった。
「よし!これなら…」
それから、今度は湖に向かって水の魔法を発動させ、何度もイメージと刷り込ませて、魔力コントロールのコツを体に染み込ませたのだった。
「さてと、そろそろいいかな。」
俺は魔法を解除し、脳内アプリにあった地図を確認した。
(げっ…なんだこのいかにもゲームな地図は…)
その地図は、前世の地図とは情報量に圧倒的な差があり、山脈や、森、川や湖、恐らく国境であろう線など、とにかくシンプルな作りになっていた。
(って事は、この黒丸の位置が街や村って事だよな……)
現在位置や、方角などは一目で分かるようにはなっているものの、拡大しても変化はなく、使い勝手はあまりよくなさそうだった。
俺は、この広大な森から一番近い黒丸を探し、方角を確認した。
「この位置からだと…こっちの方向か……よし!」
確認を終えた俺は、これからの旅に少し胸を躍らせながら、湖から森の中へと歩き始めたのだった。




