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【メーナの勉強ノート4】

9/3 くもり

せんせい:アイ01、アイ02


「メーナ早くおいで!!」

「まってぇ」

今日はアークⅡの中を3人で冒険中。

本当はお勉強の日だったが、教師役を担うアイ01が格納庫を見に行こうと誘い探検することになった。

メーナは自分の足で走るのが苦手だ。

そもそも飛んだほうが早いし楽なのだ。

でもアイ01もアイ02も足で走るので、メーナも倣って走っていく。

はぁはぁと息が乱れるが、それが心地よいとメーナは知った。

メーナの先を走る二人は同じ身体、同じ顔。

今日は二人だが、本当は4つ子なのだ。

 メーナより少しだけ大きい身体は、実はサイボーグだ。

リーベが作り、アイ達に与えたマシンボディはルティナリウムチタンで作った骨格を、ナノマシンとナノカーボンの袋で作る人工筋肉で支え、マシュマロのように柔らかな高分子樹脂で覆ったもの。

 この身体の制御は魔法で行われる。

制御式と言われる式を使い動かすのだ。

使う魔力はせいぜい生活魔法レベルの消費で、アイ達が式神弐式と言われる”式”から操る。

式本体も頭の中に収納され持ち運ぶので、遠隔操作ではなく臨場操作となる。

メーナも見せてもらったが、搭乗するときはぱかっと頭が割れてセットされるので、かなりシュールだ。

そうしてあやつるアイ達の身体は、概ねメーナよりも性能が良い。

足も早いし、力も強いのだ。

「ああん、まってよぉ!」

メーナは息も切れ切れになり、追いかける。

格納庫の入口で二人は待っていてくれて、アイ01が手を広げるのでメーナは飛び込む。

ぽむんと掴まえられて、にっこりするメーナ。

まだ息がはぁはぁと整わないので、アイ02もよしよしと頭を撫でてくれた。

「メーナいっぱい走れてえらい」

そういってアイ02は笑顔で褒めてくれた。

 アイ達はメーナのママであるリーベとそっくりな顔だ。

実際にはアイ達のママであるアイカと同じ顔らしいのだが、アイカとリーベも同じ顔なので、メーナとしては姉妹のように感じて嬉しかった。

肩と眉で切りそろえた茶髪のおかっぱもリーベと相似形。

色も同じで、メーナは少しうらやましい。

指先でアイ01の髪を触ると、以前そういって羨ましがったのを思い出すアイ01。

「メーナの髪は細くてきれいな色だね!お月様の色だよ」

そう言ってアイ01はなでなでと頭を撫でる。

メーナは心地よくて、目を細める。

「あたしはみんなと同じ色が良かったな‥‥栗色のつやつやがいい」

淋しそうにするメーナの髪を、器用にすいて三つ編みにするアイ02。

「メーナの髪は長いから編みがいがあるね!きらきらして綺麗だよ?」

手早く三つ編みにして、ポケットからだした赤い髪ゴムで結んでくれた。

ほらほらあと尻尾のようにぷらぷらされると、メーナも楽しくなって自分でもぷるんぷるんと振り回した。

「あはは、かわいいよメーナ」

そういって両側からアイ達に抱っこされて、機嫌をよくしてしまうメーナ。

もうにっこりと笑顔に戻していた。

 スパイラルアークⅡの第二格納庫には、スパイラルアークから移されてきた羊が4匹いる。

木で作った柵と、ナノマシン由来の土がしかれ牧草も生えている。

桶に入った水飲み場もあり、倉庫の一角がちいさな可愛らしい牧場になっている。

アイ02は昔からよく面倒を見ていたらしく、羊達と仲良しだ。

めえめえミーミーと何か会話のようなやり取りまでしている。

メーナは少し羊が怖いのだが、羊のミルクは大好きだ。

最近リーベが作ってくれたバターもとても美味しかったので、感謝している。

「メーナもおいでぇ」

アイ02が手招きするので、アイ01につんつんと押されながら近寄る。

「めぇ~」

羊が動いて鳴いたので、びくぅとメーナは止まってしまった。

「ふふ、だいじょうぶ羊さんはやさしいよ」

そういってアイ01が背を押してくれた。

アイ02の横に来て、なでなでされて気持ちよさそうにする羊を間近で見たメーナ。

「ほら、メーナもさわってごらん?刈ったばかりだから毛がきもちいいよ」

今の羊たちは毛刈りされたばかりで、短い毛しか生えていない。

メーナは恐る恐るといった雰囲気で手を伸ばす。

アイ02に喉を撫でられて目を閉じている羊の頭をそっと撫でてみた。

「?!」

メーナはそのしっとりとした柔らかさよりも、あたたかな温度に驚いた。

「ふふ、やっこくてあったかいよね」

アイ01も後ろにぴっとりと寄り添ってくれて心強いメーナは、少し勇気を出して両手でなでなでとしてみる。

「ふわぁ、柔らかくてあったかい!」

メーナの声にちょっと驚いた羊が逃げてしまう。

「あぁん」

せっかく撫でられたのに、逃げられて残念がるメーナ。

「あはは、大きな声をだすと驚いちゃうよ!」

アイ02がにんまりと笑顔でそういった。

この表情はアイ達の本体と違い、ホログラムではなく表情筋を使い、実際に浮かべているものだ。

最初はぴくぴくとぎこちなかったが、すぐに要領をおぼえて自然な顔つきになった。

「ほら、おいでぇ」

みーみーとまたアイ02が鳴くと、別の子が二匹寄ってきて撫でられる。

メーナも今度は怖がらずに触れた。

アイ01も後ろから手を伸ばして一緒に撫でて、なんだかメーナは嬉しくなってしまった。

手のひらは羊で温められ、背中はアイ01の温度で温かい。

そしてアイ02のみーみーと羊たちのめーめーで、耳にも心地よく身体の内から温まった。

 そうして3人で羊と戯れて、どろどろに汚れて戻ると、マナミに見つかりお風呂に入りなさいと怒られた。

『はぁーい!』

アイ達を真似て不真面目な返事をおぼえてしまうメーナだった。

アイ達の身体は外からみると人間と全く同じで、すべすべの肌だ。

3人でお風呂に入っている間に、マナミが着替えを出してくれて、汚れたものは洗濯して干してくれた。

その洗濯物で遊んでいて汚してしまい、またマナミに怒られるのだった。

アイ達がまったく懲りないので、メーナもだんだんと怒られるのに慣れてきた。

「あははぁ!」

今日もスパイラルアークⅡには小さな子どもの笑い声が絶えないのだった。


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