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7/15

【メーナの勉強ノート7】

9/15 いつものくもり

せんせい:マナミ


 今日はスパイラルアークⅡチームで、アストラル・プロジェクションをした。

メーナはそもそもアイカのアストラル・プロジェクションで自意識を引き出し、人となった式だ。

アイカはこの心を触れ合わせる能力を、いつも無意識に少し使っている。

メーナもアイカを見習って心で話す能力を行使する。

それが相手にとって心地よいことばかりではないと知らないままに。

「メーナだけ残すのは心配だから、一緒に行こうね」

リーベはそういって抱っこしてくれる。

そもそも抱っこされるのが好きなので、メーナに否はない。

「うん、わかった!」

にこにこして抱っこされるメーナはリーベが大好きだ。

心の底からメーナを大事に思ってくれるし、厳しいことはまあ良いかと、言わないからだ。

メーナはリーベの判断までをふんわりと感じ取っているが、自分がしたいことをしてほしいと願うリーベといると心地よいのだった。


 マナミとリステルがベッタリと密着して、アイ達も4人でひとかたまりになっている。

アイ達はとても仲良しで、4人の隙間は本当に少ないなとメーナは思う。

そうして皆で同じマナミ達の大きなベッドにあがり、ころんころんと横になる。

もうそのシチュエーションだけで、メーナはハイテンションになるほど楽しい。

にこにこがにっこにこになるくらいだ。

「メーナも目を閉じて静かにしているのよ?」

リーベが微笑んでそういった。

「うん、わかった!」

メーナはそう言ってリーベのむねにぐりぐりと顔を埋める。

こうするとリーベの匂いと温度が沢山伝わってきて幸せなのだった。

大人しく言うことを聞くメーナを、よしよしとなでるリーベも目を閉じる。

瞑想に入るのだ。

リーベはもう慣れているので、すっと力をぬいて意識を平静に保つ。

メーナもリーベのマネをして、呼吸も押さえ意識を散漫にする。

(リーベままはいい匂いだな)

メーナは心地よい香りと、柔らかさで眠くなってしまう。

そうしているとマナミの意識が乱暴にメーナを引き上げる。

すっと目を開ければそこはあの漆黒の空間。

星一つない黒い空間に、ピンク色の大地が広がる。

このピンクは、実はアイカのものと似ているが、少し違う明るいピンクだ。

リーベの精神世界がもっと赤い鴇色なのと同じ様に、マナミの世界は明るい色を持っている。

(マナミの触り方はやさしくない)

すんと立っているマナミに文句を言うメーナ。

(あら?優しくしたつもりなのだけど?)

それが心から思っていることだとメーナには解るが、そもそもマナミは乱暴なのだと理解を深めた。

(マナミはやさしくしないからいや!)

そう心に浮かべ、直ぐ側にいたリーベに隠れる。

(あらあら)

リーベは困ったようにやさしい労りをくれる。

(もう‥‥そうやって甘やかすからメーナはわがままなのよ)

マナミは怒ったように言うが、とても心配してくれているのもメーナにはわかった。

ちらとリーベの背中からマナミをみる。


 マナミは目を閉じて真剣な表情で、意識を澄ませている。

(捉えた‥‥アイカにそっくりだ)

すいっと

4人のアイ達が引き込まれる。

(おぉ?なんだここは?)

元気がいいのはアイ03。

(ままの匂いがする‥‥)

寂しそうにするのはアイ04。

(ずっととおくまで黒いよ)

素直な感想はアイ02。

(ほら、みんな待っているよ行こう)

お姉さんのように皆をまとめるのはアイ01。

同じ顔、同じ服なのに、全く違う4人がそこにいた。

(アイちゃん!)

ふわりとメーナは飛んで近寄る。

自分は空を自由に飛べるものだとメーナは定義している。

くるりとアイ達の周りをまわって、それぞれに触れて気配を感じ取る。

一人ずつ少し違うけど、同じニュアンスの温度を持っている。

メーナを可愛いと思い、大事にする気配だ。

あははと5人が戯れるのを横目に、リステルとリーベに説明するマナミ。

(アイカの所に全員で行けないか試そう)

事前に説明してあるのでリステルは理解が速い。

リーベはそもそもマナミと一緒にアイカとそこを話してある。

手を伸ばしマナミがリーベの手を取る。

この精神世界には肉体がないので、本来はすり抜けさわれないはずなのだ。

しっとりとした手触りでリーベの手を捉えるマナミ。


 メーナは横目でそれをみて思う。

(マナミの魔力がつかわれている)

はっとマナミもリーベもメーナを見た。

(魔力なの?この感触は)

マナミは無意識にメーナにたずねる。

(そうだよ?リーベままの魔力をマナミのちからが捉えているのね)

メーナには当たり前で、説明することとも思っていなかった。

今飛んでいるのもメーナの魔力で飛んでいるのだ。

式を操り魔力を流して浮くのだと、自分を定義している。

メーナにはその魔力が常人と違い、当たり前に見えている。

自分自身がその魔力を式でしばったものだから。

(じゃあメーナもわたしの魔力に触れるの?)

そういってリーベは手を差し伸べてみる。

(それは出来ないよ?魔力は普通はさわれないもの)

ふわりと戻ってきてリーベの手をすり抜けるメーナ。

メーナはリーベの魔力も気配として感じる。

(メーナのあたたかさがあった‥)

リーベは普段のアストラル・プロジェクションで、他者に触れた時と違いを感じなかった。

リーベの左手はマナミとしっかりと結ばれていて、感触を感じるのに、メーナからは気配しか感じない。


 その後、相手と組み合わせを変えて色々と試したが、誰とも手は繋げなかった。

アイカの呼ぶ気配を感じて二人は報告を兼ねて、アイカの元へ行こうとすると、呼び寄せていたリステル達は消えてしまう。

(なんだろう‥‥‥繋がっていない気がする‥‥‥)

マナミはリステルの心を強く感じるのに、リーベほどの感触を感じられない。

それはむしろ溶け合うように混じってしまうので、自他の区分も曖昧になるのだ。

リーベの感触はアイカと同じで、そうだと強く信じられる確固たる形を持っていた。


 この、アストラル・プロジェクションという不思議な技術は、まだまだわからないことが多い。

一つだけ言えることは、メーナの方が理解しているのだなとマナミは感じたのだった。

ひやりとした戦慄とともに。




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