【メーナの勉強ノート9】
10/12 やっぱりくもり
せんせい:???
拠点が出来てから、色々とリーベとマナミで研究した。
アイカ達の気づきやルクールからの情報ももらったので、新しい機械を作ってみようと頑張っていた。
「ねえぇ‥‥あそぼうよリーベままぁ‥‥」
メーナは毎日リーベがいて嬉しかったのだが、この拠点にずっといるのはつまらないなと飽きていた。
リステルとマナミにアイ達がついて行って、外で戦っている。
アイ達はどうしてもとお願いして、コアユニットを一つずつもらったのだ。
リステルとマナミの乗る本体の他に、式のように自立して攻撃できる機体を4機持つことで、劇的に戦力が上がった。
メーナも式を操れるので練習中なのだが、あまり根気がないし誰も褒めてくれないので、真剣にしていない。
リーベは褒めてくれるので見てもらいたいのだが、今忙しいからねとかまってくれないのだ。
「ごめんねメーナ‥‥もう少しで完成できるのよ‥‥とても大事な開発なのよ」
リーベはアイ達のデータを元に、この星でも使える”式”を作っているのだ。
これが完成すれば、アイ達を臨場させなくても戦わせられるし、あちらでもアイカやルクールに操らせれば良い。
こちらはリステルも含めて、全員が式を操れるので格段に効果がある。
そういったブレイクスルーになる研究だったので、メーナが涙をこぼしているのにリーベは気付かなかった。
リーベはもう2日も寝ないで研究に取り組んでいるのだ。
メーナは一緒に寝てくれないし、全く遊んでもらえないので、とても悲しかった。
「倉庫で練習していてね、きっとメーナも上手に動かせるわよ」
そう言って、目も合わせてくれないリーベに、メーナは声を殺して部屋を出た。
メーナも今とても大人たちが困っているのを知っていた。
アイ達がうまく伝えてくれたし、リステルやマナミの心を読んで、その焦りを見ていた。
アイ達がアイカに会えなくて淋しいのも解ったので、何とかなるといいなとは思っている。
メーナはアイカは怖いのだが、アイ達は大好きなのだ。
(クスン‥‥ままにだっこしてほしいよ‥‥)
メーナはとぼとぼと倉庫に来て、羊たちを見る。
スパイラルアークⅡでは戦場に連れて行かず、この拠点で羊を飼っていた。
アイカ達にも上手く言ったと伝えたので、近い内にあちらの羊も下ろしてみようと話していた。
食べ物はやり取りできたので、生き物をやり取りできるのか確認したいのだ。
「めめめん‥‥アイちゃんが居なくてさみしーい?」
「メエエェェェ‥‥」
めめめんと名付けられたこの一番若い羊は、メスでまだミルクは出ない。
アイ02が特に可愛がっていて、居ない間はメーナにたのむねと言われているのだ。
「そうだよね‥‥クスン‥‥あたしもアイちゃん達が居なくて淋しいの」
ぎゅうと優しく抱きしめてメーナは羊にへばりついた。
小さな自分よりもさらに小さい羊を、メーナはとても可愛いがるのだった。
実はアイ02と同じレベルで羊の気持ちも分かるのだった。
これは技術や適正ではなく、アストラル・プロジェクションを使っているからだ。
メーナは無意識にアストラル・プロジェクションを常用しており、人間ほどではないが、動物の心もある程度感じられる。
「ままもさっぱりメーナを見てくれないのよ」
まだ涙をこぼしているメーナのほほを優しく羊のめめめんは舐めてくれた。
どうゆう理屈かはわからないが、この羊たちもまた人間の気持ちが少し解かるのだった。
そうして羊のめめめんとメーナは互いを慰め合う。
「ありがとうめめめん。あったかいね」
そういって心を開くメーナをめめめんも気に入っていた。
この一番小さい人間は、とても温かい心を持っているぞ。
髪の色は似ているが、おおきい茶色の凶暴な人間とは大違いだなと。
そうして式で魔法生物なメーナを、羊たちはジュノより人間らしいと認識するのだった。
ジュノが羊たちを見る時は、肉付きをみていたから。
しばらく柔らかな子羊を抱いていたので、機嫌を治したメーナは散歩をする。
めめめんも連れていきたかったが、前に見つかってマナミにおしりを叩かれたので、止めておく。
次はぱんつもおろして叩くと脅された。
マナミが言うように、たしかに床も汚れて、リーベも悲しそうにしていた。
リーベはこの拠点を居心地の良い家にするために、労を厭わない。
一生懸命掃除をして、隅々を整えているのだ。
その苦労を踏みにじったのだぞと、マナミは怒ったのだ。
メーナはマナミはもっと嫌いになったが、確かに正しいとは理解した。
そうして一人でダイニングまで来ると、何かの気配をぞわりと感じた。
(なに?なにかいる‥‥)
ふるふると震えたメーナは椅子の陰に隠れた。
大人たちにさわるなと言われている、外に行けるドアの方向だった。
(そうだ窓から見てみよう)
最近になって、メーナも外が見られるようにと、リーベが何箇所か窓を作ってくれた。
もちろんはめ殺しで開かないのだが、外は見ることができる。
そうしていつもリステル達が帰ってくると最初に見れる窓に行き、外を見た。
(‥‥あれは‥‥あの時の女の人だ)
メーナはこちらを見上げる金色の人影を見つけた。
ざわりとした感触をアストラル・プロジェクションは伝えてくる。
(あなたはだれなの?どうして‥‥そんなに悲しそうなの?)
メーナは自分の感じている悲しさの、何倍も大きな悲しみをその人影が持っていると感じ取っていた。
先日は過去の気配だけだったが、今日は外に実際にいる。
メーナは読み取るだけではなく、少しだけ気持ちも伝えてしまう。
(なにものです?人の心に土足で踏み入ってはいけませんよ)
メーナは具体的な言葉を叩きつけられて、わっと後ろに倒れた。
窓のすぐ下にしゃがんでいたのだが、驚いて転がってしまったのだ。
(あ‥‥あなたはだれ?どうしてお家を見ているの?)
メーナは難しいことを言われてよく解らなかったので、そう訊ねてみた。
(私はルニーア‥‥人を探しているのよ‥‥ルクールというの)
その名前には聞き覚えがあった。
(メーナ知ってるかも‥‥)
おそるおそるそう心に唱える。
そうして強く考えると伝わるのだと、ルニーアを通してメーナは学んだ。
(貴女はメーナというのね‥‥先程の無礼は不問とします。ルクールの事を知っているのなら教えて‥‥)
ルニーアはそう言って、またとても濃厚な悲しみをメーナに伝える。
凍りつくような悲しみと、切り裂かれるような心の痛みを感じたメーナ。
メーナはルニーアが不憫で、ついリーベに聞いたことを教えてしまう。
(ルクールという人にあったことないけど、アイカ達と一緒に北の方に言ったと聞いたよ)
ことばが伝わると、すうと悲しみも痛みも和らぐのだった。
(そう‥‥ありがとう。メーナと言いましたね。いずれ礼をしましょう)
そう告げると、ふわりと少しだけ温まった心を見せてくれた。
(ばいばい‥‥ルニーア。みつかるといいね)
メーナはそう告げて見送るのだった。
メーナにしては珍しく、記憶に深く残った出会いだった。
ルニーアの名前もしっかりと覚えたのだった。
ルクールさえも思い出せないその名前を。
※ちなみに元絵のらくがきはこれです!




