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【メーナの勉強ノート6】

9/9 だいたいくもり

せんせい:アイ03


 最近大人たちが忙しいようで、あまりメーナにかまってくれない。

今日はリステルが先生の予定だったのだが、急遽戦闘に駆り出されて出撃していった。

どうやら操縦が一番上手なのはリステルらしい。

新しいエリアにちょいちょい行っていたが、今朝速く出撃していったリーベとマナミが戻ってきて、リステルを連れて行った。

なんでも巨大な敵機が出て、新しいエリアに行けないらしい。

そいつを倒すのに3人とアイ達も乗り込んで行って、アイ03とメーナがお留守番となった。

メーナを一人にするのは可愛そうだと残していったのだ。


 午前中はアイ03と二人でおいかけっこをしたり、外の見えるカメラを動かして戦車を観察したりと遊んでいた。

お昼にリーベの作り置いていったお弁当を二人で食べる。

アイ03のアンドロイドボディにはナノマシン式の複合ジェネレーターが内蔵されており、固形物を飲み込むと、ナノマシンポッドのように分解してエネルギーとして還元する機能がある。

鉱石だろうが土だろうが食べられるが、ちゃんと味覚も食感も感じられる仕様。

この”食べる”という行為にあこがれがあったアイ達は大喜びでリーベに抱きついていた。

 今もリーベの作ったのは美味しいねと、2人でにこにこしていた。

食事が終わると、お腹いっぱいと言って、アイ03はお昼寝してしまった。

メーナも抱きついて一緒に寝ていたのだが、トイレに行きたくなって目が覚めた。

アイ03はすぴ-すぴーと鼻を鳴らして寝ている。

(アイちゃん達は息をしないはずなのに、すぴーって言う‥‥‥)

メーナはとてもその仕組が気になる。

はっと思いついて、ティッシュペーパーを一枚取ってくる。

わくわくしながら、そぉっとアイ03の顔にティッシュを乗せる。

しーん

(ぴくりともしない‥‥)

メーナは考え込む。

(この音は息ではない?喉ですぴーと言っているの?なんで?)

メーナの疑問に答えてくれる人もいないので、うーんうーんと考えてみる。

「まいっか?」

考えるのは得意ではないメーナは、あきらめてアイ03にぴとっとくっついてまた寝てしまう。

アイ達の体は人間そっくりの柔らかさで、温かい。

トイレに行くのは忘れてしまった。


「メーちゃん‥‥‥おしっこはトイレでするのよ?」

「ごめんなしゃい‥‥‥くすん‥‥‥」

起き出したアイ03は、ふががとまずティッシュで驚いて、ぴちゃっと付いた手が濡れるのを感じた。

なんじゃなんじゃと見てみると、発生源はメーナだった。

メーナはちゃんとトイレに行こうと目が覚めて、おもらしすることはなかったはずだった。

それを起き抜けに色々と考えてしまって、面倒になって寝てしまったのだった。

それをメーナはアイ03が悪いとは思えないので、自分が悪いとちゃんと考えた。

「‥‥‥よし。無かったことにするために、がんばって片付けよう」

「うん‥‥」

とりあえずびしゃびしゃになった服を脱がせて、洗濯する。

メーナの脱いだ服でまずベッドの上を拭いてみた。

「むぅ‥‥‥これでは拭き取れない。すんすん、おしっこくちゃいし」

「いやん!かがないでえ!!」

メーナが奪い返そうと暴れたので、そこいらじゅうおしっこになった。

「‥‥‥」

「‥‥‥メーナはシーツを剥がして持ってきて」

あい、と下を向いて泣きそうなメーナは返事をした。

アイ03はお手伝いで洗濯をしたことが有るので、お風呂ユニットにある洗濯マシンを操作できる。

このマシンはリーベのこだわり仕様で、かなり操作が複雑なのだが、式でもあるアイ03にとってはちょろいレベルだった。

ぽいぽいとメーナのふくと、自分の服もおしっこになったので、ぽいっと脱いで一緒に入れた。

パンツは大丈夫だったので、メーナほど薄着ではなかった。

ずるずるとシーツと毛布を引きずってくるメーナ。

アイ03の精密な光学センサーには、通路にナメクジが這ったようにおしっこ汚染が広がったのが確認できた。

(しまった‥‥‥メーナにやらせると被害が拡大しちゃう)

メーナの持ってきたものを洗濯マシンに放り込んで、ポンと一回スタート。

毛布が大物なので、満タンになったのだ。

「メーナはお風呂はいろうね、洗ってあげるからおいで」

「うん」

内股になり、ぷるぷると震えているメーナが可愛そうで、ついつい甘やかすアイ03。

二人で洗濯マシンのとなりのお風呂に入り、シャワーで洗っていく。

メーナは身体を洗うのは苦手だが、洗ってもらうのはプロだった。

毎日洗ってもらうので、言わずとも手を上げて、脇も洗ってもらう。

シャンプーを取ると、しゃがんで目を閉じる。

ちゃんと流し終わるまでぎゅっと目を閉じている。

なんだか一生懸命に目を閉じてる姿が愛らしくて、アイ03はにっこりと笑ってしまった。

「メーナはさむくなぁい?」

「うん、へいきだよ」

髪の毛も乾かしてもらうプロなので、言われずとも椅子に座り目を閉じる。

(なんだかリーベがいっぱい甘やかしているのがわかるなぁ)

アイ03は姉妹の中ではアイ04の面倒をよく見るので、お姉さん気質組だ。

アイ02と04が結構甘えん坊なので、自然とアイ01と03がお姉さん側になるのだ。

メーナはその二人よりも下の扱いなので、さらに甘やかしてしまう。

(ん?これはよくないのかも。アイカママも自分の事は自分でするのよと言っていたな)

「メーナは髪を乾かしたこと有る?」

「ううん?ないよ?」

メーナの髪は細くてすぐに乾いたので、自分の髪を乾かさせることとするアイ03。

「じゃあ、わたしの髪を乾かしてみる?なかなか難しいのよ?」

「うん!やってみる!」

メーナは難しいことに取り組むのも好きな方だ。

上手にできた時に楽しくなるので、遊びなどでは積極的に取り組む。

それを知っているアイ03は、まずは遊びとして自分で出来ることを増やせばいいと考えた。

これはアイ04とも一度している流れだなと、思い出した。

コツは面倒な事をさせられていると気付かせないことだ。

「ほらこうして、こうだよ」

「うん!わあこうやって風がでてたんだ!」

ふいぃぃんとドライヤーを使い、アイ03の髪を乾かさせる。

「うまいうまい、やるなメーナ」

「えへへぇ」

時々褒めると、楽しい作業として覚えてくれるのだった。


 そうして志したアイ03によって、布団を乾かし、床の拭き掃除をした。

換気装置もフルに動かして、乾燥まで指示した洗濯マシンが乾かしてくれた服を二人でまた着る。

メーナはパンツも履かせてもらおうとするので、アイ03と競争する遊びを教えて3回ほどぬいだりきたりすると、自分で着れるようになった。

(ふふっ、アイ04よりも覚えがいいね!)

メーナはやろうと思えば何でも出来る能力を持っているとアイ03は見抜く。

大人たちが帰って来る前に、きれいに片付けて、何事もなかったように出来た。

「おしまい!」

「やったあ!」

ぱちんとハイタッチも教える。

一つだけアイ03は不思議に思い、メーナに尋ねる。

「どうしてメーナはこんなに何でも出来るのに、自分でしないの?」

そもそもメーナくらいの年ならばこれらは出来て当たり前に入る事だ。

まして、おもらしなどありえないのだ。

「うん‥‥リーベママがそうしたいって思うから」

うぅん?と一瞬理解出来ないアイ03。

ぽんと手を打つ。

メーナも真似をして、ぽちっと手を打った。

「メーナは相手の考えていることがわかるの?」

「うん、わかるよ?」

わかんないの?みたいな顔をされたアイ03は途方に暮れた。

(これはもしかして一大事なのでわぁ?)

アイ03はアイカそっくりに考えるのだった。

「いちだいじってなあに?」

メーナはまた考えないで質問する癖を発揮する。

アイ03は答える余裕もなくなり、考え込むのだった。

メーナは飽きてしまい、絵本を読み出していた。

アイ03の考えが大人みたいで面白くなくなったのだ。

ふんふーんと楽しそうなのは、さっきのお着替えゲームを思い出していたのだった。


挿絵(By みてみん)

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